東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

雨中の天日干し

2017-06-30 11:06:08 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 最近特に慌てているような状況。素焼きの済んでいる人形に地塗りをしたり、次の次のための型抜き、鉄砲狐の急な在庫切れの連絡に対応できるための型抜き、などなどひとつの工程にすんなり落ち着いて取り組む空間的時間的余裕に欠けているといった感じです。とりあえず来月半ばまでに仕上げてお届けするものが最優先。来月末までに仕上げて運ぶ催事、再来月はじめまでにお納めするもの、9月にふたつの催事、、。と数珠繋ぎになっている(こういう忙しさはありがたいものですが、、。)

乾燥中のひねり鳩。今回は前回までのような形状のもの+もう少し立ち上がった感じの形状のもの+試しに作ったものが混ざっています。(昔の本来のひねり鳩は焼かない生土に竹ひごを刺して脚や尻尾をつけそのまま彩色していたものなのでひどく壊れやすいため、残っているものが少ないという感じですが、自分としては少しでも丈夫であってほしいので竹ひごの孔をあけて素焼きしてから脚や尻尾を組み立てるようにしています。)鳩ではないものも今回試しに作っています。

あっさりと並んでいるざるの中身は8月上旬向けなど。

こうやって並べていると十五夜さんがサラダを食べにくいので、訴えてきます。「ごめんね」と言いながらざるを移動させます。画像に映っている以外にも乾いているものがあるので、無理して全部を待たないで、今日明日うちに窯入れしようと思います。

 随分とお待たせしている方から「どうなっているか?」とご連絡をいただいています。決して忘れているわけではありませんのでお時間お許しくださいませ。


お知らせ(北区史を考える会 講演会)

2017-06-11 12:56:04 | 日々

 「北区史を考える会」の方から今戸焼と今戸人形、実際の自分の体験を踏まえたお話、ということで上記のようにお話させていただくことになりました。学者、研究家、学芸員ではありませんので、理路整然としてお話にはなりませんし研究というよりも思いに偏重した内容になるかもしれませんが、お近くの方でお時間のある方、お付き合いいただけたら、と思います。

※上記チラシの文章ですが、自分で編集したものではないので、3か所、正確に伝わっていなかったところがあるのでこの場で訂正させていただきます。

①2行目:(今戸人形)作られて⇒(今戸人形)作られて

②3行目:発祥としても知られている⇒発祥としても知られている。

③最下段:再⇒再

ちょっとした文字の違いですが、自分の意図とはニュアンスが違うというか、二人羽織でお蕎麦が鼻の孔に運ばれてきたという感じのような、、。

 


ひねり鳩の配色

2017-06-11 00:28:17 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 以前にも作りましたが、配色の異なるタイプを加えてみました。某収集家のコレクションに見られるタイプと川崎巨泉の玩具の写生画に描かれているタイプなどを参考にしました。背中の黒地のものにはまがい砂子が蒔かれています。配色のバリエーションはもっとあったのだろうと思います。わかり次第増やしてみたいです。


6月の歌舞伎座

2017-06-09 23:48:19 | 日々

 昨日歌舞伎座の昼の部を観てきました。お目当ては当然「弁慶上使」。これ見逃がしたら、絶対後悔しそうと思っていましたが、やっぱり観てよかった、、。これまで振り返って、この狂言は故・実川延若丈の弁慶と故・市村仁左衛門丈の弁慶を観たことがあります。(先代の松緑さんのも観たことがあったような、、、。)個人的にはおわさの件はいつも面白いと思っていたんですが、弁慶の愁嘆の件は何かしっくりしないというか、弁慶の隈取と毬栗の頭の扮装が不思議で愁嘆での演技が強烈な扮装に埋もれてしまってしっくりしないという印象を持っていたのですが、今回の吉右衛門丈のはいかにも丸本狂言の人情の綾になじんでいて同時に動きが昔の山車人形が動くような味が感じられてすばらしいと思いました。昔観たときにはなぜかそういう印象には至らなかったのは自分の感覚に問題があったのかどうか、、。昼の部はこれ一本だけで大満足でした。夜の部の高綱が吉右衛門丈なら絶対観たいというところですが、、、。9月の秀山祭歌舞伎は何が出るのでしょうか。楽しみです。


拾いもの

2017-06-02 21:45:15 | 錦絵

 入院する前のこと。筆が摩耗しているので新しいのを買いに自転車で出かけた折、町はずれの古本屋さんを覗いていたら、額装の明治のおもちゃ絵がたまたま出ていて、値札をみたらびっくりするくらい安いのでミーハーで買ってしまいました。店は錦絵の専門店ではないのでたまたま仕入れに混ざっていたものでしょうか。「ぱっと観」で上の枠に「志ん板 〇〇づくし」とか「版元」とか「絵師の名」が見えないので、おそらく発行されたものを持ち主が鋏を入れたんだろうと思っていたのですが、素人が鋏を入れたようながさがさ感がないので、もともとこういう形だったのだろうかと思うようになりました。

