東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

干支の丑(牛)づくり① 「お福牛」

2020-06-22 22:26:57 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 例年だとこの時期に干支ものを始めるというのはひどく早いのですが、今年に入ってから催事等中止になったりで、その分空いた手でできることは早くからやっておこう、ということなのです。ひとまわり前の干支で手がけたものは直して改良し、前回手掛けることのできなかったものにも挑戦したいと思います。
 まずは「お福牛」。前回作ったものをコンパクトにして型抜きしています。
これは苦肉の作といったらよいか、古い今戸人形で代表的な福助とお福のお福の姿を牛と抱合せにしたものです。歌舞伎でいう「悪身」(わりみ)的な可笑しさを意識して作ったものです。
 いかつい男が、シオらしい身振りで踊ったり、口説きの振りをするのが悪身振りで、牛さんにお福さんになってもらっている、といった心です。干支の牛については追って他の人形も増やしていきたいと思います。

窯出し

2020-06-18 23:54:53 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 大抵窯詰めから素焼した炉内が自然に冷めて窯から出すまで、炉内の温度を気にして何度も行き来するものですが、今回は彩色や包装、荷造り、お納めと天気を気にしながら出入りを繰り返したりで、気がついたら炉内が冷めていた、という感じです。

 素焼きしたものからさらに型なおしをして抜き出したものを次の窯に間に合わせたいと思います。

練人形の招き猫

2020-06-16 11:58:31 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)
 
 これら土人形ではありません。このブログでも作業の様子をご紹介していた おがくずを練り固めて割型から抜き出したものなのです。
 最初に手掛けたのは既に20年近く前だったように思いますが、当時大変お世話になっていたS宿のB屋さんの番頭さんが作ったものを置いてくださいました。そのうちのものがまわりまわってNHKの「美の壺」(故・谷啓さんの時代)に出ていました。

 その後時間を挟んて再挑戦しかけたのがこれらの猫で、当時お約束いただいた皆さんにはずっとお待たせしてすみませんでした。

 先日仕事場を整理中に、埋もれていたものを発掘。
ぼちぼち再開しています。 
 自分は生まれも育ちも隅田川の畔の地域で昔の良い時代の今戸の人形を再現することに運命的に取り組んでいる、と思うようにして作業していますが、こうした今戸ではないものに浮気している、と叱られるのでは、という不安もあります。しかし形が今戸の猫にそっくりで、今戸との関係皆無とはいえないものであること。また現在、、現地で昔風のものが作られていないこと。
 そうなると、昔のものを持っている人は「むかしのものはよかった。(でも今はない。それを自分は持っているんだぜ…)」的な生産的ではないサイクルをまわるだけみたいで残念です。
そんな気持ちもあって、拙いながらやっています。

窯入れ 窯詰め

2020-06-15 21:29:03 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)
 
 人形の彩色と同時進行で型抜きや、原型起こしも行い、貯まった乾燥済の人形も素焼きしていきます。 今回も火入れなど大きめのものを詰めるので炉内のスペースを有効利用のため、小さなものは火入れの中に詰めて窯入れしていきます。

 欲をいえばもっとたくさん貯めたものをぎっしり詰めたいですが、型の調整のために急ぎ焼きたいものもあり、今回は満杯を待たず蓋をします。


ぴいぴいの鞴(ふいご)作り

2020-06-10 16:26:02 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 毎度の作業です。バイオレットの染料で染めた「古事記」の反故代用紙を定寸に裁断し、折り込んでいきます。

 先に蛇腹方向の折り目をつけ、そのあと貼り付ける板片の幅の折り目をつけて、まずは底板に貼り付けていきます。

 一気に上板も済ませていきたいところですが、紙がしつかり乾燥しないと皺が寄ったりしやすいので数時間置いてから上板を貼り付けます。

 ぴいぴいはもともと玩具とか際物を取り扱う問屋などの業者がそれぞれのパーツを下請けに出して合体させて生産されていたものだと思われ、人形の型抜きや素焼きは「木地屋」と呼ばれた今戸焼屋、彩色は落語「骨の塞」(今戸の狐)に出てくるような彩色を受け持つ内職、そして木材加工を受け持つ職、紙を折ったり貼ったりする内職など数多くの人々の手を経て完成さるたものだったのでしょう。

表の彩色(ダルマのぴいぴい)

2020-06-08 00:45:50 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)
 
ダルマのぴいぴい(ラッパ吹きダルマ・飯食いダルマ)の表側の彩色がだいだい済みました。
あとは飯食いダルマの座っている茶色の台座にまがい砂子(真鍮粉)を蒔くくらいです。

大抵のオーソドックスな今戸の人形なら裏側は胡粉の地を残すことがほとんどですが(もちろん例外的なケースはあります)、ぴいぴいの人物あるいは人物に準ずる人形は裏をベタに塗ります。これからそれをやります。

目入れ(ダルマのぴいぴい)

2020-06-06 01:03:53 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 「ラッパ吹きダルマのぴいぴい」と「飯食いダルマのぴいぴい」の目入れをしています。

今戸にはダルマの姿をした人形がいくつかありますが、ことにぴいぴい仕立てになっているものに関しては全体像がいまだ把握できず、今のところ画像の2種類を再現しています。「飯食い」のほうがナンセンスさが強い印象を受けますが「ラッパ吹き」のほうは今戸のぴいぴいの造形としてひとつの確たる理屈と言う感じのパターンを貫いたもののひとつなのだと考えています。
 というのはぴいぴいは鞴(ふいご)で音色を奏でるおもちゃですから鞴の上に乗る人形の姿は雀や都鳥だったり鶏など鳴いている鳥であることが自然だったのではないでしょうか。
 次に犬や猫、うさぎ、蝦蟇などの動物たちも鳴き声として音色とつじつまが合う…と昔の製作者たちは考えたのではないでしょうか。お猿さんが放屁するのも、同じ理屈です。
 そのあと人の姿の人形のバリエーションがぴいぴい化していく上で、音色に合わせてポーズさせる必要があったのが、なにか楽器を奏でていることだったのではないか、と思われます。ラッパを吹くダルマも、この理屈に合うもので、他にも笛を吹く牛若丸とか、笛を吹く西洋夫人などを確認しています。
 そのあと音色と人形の姿との理屈よりも見た目の面白さ、楽しさ重視になって音色とのつじつまにこだわらなくなっていったのではないかと思うのです。
 
 作業しながら日頃考えていたことを思い出して記してみました。

陰干し中

2020-06-03 10:09:36 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)
 
 中ぐらいから小さな人形ならば型抜きしてバリ取り、なめしが済んでそのまま置いておけば乾くのにそんなに時間はかからないのですが、火入れなど大きなものは肉厚にしてあるので時間がかかるしある程度乾くまで置き場所を移動させています。

 先ほど作業台の上から台所のレンジフードの上へ移動させました。

 招き猫の火入れにしろ、おかめの火入れにしろ下から見上げるといつもと見え方が違って見えて不思議な感じがするようです。