「日本人は水と安全はタダと思っている」とあったのは数十年前のベストセラー「日本人とユダヤ人」(イザヤ・ペンダサン)だった。
当時の「日本の平和ボケ」を鋭く指摘したこの言葉に対して、世間で新鮮かつショッキングな受け止め方をされたことを憶えている。
今回は、これをもじって「有益なオーディオ情報をタダで手に入れようとするのは甘い!」。
以下、少々立ち入ってみよう(笑)。
つい先日に完成した「AXIOM80+D123」の音に触発されていつものように「ああでもない、こうでもない」のクセが始まった。
現状に満足することなく、少しでも「もっといい音が出ないだろうか」の努力は「音楽&オーディオ」を「愛すればこそ」の賜物だと理解してほしい(笑)。
何しろスピーカーはアンプ次第でくるくる音が変わるので検討の余地が山ほどある。
それも真空管アンプの場合は「前段管、整流管、出力管」のどれを代えても音質に影響してくるのだからたまらない。
<第一段階>
AXIOM80には我が家のベストアンプ「WE300Bシングル」をあてがったのは当然のことだが、問題は低音域(350ヘルツ以下)を受け持つJBLの「D123」(口径30センチ)に対応するアンプの選択だ。
能率が比較的高く「100db」近くあるのに「コーン紙」が重たいせいかやたらにハイパワーを求めてくるクセのあるユニットである。
TRアンプに比べて真空管アンプ(シングル)の弱点は「パワーにある」といってもそれほど間違いではないと思うが、今回のケースでは「音質」に敬意を表して、低音域だけを担当させるのは実にもったいないけれど比較的出力に余裕がある「PX25シングル」アンプを動員した。
そういうわけで結局、このシステムを駆動するアンプは「WE300BとPX25」というアメリカとイギリスを代表する直熱三極管の「組み合わせ」となった。
<第二段階>
さらに、細部に分け入ってみよう。300Bシングルアンプの出力管には当初は「WE300B」(1988年製)を使っていたのだが、音質的にまったく不満はないもののやや低音が出過ぎるきらいがあった。
今回のケースでは低音域の補強は「D123」で補っているのだからあまり低音が出なくていいし、むしろ出過ぎると故障の原因にもなる。
何しろAXIOM80は良くも悪くも極めて繊細なツクリになっているので、低音過多の音楽ソースを聴くときには、まるで刑務所の塀の上を歩いているような気がしてきて知らず知らず冷や汗が出てくる(笑)。
そこで、思いついたのが以前「北国の真空管博士」から譲っていただいた出力管「〇〇〇」(刻印入り)だ。
300B真空管とはプレート電圧が違うので規格的に互換性は無いのだが、「私が改造した貴方の300Bアンプには十分使えるはずです」とのご託宣だった。
WE300Bに比べると規定通りのプレート電圧をかけていないので「やや薄味の低音域」が当時の記憶に残っていたのだが、むしろ今回のケースではもってこいの出番かもしれない。
さっそく差し換えてみると思わず「何じゃこりゃあ」と唸った!
音の透明感、音響空間の大きさや佇まいなど「WE300B」と互角、あるいはそれ以上なのである。もちろん低音域の押し出し感となると、D123がカバーしているので別の話。
さすがに「〇〇〇は鳴らし方によっては300Bに優るとも劣らない名管ですよ」という「博士」のお墨付きだけのことはあった。
お値段的にはWE300B(ペア)が製作年代と程度にもよりけりだがオークションで30万円前後もするほどなのに、この〇〇〇(ペア)となると、新品でもせいぜいその1/15程度だから小躍りしたくなるのも無理はない。
〇〇〇は「知る人ぞ知る」真空管なので有名じゃないし、ほんとうの価値を知っている人はごく少ないのが実情だ。
こういう「名も無き球」の実力派がまだごろごろ存在しているのだが、通常の真空管愛好家は「情報不足」で知らないだけである。
というわけで、今回はオーディオにおける情報の大切さを身に沁みて痛感したわけだが、読者の皆様にも「有益なオーディオ情報をタダで手に入れようとするのは甘い」ことを身を以って知っていただくために今回の真空管の型番「〇〇〇」は最後まで伏せさせてもらいます。
オークションなどで万一売りに出されたときに「何しろ安いし、ブログでもああ書いてたし、とりあえず買っとこか」という興味本位の人たちと、徒に競合したくもありませんしね。
どうか悪しからず。
とはいっても、このまま終わるとちょっと後味が悪いかなあ~(笑)。
そこで、もし「どうしても知りたい」という方がいれば「自己紹介欄」のメルアド宛ご連絡ください。
それこそ熱意に免じて「タダ」で教えて差し上げます(笑)。
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