「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「オームの法則」ならぬ「オーディオの法則」

2015年02月22日 | オーディオ談義

昨日の朝食時に家内がこう言う。「お父さんはオーディオという趣味があるから退屈することがなくていいわねえ。退職後に何もすることがなくて困っている人が沢山いるみたいよ。」

「オーディオは時間がいくらあっても足りないからな。俺が手持無沙汰にしていないのでお前だっていいだろう。」「そうねえ。寄りかかられなくて済むので助かるわ。」

熱中できるものがあると人生はバラ色になる。オーディオに感謝しつつ今回もまたオーディオの話(笑)。

我が家のWE300Bアンプ(モノ×2台)といえばSN比もいいし、なかなかの音だが絶対的なエースかとなるとそうでもない。

そもそもライバルが「1920年代製の真空管」を使ったアンプ(3台)、「刻印付きの2A3」アンプ(2台)だから、そうは問屋が卸さない(笑)。

原因はアンプというよりも真空管そのものにあるようで、「評判ほどでもない」という印象をどうしても拭いきれない。現に周囲のオーディオ仲間たち(福岡)は長年愛用してきた「WE300B」から「1920年代製の真空管」へと、この1年余りの間にまるで草木がなびくように移行してしまった。


しかし、前々回のブログに記したように我が家ではWE300B(1951年製ペア)真空管をずっと手元に置いておくことに決めたので、例によって「勿体ない精神」から何とかもっとうまく鳴らす方法はないものかと思いを馳せる今日この頃。マニアはとても欲張りなのです(笑)。

           

巷には中国製の300Bも含めてこの系統の球を使った真空管アンプがそれこそ山のように溢れ返っているが、これまでいろんなお宅で聴かせてもらったものの、いずれも「いい音」だとは思ったが「振るい付きたくなるほど!」というわけにはいかなかった。

もし、そうなら手っ取り早くそっくり同じアンプを購入するか作ってもらうかするのだが、その気になることは皆無だった。

さて、300Bの使い方のノウハウとなると、何しろ稀代の名管なのでこれまでいろんなウワサが入ったり、出ていったり~。出ていくとはつまり使い物にならなかった情報のことである(笑)。

そういう中で前々回のブログに登場していただいたM女史の言はなかなか参考になりそうである。

今回、オークションに出品するためにWE300B真空管(オールド)を測定してもらおうと相談を持ちかけたときに「どうもWE300Bは肌身に合わないような気がします。アンプのせいかもしれませんが。」と、メールに“こぼした”ところ次のような回答があった。

「だと思います。300Bは本来AC(交流)点火の球でしょう。WEのアンプはそうなっています。で、WE曰く、“DCの場合は~”になるのですね。それを皆さん最初からDC(直流)点火にしている。DC点火すると音が硬くなり雰囲気(余韻)が消えます。AC点火で残留ハム6mV、これが基本ではないでしょうか?」

文面から「貴方はWE300Bのほんとうの価値を知らない」というお叱りの声が聞えてきそうだが(笑)、これはいまだに論争が続く300Bのヒーター点火の問題である。

オーディオは煎じ詰めれば個人ごとの“こだわり”の世界なのでいろんな論議があっても当然で、その中から自分にとってピンときたものを選択すればいいだけの話だが、例によってこれも「オームの法則」ならぬ「オーディオの法則」が働く。

つまり「こちら立てればあちら立たず」というわけで、オーディオは常にプラス・マイナスの差し引きで総合的に考えるクセを付けた方が大火傷(無駄遣い)しなくて済む。

今回の件もオーディオ仲間(福岡)によると「これまで交流点火の300Bアンプをいろんなところで聴かせてもらいましたが、常にブ~ンというハム音に悩まされていました。ハムバランサーではどうも取りきれないようです。結局“いい音”をとるかわりにハム音に悩まされるか、それとも直流点火にしてハム音を追放するかのどちらかの選択になってしまいます」。

自分ならどんなにいい音が出ようと、少しでもハム音が出れば凄く気になるので絶対に直流点火にする。

音楽の真髄は音がふと鳴り止んだときの音響空間に漂う余韻にこそある。静けさこそが“壺中の天”をもたらしてくれるというのに、そういうときに微かなハム音でも聴こえるとまったくの興ざめ。したがって(ハム音は)虫唾が走るほど嫌いなのである(笑)。

はてさて、交流点火の時にM女史がおっしゃる残留ハム6mVとは自分にとって我慢できる範囲なんだろうか。そもそも残留ハムを極限まで押さえるノウハウはいったいどういうのがあるんだろうか?この稀代の名管に対して興味は尽きない。

そういえば、前々回のブログ「縁は異なもの味なもの」に登場していただいたYさん(名古屋)も「WE300Bは交流点火がいい」と、力説されていたのを思い出す。

ほかにもWE300Bのノウハウは沢山あるんだろうが、「オームの法則」に疎い「温泉おじさん」には茨の道が果てしなく続く~(笑)。


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