正月休みで娘が帰省するたびに持って帰ってくる「このミステリがすごい!」。今年も国内編と海外編に分けて年間のベスト20までが紹介されている。
父娘そろって大のミステリファンなので、上位で紹介されたミステリをチェックして大いに参考にさせてもらっている。
ただし、やっぱり何ごとにも「当たりはずれ」があるので、わざわざ購入するのではなく図書館で見かけたら借りてくるというのが王道でしょう。
<国内編のベスト5>
1位 「それまでの明日」(原 寮)
2位 「ベルリンは晴れているか」(深緑 野分)
3位 「錆びた滑車」 (若竹七海)
4位 「沈黙のパレード」 (東野 圭吾)
5位 「宝島」 (真藤 順丈)
1位の「原 寮」さんは遅筆で有名な作家で、この作品も14年かかって仕上げられている。しかし、新作を出すたびに「このミステリ・・」で1位を取るのだから凄い。
「福岡高校~九大文学部」というご経歴だが、高校、大学と15年前に亡くなった次兄の後輩なので、原さんのお名前を拝見するたびに退職後すぐに61歳で病死した次兄の面影がつい浮かんできてしまう。
極めてハードな仕事だったのでおそらく疲労が蓄積していたのだろう。「楽しい余生が待っていて、これからというときに」と、それを味わえなかった次兄の無念さを想うと残念至極。弟がその分「倍返し」してあげるからね~。
2位の「ベルリンは晴れているか」はつい先日、図書館から何の気なしに借りてきたのだが、導入部がまどろこしくて途中で放棄して返却してしまったが、「栄えある2位ということなら最後まで読めばよかった。」と今になって臍(ほぞ)を噛んでいる(笑)。再度見かけたら今度こそ最後まで読もう。
4位の「沈黙のパレード」は昨年のブログで紹介したとおりでとても面白かった。それでも4位だから上位の水準がいかにハイレベルか思い知らされる。
次に<海外編のベスト5>
1位 「カササギ殺人事件(上下巻)」 アンソニー・ホロヴィッツ
2位 「そしてミランダを殺す」 ピーター・スワンソン
3位 「IQ」 ジョー・イデ
4位 「元年春之祭」 陸 秋さ(りく・しゅうさ)
5位 「ダ・フォース」 ドン・ウィンズロウ
1位の「カササギ・・」は娘が持って帰ってきて現在読破中。「とても面白い」そうだが、何しろ上下巻あるのでたいへんだ。任地へ戻るまでに何とか読破して2冊とも残していくように(娘に)連日発破を掛けている。
4位は中国発のミステリだが、(ミステリは)民主主義国家の特徴だと思っていたので意外。
なぜかといえば「イギリス病のすすめ」(2001年:講談社文庫)という本の中に「ミステリーとデモクラシー」と題して次のような箇所がある。
「ちょっと大げさに言うとミステリーとデモクラシーには相関性があるって言いますね。つまり、事件が起きたら証拠なしで怪しげなやつをひっつかまえてきて拷問して白状させるというような社会ではミステリーは発達しない。科学的に証拠を固めて、推理して・・・という過程を踏むような社会でこそ発達する。政治思想犯を有無を言わさず捕らえるなんて論外です。」
したがって、ミステリー発展の根源を求めていくと「一人ひとりの人権を大切にする社会風土と警察の科学的な手法に突き当たる。」わけだから、こたびの中国発のミステリーには少々驚かされた。
一党独裁の共産主義国家「中国」にも少しは「ミステリーを生むゆとり」が出てきたのだろうか。
おっと、何だか話が難しそうな方向に行きそうなのでこの辺でお仕舞~(笑)。
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