東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

残り2日と7時間

2020-08-30 01:20:23 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 昨日出来上がった分を包んで急ぎ運ぶつもりだったのが、包んだあとで、十五夜さんとまったりしていたら寝入ってしまい、気が付いたらお昼前。慌てて丸善へ運び、検品してもらう間、はじめてお目にかかるお客様で、普通浅草の羽子板市で拙作の人形をお求めいただいているという方で、今回はじめてこちらへお運びいただいた方とお話しさせていただきました。本当にありがたいことです。
明日、あさって、火曜日最終日を残すだけとなりました。今日主催者様から今日のブースの様子を撮影された動画をご提供いただきました。連日の暑さと寝不足のためか、へとへとで、会場に長くいることができず早々に帰宅の途につきました。
動画へのリンクを貼り付けておきます。お時間ありましたらどうぞ。会場全体の様子ですが、うちのブースは17分あたりに出てきます。初日の様子と比べるとかなり地殻変動しているかもしれません。
動画はこちらから→

御幣猿・煙草のみだるま・提灯持ち狐・猫抱きおかめ・餅つき兎・狸のぴいぴい・月見兎・面持ちねずみ

2020-08-28 23:55:21 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 昨日会場へできた人形を運んだ際、会場の方から伺った話では、持ち込む以前に電話でのお問い合わせがあり、荷を解く前に売約いただいていた人形があったとのことでありがたいことでした。話はさらに、お電話のお客様が、また次に運び込まれる人形を楽しみにされている、ということで、ありがたいと同時に何を仕上げてはこべばよいかわからない。ということで悩みました。
お客様が、どういう人形がお好みで、何は既にお持ちなのかわかりません。 
 結局のところ、自分にできることは、今回まだ並べていないもので完成していないものを完成させ、運ぶことしかできません。画像の人形は昨夜から急いで塗り進めたもので、はじめて発表するものではありませんが、今回は並べる予定ではなかった、或いは、並べようと、途中まで進めていたが、時間切れだと諦めていたもののどちらかです。

 御幣猿は朱色と群青各ひとつずつ、煙草のみだるまはふたつ。提灯持ち狐は提灯に「火の用心」の文字入りがひとつ、「宝珠に王子」の文字入りふたつ。今回羽織の色、シックな感じに、と思いかなり暗めの藍色で塗ってみました。猫抱きおかめ3つ。餅つき兎ふたつ。狸のぴいぴい(茶)ひとつと月見兎ひとつ。面持ちねずみふたつ。これで全てです。猿に持たせる御幣を折って癖をつけています。今売られている金紙はラミネート加工みたいでぴかびかすぎます。そこで真鍮粉につなぎを混ぜて中質紙に塗って乾かしたもので御幣を折っていますが、ごわごわして折り目がつきにくいのです。
 明日午前中に荷造りした上で会場へ運びます。
お願いというのもおこがましいですが、もし興味をお持ちくださったお客様、会場に持ち込んで、係の方に検品、値札つけの後ブースに並べ終わってはじめて在庫の把握が準備完了となり、お問い合わせに対応できるようになります。それ以前のご質問に対して正しく伝わらないことが心配されますので予めご了承ください。

ぴいぴい・娘河童・招き狐・座猫(大)

2020-08-26 18:35:39 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 FANみそ!展会期折返しを過ぎて来週火曜までですが、折角の機会なのでできたものを追加します。
記事タイトルがすべてです。ぴいぴいは「招き猫のぴいぴい」がふたつ、「洋犬のぴいぴい」がひとつ、「狸のぴいぴい(天保年間風)」がふたつ。


 招き狐は赤と草の汁風それぞれふたつずつ、娘河童はひとつ、座猫(大)御殿風はふたつです。
 ぴいぴいは「飯食いだるまのぴいぴい」が初日から並べてあります。
今年は特にコロナで催事等ことごとく中止になったりしているので年に一度の学芸会のように世間さまとの接点として飾らせてもらえる機会、大事にしたいという思いです。