 反射するのでガラスから出して。左右に3枚、上下に3枚計9枚に仕切られた絵ですが、総合的に何つながりなのでしょうか。向かって右上から時計まわりに、、。

  ↑ は箱ものの展開図になっていて右上の猫さんが蓋で左下の毬が身になるよう切り抜いて組み立てるんでしょうか。左上はネズミのようなので蓋で、右下の身の底には白抜きでネズミのシルエットのようなもの?三升の紋のような蓋とひょうたんか夕顔の身のような蓋もあり、全部で何かの趣向の組み合わせなんでしょうか。

 ↑ は家財道具尽くしみたいな取り合わせでしょうか。時計や西洋の帆船の絵の額もあればサンゴが島台に乗っている飾りやお煎茶の涼炉まであります。

 ↑ この絵はいきなりスペクタクルですね。謡曲の「珠取」に由来する「海士」の世界なんでしょうか。

 ↑「花屋敷」とか「植木屋」の世界?箱庭遊びに通じる感じですね。

↑ 「小間物づくし」でしょうか。櫛やかんざしの一部は開いたように描かれているので切り抜いて、糊で貼り合わせるようになっているみたいですね。

↑ 水屋道具、お勝手道具づくしですね。右下に立っているのは甕でしょうか、それとも焼壺のようなものでしょうか?

↑ 家族合わせのようなものでしょうか。「吉ぞう」「おえつさん」「松さん」「おきくさん」とか名前が振ってあります。「吉ぞう」が頭にのせているのは味噌か何かでしょうか。

↑ お稽古ごとのおさらい会のようですね。見台(けんだい)の脚が蛸足になっているので「常磐津」のおさらいでしょうか。手前に座っている人たちには名前が振られています。

 ↑ 中心の絵は「猫の稽古屋」でしょうか。格子の中に立っている猫は何をしているのかわかりません。下の右の猫はパラソルですね。猫が三味線でお稽古しているとか後ろに三味線の胴が並んでいるというのが皮肉な感じですね。

これら9枚の絵の取り合わせのテーマというものがあるのかどうかわかりません。中には切り抜いて組み立てるというように描かれていますが小さいので大変でしょう。

ハイカラな舶来風なものも描かれていかにも明治調。使われているスカーレットやバイオレットの染料、スカーレットと胡粉を混ぜて作ったピンクなどもいかにも明治という感じです。よく見ると「猫の稽古屋」のところに絵師の名?のようなものが入ってます。

こうした「おもちゃ絵」は江戸・東京では「絵草紙屋」という店で商われていたとか呼んだことがあります。顔が命のお人形の吉徳さんの小林すみ江先生から以前お聞きした話で。明治大正頃まで東京の子供たちによって行われていた言葉遊び、、、。

「〇〇ちゃん」と背後から名前を呼ぶと、呼ばれたほうは「え?」と反応する。そこに間髪を入れず「え(絵)は神明(芝)、人形は浅草」というのが流行っていたそうです。神明(芝)あたりに絵草紙屋が多かった、浅草に人形屋が多かったそうです。

 

 

 

 

 


「茶の湯」展

2017-06-01 13:48:31 | 日々

 先週退院したものの、Dr.からがつがつ動かないで足を高くして休んでいるよう指示をいただいているので、土の水簸(すいひ)とか窯入れとか毎日すこしずつ作業をしていました。前から是非行きたかった国立博物館の「茶の湯」展、今週いっぱいで終わってしまうので火曜日の通院ついでに行ってきました。

 出かけてみてびっくり!混んでいること。やっぱり茶道を習っているひとの裾野の広さのためでしょうか。仏像彫刻の展示なんかだと少し離れて全体を眺めたり違う角度から眺めたり、隙間があったらケースに近づいて間近に観たりできますが、今回の展示だと軸物などタッパを高く展示されているものは別として茶碗とか棗とか小さなものは離れては見えないので残念でした。それでも隙間のある展示物には近くで観ることができました。入院前に行ったのなら、もっとゆったりゆっくり観ることができたのかどうか、、。

 こうした大規模な展示だと見比べることができるという利点がありますが(実際人垣で観れないものがあったものの)、こんなにたくさんではなくて少しだけをじっくり見るほうが、染み入ってくるような気がしました。その点、静嘉堂とか五島とか永青とか個別の美術館をのんびり訪ねていくのが気持ちにゆとりもできるのかなとも思いました。根っから「黒山の人だかり」とか「まっすぐ歩けない」「自分の動きに急ブレーキをかける」ことが大の苦手なので、、、。

 図録を買って、家に戻ってゆっくり画像を観ています。