「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

真空管バルボ「△△△」の後日談

2018年07月03日 | オーディオ談義

     

つい先日のブログ「半端ない欲望」(6月26日付)に搭載したように、奇跡的に手に入れたバルボ(ドイツ)の真空管「△△△」(画像左側2本)。

型番を「△△△」と匿名にした理由もその時に述べたが、何と挿しこんでから二日もしないうちにあえなくダウン。片方はノイズがするわ、片方はベースとガラスの部分が外れて音が出ないわで、あ~あ(笑)。

これだからちゃんとした測定結果の付いてない古典管は困る、こんなことなら買わなきゃよかったと思ったが、いつものように「北国の真空管博士」に泣きつくと、「ああいいですよ、診てあげましょう。」の一言でさっそく送付してまずは結果待ち。

無事到着の一報から翌日のこと、博士からさっそく次のようなメールが届いた。

「バルボの△△△修復完了しました。明日には発送の予定です。チューブテスタにてチェックしましたが極上品でした。 

もしかしたらノイズの原因はベースの接触不良だったのかもしれません。今回引き出し線をクリーニングして再半田しました。 

なお、△△△をアンプに装着した際のフィラメント電圧をご確認下さい。4V以上ですと寿命に著しく影響します。  

△△△に使われているバリウム昇華型フィラメントの性能はWE300Bのフィラメントを凌駕します。 

バリウム昇華型フィラメントの銘出力管RE604のフィラメントと比べてみましょう。 

WE300Bのフィラメントパワー5V×1.2A=6Wでエミッション300mA(1Wあたりのエミッション50mA) 

RE604のフィラメントパワー4V×0.65A=2.6Wでエミッション200mA(1Wあたりのエミッション77mA)  

WE300Bのフィラメントは酸化皮膜フィラメントの最高峰と言って良いと思います。 

そのフィラメントをバリウム昇華型フィラメントは軽々と上回っています。  

バリウム昇華型フィラメントの球は現存数が少ないためその価値を知る人は殆ど居ないのが現実です。今回△△△という球を通してバリウム昇華型フィラメントの真価を知っていただけたとすれば嬉しいことです。」

ほんとうに感謝感激で博士にお礼を述べるとともにさらに詳しく情報を収集したところ「バリウム昇華型フィラメント」は作るのにたいへんな手間と時間がかかるので自然と廃れていったとのこと。

悲しいかな真空管の歴史はコストダウンの歴史ともいえるようで、苦労に苦労を重ねて開発されたものの、大衆向けに供給する必要が生じてどうしても手抜きによる大量生産への方向に進んでしまう。

当然のごとく肝心の音質はなおざりにされ置き去られていくのが宿命である。マニアが最初期の真空管を血眼で探し求めるのもそういう理由からである。

なお、ドイツ系の真空管はツクリもさることながら全般的に材料の精錬度が抜きんでていて、それが音質にも反映されており他国製に比べると性能が一頭地を抜いているそうだ。

いずれにしても「バリウム昇華型フィラメント」といっても馴染が無くてピンとこない方が大半だろうが、これはむしろ波風を立てないという意味で「聴かぬが花」かもしれない。

昨日(2日)無事到着した「△△△」を改めて挿しこんで試聴したところ、すっかりノイズが消え去っており完璧な修理だった。しかも増幅率「μ(ミュー)=24」の威力とあいまって、音のリアル感が抜群!

何という魅力的な音だろう!

AXIOM80の潜在能力全開といったところ。いや、ホントだってば~(笑)。

「たかが前段管、されど前段管」、
今回は「バリウム昇華型フィラメント」の魅力の一端に触れた程度だが、その凄さをいったん味わうと「病膏肓(やまいこうこう)に入る」こと請け合い。

今後はぜひドイツ系の出力管を使ったアンプを手に入れたいと思わせるものがありますなあ(笑)。

 


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