追伸 ぴいぴいの鳴かせ方はこれまで折にふれてご説明していますが、動画としてお見せするのがベストです。しかし技術的にこのブログ上に貼り付けるやり方がわかりません。こことリンクしているFacebookの私のタイムラインにはだるまのぴいぴいの鳴るところが貼り付けてあります。

※今日これから包んで運ぶのでは間に合いそうもないので明日夕方までに運びたいと思います。

FANみそ!展前日インタビュー

2020-08-25 10:40:26 | 日々


 昨日今日でFANみそ!展の会期中日で、来週火曜日が最終日(最終日のみPM4:00で終了)までです。
昨夜主催者から会期前日の準備の様子の動画がら、私がインタビューを受けているところを編集したものができたというおしらせをいただきまして。その動画に映っている人形の中にはすでに売り切れてしまったもの(例えば「みみずく」)も含まれていますが、ご案内申し上げます。毎度のことながら、写真や動画に映っている己が姿を客観的に認識するということは、心臓に悪いというか、例えていうなら「がまの油」自分では作為的にこう動き、話しているつもりではないのですが、ひとことで言えば「変」です。「いかにも只者ではない」「妖しい」という感じ。このように生まれ落ちたことを憂うのではありますが、努力してどうなるものでもなく、たとえ変でもまっとうに生きているつもりです。見世物のようですがお時間あれば....。

こちらから→

古い絵葉書

2020-08-24 14:04:42 | 錦絵

 FANみそ!展は明日で中日。まだ間に合えばできたところで持って行きたいて思いますが、ちょっと脱線して昔の絵葉書。消印が40年8月4日とあり、文面が暑中見舞らしい。画面「隅田川ノ景」とあるけれど正しく今戸側から見た向島側墨堤を背景にした屋形つきの猪牙?
リアルな撮影ではなくて各々ポーズをつけられたモデル風景の構図。歌舞伎所作事「乗合舟」さながら。おそらく外国人向けの写真を絵葉書に仕立てたものか?そうだとすれば明治40年より遡るかもしれない。
 桜に隠れてよく見えないけれど向こう岸は長命寺辺りか?
 手前に見える茂みは隅田川の中州。錦絵などにも中州がよく描かれる。屋形の中には暖をとるための今戸焼の火鉢や火入れがあるのか、向こう岸では隅田川焼、こちら側では今戸焼に今戸人形がやかれているのだろうな…と妄想は無限大。

都鳥のがらがら

2020-08-23 16:10:59 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

最近何度か作っているので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。都鳥のがらがらです。
 「吾妻鏡」だったか、在原の業平が隅田川で「名にしおはば いざこととはん 都鳥 我思ふ人のありやなしやと」という歌によって隅田川といえば都鳥、というイメージが昔からありますね。ちなみに東京都の都鳥はユリカモメ=都鳥です。

 うちに施釉の浮き人形があり、そのひとつが都鳥の形で、それをお手本に原型を作りました。
釉薬をかけて楽焼仕上げにもしたいのですが、まだ実験中なので、泥絵具での彩色をしています。
上のは桜とひょうたん。古い今戸焼の茶道具関係の器物には桜の花びらの陰刻を施して「隅田川」という見立てになっているのがあります。また、最後の生粋の今戸人形の作者だった尾張屋・金澤春吉翁(明治元年〜昭和19年)のお作りになった「おかめの火入れ」に桜とひょうたんを描いたものがあり、そのイメージで描いてみました。胸のところには「寿み多川」。
 
 もうひとつは背中に○が三つ。これ、小倉餡、味噌餡、白餡のつもりの見立てです。
 上にのふたつに加え、今回はじめて描いてみたもの。↓

 下手っぴなので手前味噌みたいではずいですが、背中には業平格子。翼のつけ根に葦の枝。
業平が来た頃の隅田川は両岸葦が茂った辺鄙なところだった、というイメージ。「隅田川両岸一覧」だったか「江戸名所図会」だったかに業平が船で川を渡っている場面が描かれていて、川岸は葦だらけでした。余計な話、足立区の足立って、もともと「葦立」だったとか…。

