「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

久しぶりの試聴会

2015年02月10日 | オーディオ談義

オーディオを長いことやっていると今後使う見込みのない機器がいろいろ出てくる。まだ現役として十分通用するモノばかりだが、まったく出番がないでは可哀想だし他所で活躍の場を与えてやるに越したことはない。

その点、現代は一昔前では考えられないネット・オークションという非常に便利なツールがあるので大いに助かる。もちろん資金繰りも大いに助かる(笑)。

そこで、長年愛用してきた機器だから多少の未練はあるもののスッパリ断ち切って、昨年から不要になった機器を順次同じオーディオ仲間のNさん(大分市)にお願いしてオークションに出品している。

たとえばワディアのCDトランスポートからウェスタンのトランス、WE300B(1952年製)、TR式のプリアンプ(3台)、不要になった古典管など大物小物を含めて引く手あまたで総額でいくと100万円近くにはなったが、すべて他のオーディオ機器に変身したので差引ゼロどころかむしろ赤字になってしまった。

dCSのCDトランスポート、オリジナルの「AXIOM80」(最初期版)、出力管「PP5/400」、1920年代製の真空管アンプ(4台)などに化けてしまったわけだが、まさに「お金は天下の回り物」(笑)。

そして、このたび「北国のおじさん」からJBL375ドライバー用のホルンをいただいてからおよそ1か月ほど経ったが、これがいたく気に入ってこれまで使ってきたウッドホーンは部屋の隅に放ったらかし。もう使う見込みはありましぇ~ん。

クラシックファンがジャズ向きとされるJBLを使うことの難しさも一因だが、とにかく性能を十分発揮させることが出来なかった自分に責任があるのだろう。それはともかく潔くオークションに出すことにしてNさんに相談してみると「そんなに早く決断していいんですか!勿体ないなあ~。」

「どうも自分が求めている音とは違うようです。(Nさんの)ご自宅に持って行くといいのでしょうが、取りに来ていただくついでに一度ホルンの音を実際に聴かれてみませんか」と、お誘いしてみた。

「そうだね、久しぶりにお伺いしようか。仲間と相談して後で訪問日時を連絡します。」

そして、6日(金)の14時に決定。訪問者はNさんをはじめMさんと初対面のAさんの3名となった。

わざわざ来ていただくほどの音ではないので、まるでボランティアみたいなものだがほんとうにオーディオ仲間はありがたい。ちなみに、某オーディオ評論家は自宅のシステムをお客さんに聴かせるのに1時間当たりでお金を取ると風の噂に聞いたが、自分の場合はむしろお金を払う方だと思っている(笑)。

さて、今回の試聴会のテーマは次の2点。

 JBL3ウェイシステムに使用する新しい「ホルン」とこれまで使ってきた「ウッドホーン」との違い

☆ 
同システムに最近取り付けたウーファー「D130」とこれまで使ってきたタンノイの「HPD385」との違い

後者については、Mさんがタンノイの時の音を熟知されているので、ご意見を伺うのにはもってこいのチャンス。

当日は朝から快晴で絶好の日和となった。

定刻通りきっかり14時にお見えになったのでさっそく試聴開始。クラシックからジャズ、歌謡曲までいろんなジャンルをひととおり聴いていただいた。

         

持ち主の面前で音質について手厳しいことを言うのは誰もが多少なりとも控えるだろうから、幾分割り引く必要があるとしても、(自分の)主観を交えずにありのままのご意見を紹介してみよう。おそらく仲間たちもこのブログを読んでいるだろうから“真っ赤なウソ”はとてもつけない(笑)。

 こういうユニークなシステムを試聴できる機会があるとはほんとうにありがたい。このホルンは見かけからしてキンキンする音が出てくるかと思ったら意外と“しっとりとした音”が出てくる。人の声のサシスセソが刺激的にならないのには驚いた。金管楽器などはもう抜群の鳴り方をしていて、まるで目の前で演奏しているみたい。こういう音を聴くとスピーカーは楽器であることをまざまざと実感する。これならウッドホーンを売る気になってもおかしくない。

 この前聴かせてもらったときはウーファーがタンノイだったがそれなりの良さはあった。たしかに中高音域とのスピードがやや合ってなかったが、逆にボーカルの時などはふわっと包み込むような感覚があってとても聴き心地が良かった。

その点、オールJBLのユニット(3ウェイ)になると全体のスピード感がそろってたしかにジャズなどはいいのだがクラシックやボーカルとなるとあまりにストレート過ぎて逆に味わいが薄くなる傾向がある。〇〇さんはクラシックを主体に聴かれるんだから、むしろ元のタンノイのユニットの方がJBLらしさを上手く中和して良かったような気がする。

 ホルンもたしかにいいのだがエンクロージャー(タンノイのウェストミンスター)がしっかりしているのが全体的によく利いている。低音域がしっかりしていないとホルンの良さがこれほどは目立たないと思う。やはりオーディオは総合的な視点から考えないと~。

 (「JBLシステムとAXIOM80を両方聴いてもらった後で、単刀直入にどちらの音が好きですか?」との問いに対して)それぞれに良さがあってどちらがいいとは言えない。強いて言えば「ありのままの音がJBL」で「やや着飾った音がAXIOM80」かな。まるでお国柄を聴いているみたいで、開放的で力強さを備えたアメリカと、その一方貴族の上流社会を思わせるような上品なヨーロッパの伝統の味との対比が実に鮮やか。


とまあ、以上のようなご意見だった。総じて、新しいホルンは好評で皆さんに大いにその良さを愛でていただいたのは持ち主としてうれしかったが、気になるのはのウーファーユニットの比較でJBLの「D130」とタンノイの「HPD385」との聴感上の違い。

そう言われてみると、まさに正鵠を射たご指摘のように思った。


オーディオはほんとうに「こちら立てればあちら立たず」で機器を交換したからといってまず、すべてが良くなるということはあり得ない。得るものがあれば何か失うものもある、長いこと機器をとっかえひっかえ試行錯誤をやってきたが、これの繰り返しである。この点をオーディオ仲間のGさん(福岡)に嘆くと「それだからこそオーディオは面白いんですよ!」

成る程!

なお、ウッドホーンを持ち帰り際にNさんが洩らされた何気ない言葉「見かけはウッドホーンの方がずっといいんだがなあ」にはちょっと身につまされた。

たしかに「見かけも音のうち」かも知れないが「目に映る美」と「耳に響く美」とどちらを優先するかとなると、そこはオーディオマニアなんだから・・・・。まあ、たしかに自分は“なりふり構わない”実利派タイプではある。

とはいえ、中にはオーディオを室内装飾の一部と考える方もたしかにおられるようで・・・。皆さまはいかがですか?


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