つい最近のブログでも取り上げた「オームの法則」は、今更言及するのはおかしな話だが実によく出来ている。
「電圧=電流×抵抗」
たとえば、オーディオにとって不可欠な存在の(音声信号を増幅する)パワー・アンプの場合。
一定の電圧(各家庭では100ボルト)のもとで、抵抗値(スピーカーのインピーダンス)が低くなると大きな電流が必要となりアンプの能力(出力)が耐え切れず悲鳴を上げる。
一方、抵抗値が増えて少ない電流で済むとアンプにとっては随分と楽になるが、音にすっかり元気〔力感)が失くなってしまう。
結局、どちらに偏っても何かしら弊害が現れてくるというわけで、電流と抵抗の関係に象徴されるように万事が微妙なバランスの上に成り立っているのが「オーディオ」。
すべてに亘って「適値」というものがあって、「やり過ぎても、やり足りなくてもアウト」という何とも複雑で難しい世界。
その辺が「オームの法則」という単純かつ不変の真理に凝縮されているように思うのだ。
ちょっと話が逸れるが、現代のSPユニットは大半がインピーダンスが8オームだがずっと昔のユニットは16オームが当たり前だった。
これは当時の真空管アンプの性能に合わせて作られていた時代の産物。因みに自分が愛用している50年前の「アキシオム80」は当然のごとく15オームなので小電力・小出力で済む真空管アンプ向き。
さて、片チャンネルの低音を4発のユニットで鳴らし始めてからおよそ10日あまり。
しっかりした量感とドスンという後を引き摺らない締まった低音を堪能しているが、「もっと良くなるかもしれない」と欲は果てしない。
やり過ぎても悪いし、やり足りなくても悪いし、いろいろと工夫しているところだが、楽しみながらも「悪戦苦闘中」という表現がピッタリ。
まず、吸音材。
4発のユニットを容れたボックスが後面開放型なので絶対に吸音材が必要だが当初応急的に木綿の毛布を被せていたのだが、ずっと以前にホームセンターで安物の「羽毛布団」を購入して1枚余っていたのを思い出した。
吸音材としてはグラス・ウールなどいろんな素材があるようだが「羽毛」が最高だそう。
気の遠くなるような時間をかけての進化の過程で、鳥の羽根は「強度と軽さ」を満たした最高の素材であり、羽根には目に見えない無数の穴が空いていてそれが”ほどよく”音を吸収し、空気抵抗を軽減してコーン紙の前後の振幅を助けるという。
「学問」と同じで、オーディオも「仮説〔理論)と実証」だあ~。
4月2日〔金)のこと、そっと押入れの中を探すとカミさんがちゃんと布団カバーを被せて保管していた。
胃の検査で無事と分かって俄然、強気に転じた自分。
その日の夕方、「おい、羽毛布団が要るようになったので俺にくれ、吸音材にするんだ」
「もお~、折角カバーをつけていたのに、勝手にしよ!」とご機嫌斜め。
何と言われても音を良くするためには「忍の一字」でただひたすら耐えるのみ。
翌日、早速羽毛布団を大きな裁ちバサミでジョッキン、ジョッキン。今回は随分と要領が良くなって、羽毛がこぼれないように「ホッチキス」でパチン、パチンとトメテいったので簡単。
左右のSPボックス用に1枚ずつ作ってそれぞれ上部に釘を打ち付けて被せてみた。「楽屋裏」はあまり見せたくないのだが、「百聞は一見にしかず」でやむなく写真をパチリ。
右チャンネル裏 左チャンネル裏
いやあ、これで随分と音が良くなりました!
ドカンという低音のときに室内のビビリ音が一切しなくなったし、随分と軽くて歯切れが良くなったのがうれしい。
そしてもう一つの課題。
写真でご覧のように、タンノイ・ウェストミンスターの中に入れている「アキシオム80」が横にある4発のウーファーたちの音圧の影響を受けて何だか元気が足りないように感じるのがちょっと気になる。
そこで、スペアで持っていたもう1セットの「アキシオム80」を引っ張り出して、ウェストミンスターの上に置いてみた。
フッ、フッ、フッ、これで二通りの鳴らせ方が出来る。
1 ウェストミンスター内臓のアキシオム80と4発のウーファー
2 ウェストミンスターの上に載せた「アキシオム80」と4発のウーファー
この1と2を同じアンプで聴き比べてみるとまったく甲乙つけがたし。1は音像定位に優れて音楽的な印象だが2は解像度に優れていていわばオーディオ的な音になる。
はてさて、どちらを選択しようか。今のところ日替わりのように両方をつなぎ替えて聴き比べているがホントに悩ましい毎日。