 そんなわけで、こんなんできましたけど…。

 追伸 23日18:00ころ会場に並べました。

ひねり鳩

2020-08-22 01:02:28 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 今日小さな鳩笛を会場へ運んで、会場の方とお話していたところ、初日にお越しくださったお客様が、「いつもならお盆の上にひねり鳩や泥めんがあるのに今回はない」と
がっかりされていた、というお話でした 
 こちらのブログをご覧いただいている方すべてではないので、ここで記していたとおり初日には間に合わないものは、会期中に出来上がり次第、会場へ運びたいと考えていることはすべてのお客様に伝わる術もありません。

 ただいまひねり鳩を塗っています。本来は生土を丸めて竹ひごを差し込んで、焼かずに彩色して仕上げられたものなので、バランスをとりやすく、焼かない分時間もかからないのですが、それだけ脆くはかないものでした。古いものが残ることが少ない原因でもあります。昔ながらに焼かないほうが作りやすいと思いますが、耐久性も現代では必要だと考え、先に生土に差した竹ひごを乾燥前に外して、素焼きしてから収縮した分小さくなった孔に合わせて竹ひごを差し、胡粉で地塗りをする。面倒だし、バランスが取りにくいです。たくさん作れません。

 そんな訳で二枚の割型の人形よりシンプルに見えて工程的には時間と手前がかかるのが実際です。柄によっては彩色の上に砂子を蒔きます。
 もともとは焼かない生土製の人形ですから、今戸焼の人形というより浅草の観音さま境内で鬻がれていたもので、材料としては今戸人形同様浅草周辺の土、一説には今戸のとなり町などで窯を持たない人々の生業であったように記されていますが、その点一文人形にも共通する点もあるかと考えています。
 それにしても、観音さまのの境内で鬻がれていた頃の効能として謳われていたのが「子供の食膳に置いておけば、食事のつかえをついばんでくれる」というのが面白いと思いますが、医療の発達していなかった時代にはまじめなお呪いだったのでしょう。

追記 本日14:00頃会場へ運びました。

小さな鳩笛

2020-08-21 01:34:02 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 一昨日初日を迎えまして、その前日までの緊張感が一時的に解けたようになり、脚が痛い、腰が痛いなど普段の体感が戻ってきていますが、2週間の会期中、事前に出品予定として提出している種類と数の範囲内で追加して出していきたいと思っています。何種類かまとめてから運ぶことが理想ですが、それには時間がかかりますから、一種類づつでも早くならべるほうがよいかとも考えてます。大きい鳩笛一点はすでに会場に並べましたが、小さいほうの鳩笛の色塗りは今やっているところです。

 これらの小さい鳩笛のモデリングは、明治の太政官令によって人形や玩具への有毒な色剤の使用が禁止されるまで盛んに作られていた鉛の透明釉による施釉の鳩笛を意識したものなのですが、釉薬の実験が未だ万全ではないので、暫定的に大きな鳩笛の配色に似た感じで昨年塗ってみたところ、面白いと言ってくださる方がいらしたので、今回もそのような感じで塗っています。下地に胡粉を塗ってあるのは、最後の生粋の今戸人形の作者だった尾張屋・金澤春吉翁(明治元年〜昭和19年)がお作りになっていた愛宕神社で授与されていた鳩の彩色のイメージの記憶で塗ったもので案外比べてみると違うかもしれませんが、こんな感じではなかったか?というところです。愛宕神社の鳩は鳩笛仕立てではなく、ガラの土玉も入っていないムクの姿ですが、その配色のイメージの記憶です。
追記 14:30丸善にこれらの鳩笛運んできました。

FANみそ展 前日

2020-08-18 20:23:50 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 明日から開催の「FANみそ」展(丸の内丸善オアゾ4F ギャラリー)の展示設営へ行ってきました。 
 うちのブースだけですが、画像に撮りましたので、ご紹介します。

まずは上段。丸〆猫(まるしめのねこ)の嘉永安政風型、本丸〆猫、昭和戦前風型2種。叶福助、狐拳(庄屋・狐・猟人)、座禅だるま、天神。

 下段向かって左側。盆の外 招き猫ね火入れ、福枡(恵比寿大黒=枡枡半枡=益々繁盛)、招き猫貯金玉(尾張屋風)左招き猫(明治時代風・大)、左招き猫(明治時代風・小)、角盆内、鉄砲狐、子守狐、狐馬(馬乗り狐)、口入狐(男)、客寄せ狸、丸〆猫小判猫。

