「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

これ以上、欲を出したら罰が当たる

2016年09月03日 | オーディオ談義

10日ほど前に登載したブログ「柳の下の二匹目のどじょうを狙う」(2016.8.25)では、その末尾に次の様に記していた。

「スピーカーが変わったのだからその性能に応じてもっと相性のいいアンプがきっと出てくるはず。2日がかりの実験の結果、予想に違わずこれまでダメだったアンプが見事に息を吹き返したんですよねえ。以下、続く。」

残念なことに、どなたからも「あの続きはどうなったんだ?」という催促がないし、それらしい気配もないので、ホッタラカシにしようかと思ったが、「以下、続く」とあるのに「続きがない」のではウソをついたことになる。

たしかに「ウソも方便」なところがあるが、こういう見え透いたウソは道徳上よろしくない(笑)。

そこで続きを~。

結論からいくと「息を吹き返したアンプ」とは、ここ1年間ほど使わずに寝かせておいた「2A3」シングルアンプのことだった。

         

アメリカの古典管の系譜は自分が知る範囲では「12A」 →「71A」 → 「45」 → 「50」 → 「2A3」と、脈々と受け継がれてきているが、この中で今でも取り分け世評が高いのが「45」であり、「50」である。「2A3はイマイチ」とも評されているが、設計次第によっては球の種類も豊富だし愛好している方もなかなか多いと聞く。

このアンプで使用している真空管の構成は初段から順次、「12AU7」(ボールドウィン) → 「6FQ7」(RCAクリヤトップ) → 「刻印入り2A3」(フランス製:VISSEAUX)。そして整流管は「5X4G」(カナダ製・楓マーク入り)。

パワーアンプの場合、ミニチュア管の一次、二次増幅というのはどうも印象が悪かったので、いずれ改造してもらおうかと二軍落ちにしていたのだが、スピーカーも変わったことだしと久しぶりに繋いでみたら驚いた。

とてもクリヤな響きでスピード感も透明感もこれで十分。どうしてこれまで活用してこなかったのだろうか?先入感は怖い。思わず自分の頭をド突いてやった(笑)。

アンプとスピーカーの関係といえばご存知のようにお互いの個性のぶつかり合いだが、やはりスピーカーの長所を伸ばし、短所を補ってくれるのがアンプの役割であり、今回のケースではスピーカーの引き立て役としてマッチングがうまくいったようだ。

ちなみに繋いだスピーカーは「AXIOM300+JBL075ツィーター」。

グッドマンAXIOM300はフルレンジとして使い、075は味付け程度にしてマイカコンデンサーの「0.15μF」でローカットしているが、クラシックを聴くのならこれで十分。

まったく惚れ惚れしながらルンルン気分の毎日だが自画自賛はあまり信用してもらえないのがオチなので、ここで「生き証人」に登場していただこう(笑)。

去る30日(火)におよそ1か月ぶりに我が家にお見えになったKさん(福岡)がその重要な証人。

はじめに「AXIOM300」を聴いていただいたところ、べた褒め。

「これ見よがしの派手さが無くて、ほんとうに音楽好きの方が鳴らす音ですね。いかにもグッドマンの本領発揮といったところです。075をプラスした違和感も微塵もありません。このスピーカーで2A3アンプが生き返りましたよ。

出力管の刻印入りVISSEAUXは我が家でも愛用していますが、定評のある一枚プレートものよりも音楽性は上のような気がします。数ある2A3真空管の中ではベストかもしれません。

フランス人は料理もさることながら、耳のセンスも侮れません。また、整流管の5X4Gの楓マーク入りは北国の博士が推奨されていただけのことはあります。とてもVISSEAUXと相性がピッタリです。想像以上の音にビックリしました。」


ことのほか鋭い耳の持ち主で、なかなかOKサインを出してくれないKさんからこういう言葉をいただくと、自分の取り組み方は間違ってなかったとひと安心。オーディオは自分さえ良ければそれでいい世界だが、それでも強力な後押しがあればやはり心強い(笑)。

次に「フィリップスのフルレンジユニット+スーパーツィーター」(箱はウェストミンスター)の試聴へ。

スーパーツィーターのチリ~ンと爽やかに鳴り響く音に魅せられて今やすっかりゾッコンのシステムだが、Kさんのご意見やいかに~。

はじめにシュワルツコップを聴いていただいたが、これが「AXIOM300」のとき以上の大好評!

「これまでシュワルツコップのレコードを散々聴いてきましたが、これぞまさしくシュワルツコップの声でしょう。彼女の声の再生は実に難しくてうまく鳴らしているシステムは少ないものですが、これは完璧ですね。

フィリップスのフルレンジがとてもいい味を出してます。タンノイを外して大正解でしたね。それに、とてもスーパーツィーターが利いてますよ。目立たないですけど雰囲気感の醸成に貢献が大きいです。実を言うとこれほど繋がりがいいとは思いませんでした。」

いやあ、今日は大安吉日だった(笑)。

ちなみにフィリップスのユニットを使っている方はどなたも刺激的な高音域の調整に苦労されているようで、つい先日オーディオ仲間のMさん(奈良)から参考までにと次のような画像が届いた。

                      

どなたのユニットか存じ上げないが実にうまい高音域拡散の方法を取っておられてつくづく感心した次第だが、その反面、寸法の調整など随分とご苦労の跡が偲ばれる。材質はおそらく厚手の紙だろうが、自分の場合はSPコードに「ムンドルフのゼロ抵抗コイル」を挿入して1万ヘルツ辺りから「6db/oct」で減衰させて、スーパーツィーターとバランスをとっている。

最後に付け加えておくとウェストミンスターを鳴らしたアンプは「PX25シングルアンプ」だったが、決め手は新しい整流管だった。

          

左側の真空管から前段管の「3A/107B」(STC) → 「PX25ナス管」(GEC)で一番右側の真空管が整流管で、つい最近手に入れたばかりのムラードの「10E/378」(軍用の直熱管)。

初めに使った整流管はコッサーの「CV378」だったが、どうもボンヤリして冴えないのでKさんのアドバイスもあってムラードに差し替えたところアンプを替えたぐらいに音が変わった。この珍しい整流管はクチコミにより、つい最近あるルートから手に入れたものだがそれだけのことはあった。

「これ以上欲を出したら罰が当たる」、そう思わせるほど我が家の2系統のシステムは熟成の域に達したようで、9月1日(木)にお見えになった4名のお客様たち(大分市)からもこれまでにない好評を博したがその模様は後日に~。

独り相撲ではとてもここまで到達できなかったのは明らかで、感謝の気持ちを忘れないようにしなければ(笑)。


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