話が分かりやすいように、丁度1か月前の昨年(2018年)の12月12日に投稿した記事(一部)から入らせてもらおう。
(Nさん宅の)オーディオルームに入るなり「いつもお世話になってま~す。あれっ、いったい何やってんすか?」
Nさんが机の前で沈思黙考されている。
「実はねえ、この度Mさんがマランツ7Kを購入してねえ。試聴に行ったんだけど、これがもう素晴らしい音でねえ。大いに触発されて手持ちの部品で何とか作ってみたいものだと寄せ集めて(マランツ7の)回路図を研究しているところなんだ。」
以上のとおりの記事だったが、このプリアンプ「マランツ7」はおよそ60年前の製品なのにいまだに人気の衰えを知らず、逆にますます価値が高まってさえいる。有為転変の激しいオーディオ機器だが、こういうプリアンプもたいへん珍しい。
たとえばオークションで「プリアンプ」(真空管)で検索すると、いまだに「マランツ7型回路で作成」という記載をよく見かけるのがその証拠。
そのNさんから4日ほど前にお電話があった。
「あけましておめでとうございます。今年の正月はマランツ7型プリアンプの製作にかかりっきりでした。やっとどうにか完成したので聴きに来ませんか。」
「はい喜んでお伺いします。ついでにPADのSPケーブルが使えるようになりましたので持って行きたいのですがいかがでしょうか。」
「エッ、PAD!それは興味があるねえ。どうぞ持ってきてください。」
結論から言えば「Nさん自作のマランツ7」は素晴らしい音だった。「アルテックA5」が朗々と鳴って何ら不満を感じなかった。
よくお話を伺ってみると「マランツ7」型は感度が高いのでコンデンサーや抵抗の材質によって音が豹変するとのこと。
惜しいことに長期保管中だった「バンブルビー」のコンデンサーは容量が抜けたのが多くて2割程度しか使えず、その一方、抵抗の方はアレンブラッドリーが無事ですべて統一出来たとのこと。
当初はノイズが盛大に出て、3日間ほどコンデンサーをとっかえひっかえの調整の連続だったがようやく落ち着いたそうだ。
マランツ7型は我が家でも使っているが掛け値なしに「いい音」がすることを実感した。
詳しく伺うと、オーディオ界では「マランツ7党」として独自の世界が築かれており、程度のいいものから悪いものまでレストアされたものが専門店によって販売されていて、オリジナルに近い最高級品は350万円なり!
「マランツ7」じゃないと出ない音があるというのはよくわかります。
かって「ソウル・B・マランツ」氏(アメリカ)が個人用に製作したプリアンプが評判を呼び、その後広く普及したわけだが「採算を度外視した性能のいい製品を作り続けると会社が倒産する。」のは、マランツ社も例外ではなかった。
逆に言えばオーディオ業界で長持ちしている会社は「?」かもねえ(笑)。
最後に、本日の目的の一つだったSPケーブルをウェスタン製の単線からPADに切り替えて試聴させてもらった。
「凄いなあ!こんな音はアルテックA5から初めて聴いたよ。」と、感心することしきりのNさん。
何よりも低音域の重量感がすごかった。それかといって中高音域もとても澄んだ音が出る。
やっぱりPADのSPケーブルはどんなシステムにも通用する実力を発揮してくれたようだ。
さあ、PADの次の道場破りは「オートグラフ」と「クリプッシュホーン」を愛用されるMさん宅だ。
翌日、Mさんの了解を得てから訪問させてもらった。
以下、続く。
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