 下段中央、盆の後ろ。赤犬、犬、天神、お福牛。角盆内、丸〆猫(小・座)。丸〆猫(小・臥)、みみずく、お福牛。

 下段右側。盆の外、招き猫貯金玉(寺島風)、招き猫貯金玉(あぶ惣風)、羽衣狆。角盆内、寒紅の丑、泥めんのねずみ、大黒天ねずみ、鳩笛(大)、木型の招き猫、木型の女の子。

 以上作りかけたものすべてではないのですが、おでんの鍋のようにごちゃごちゃになってしまいました。期間中できたものをまた持っていこうと思います。明日はPM5:30~6:00くらいに会場におります。以降は3日に一度くらいのペースで会場へ向かいますが、時間については追ってお知らせします。持っていく人形についてもその都度お知らせします。よろしくお願いいたします。




搬入日前日(開場前々日)

2020-08-17 20:47:45 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)
 
 丸の内丸善オアゾでの「FANみそ」展は明後日19日から。明日は搬入作業。未だ自宅で作業しています。今回の出展ははじめての真夏(暦の上では秋なのですが…)開催。
 また、今年は何につけても例年とは勝手が違う?せいか、いつもより来年の干支に着手するのが早かったので、「寒紅の丑」や「お福牛」は既に出品できる状態です。反対に何度も出品してきたょうな古い今戸の定番的な人形が後回しになって、今どたばたしています。丸〆猫の小(座)や(臥)は今塗っています。左招き猫(明治時代風)
は急にいつもとは違う柄にしてみたくなり、「露芝」っぽいのに挑戦しています。いつものぴいぴい(鞴笛つき人形)は招き猫、狸、洋犬、ダルマなど少しだけ作業中で会期中に間に合えば、持ちこみたいと思っています。それとひねり鳩。若干組み立てて地塗りしていますが、初日に間に合うかどうか?これも会期中にはもって行ければと思います。

木型の人形(招き猫・女の子)

2020-08-16 12:54:50 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

木型から型取りした人形です。
型抜きの過程から苦難の連続で通常のように前後を合わせた状態ではきれいに抜き出すことが難しいので、それぞれ別々に抜き出して落ち着くまで置いて、改めて前後を貼り合わせました。

 そのためいびつで筆が引っかかりやすい感じがしました。女の子は髪型が唐子みたいになっているので薄くした藍色で下剃りのように塗ってから髷をおきました。招き猫は逆丸〆猫みたいな構図ですが、丸に〆の陽刻はないので、余計に書き込むことはしませんでした。

砂子蒔き

2020-08-13 20:28:29 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

「口入狐」「子守狐」の彩色中。砂子を蒔く工程は毎度ながら緊張するといえばよいのか、手に汗握る作業です。彩色した地色の上に砂子(土人形の場合本金ではなくて、真鍮粉のまがい砂子)を蒔いて装飾するケースがあり、昔の今戸人形でも行われていました。
 江戸時代から続いた最後の生粋の今戸人形の最後の作者であった尾張屋・金澤春吉翁(明治元年〜昭和19年)のお作りになられた人形にも砂子が蒔かれていることが多く見受けられます。
 昔の今戸人形の特色のひとつですから、それをお手本に目標として再現するには、省略することなく、行うべき工程ですが、結構しんどいです。もしもタイムマシンがあって作業する春吉翁の様子を拝見できれば、それに倣って骨法を学ぶことができるかもしれませんが…。
 漆器などには本金の砂子しか使わないそうですが、素人考えで、知らないでいうのも恐れ多いですが、漆の場合砂子が蒔かれる面の漆の乾燥は瞬間的なものではないので塗った面の粘ばりけは砂子が蒔かれて落ちるまで保たれていて貼り付くことができるのだと思うのですが、土人形の表面の泥絵具のマットな肌合いに蒔いて貼り付ける塩梅が難しいと思うのです。

搬入一回目

2020-08-11 20:09:03 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 FANみそ展開催8日前。搬入日一週間前。丸善さんへ人形を運んできました。暑かった〜。
前からみそろぎ人形展へお越しいただいた方だと、イメージしていただけるかと思いますが、会場内、私のブースだけいつも雑然としています。他の方々の展示はすっきりと格調高く、うちのブースだけごちゃごちゃ。例えていうなら、懐石料理や茶懐石、上等なフランス料理が並ぶ空間。似つかわしいBGMはバッハの管弦楽組曲第3番ニ長調第2曲とかヘンデルのハプシコード組曲第2番第4曲サラバンドという格調。
そういう中にいきなりおでんの煮売りの大鍋の中にごっちゃごちゃ…はんぺんにがんも、ちくわぶにスジ、ツミレにちくわ、こんにゃくにしらたき、さつまげにカレーボール。BGMは「深川」に「茄子とかぼちゃ」「奴さん」「かっぼれ」或いはお神楽の「玉入り」とか「馬鹿囃子」みたいな感じになります。小学生の頃通信簿の記述欄に「落ち着きがない。よく考えて落ち着いて行動しましょう。」と書かれていたこどもの成れの果て、という感じですかね。
 そういうわけで種類と数がやたら多いので、商品として管理していただく上で会場の方々にも準備期間が早くから必要なんですね。だから、ほかの出品者の方々より一週間早く会場へ運び入れたというわけです。
 といって今日で全て搬入し終えたわけではなくて、これからできあがったものは追って運びます。
とりあえず、今日搬入した分、家の中の足場ができたのでいくらか肩の荷が降りたり、落ち着いた感じです。でも油断大敵。まだできていない分を引き続き作業していきます。
今日は暑かったしまだ暑いので自分へのご褒美にハイボールをゴクッといきたいです。

FANみそ展のトレーラー

2020-08-10 23:53:48 | 街角

 8月19日から9月1日まで丸の内丸善オアゾ4階ギャラリーにて開催予定のFANみそ展のトレーラーができた、とのことで、近日封切りの最新映画のトレーラーみたいです。一瞬ですが、拙作の「お福牛」の画像もでてきてうれしいです。
お時間あったらこちらからご覧ください。→

招き猫貯金玉(あぶ惣風・寺島風)

2020-08-10 11:28:36 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 今戸焼の人形にニスを塗らないのは今戸人形の王道だと思うのですが、明治から昭和戦前にかけてニスを塗った例外的作例もあって、それらについては原作に基づきそのように仕上げています。
 寺島町で今戸焼の雑器を主に貯金の玉を作っていたという、高野安次郎という人(生没年不明)による招き猫の貯金玉は招き猫の形をした貯金玉の魁だったとして有坂与太郎の著述に記されています。この招き猫の場合、地の胡粉は残して墨や泥絵具の部分にニスを塗ってツヤを出しています。
 今戸長昌寺のそばで焼き芋渡世の傍ら、口入稲荷の狐や鉄砲狐、おはらごもり、寒紅の丑などを作っていたという鈴木タツ(生没年不明)は各種貯金玉も作っていたと記されていたのですが、文献などにその貯金玉の画像がみられないので(或いは一部希少な文献に掲載されていたものかどうか?)どういう作行のものであったのか見当がつきませんでしたが、画像のようであったろうと最近思うようになりました。型は寺島からの抜き型でしょうか。全体をニスで塗ってあります。あぶ惣は今戸人形制作の旧家で「するがや惣三郎」という名前と「虻惣」という屋号が伝わっていたそうで、鈴木タツはその末裔だとか記されているのであぶ惣風と呼んでいます。型としては寺島の招き猫からの型取りのような感じに見えますが、寺島より彩色の手はより簡略化して、全体がニス塗りになっています。
 いずれにしても、正面向きの招き猫は今戸としては明治以降、関西、中京地域の招き猫の東への進出の影響下で始まったものと思われます。今戸の古い招き猫は、丸〆猫(まるしめのねこ)のように横座りで顔だけ正面に向い招いているのが本来の姿のものです。