このブログに頻繁に登場していただいている近隣のオーディオ仲間のYさん。
フルートの名手なので日頃から生の音に接しておられるせいか、音に対する感度がすこぶる高いし、歯に衣着せぬご指摘にも実に鋭いものがあって我が家のオーディオに大いに貢献してもらっている。
ちなみにモーツァルトの作品だけは演奏するときになぜか心がウキウキしてくるそうでまったく別格とのこと。
まだバリバリの現役なので我が家にお見えになるのは土曜、日曜のいずれかだが、「ちょっと聴いてもらえませんかね。」とお誘いすると気軽に「ハイ、いつもの時間ですね。」
その昔、プロ野球巨人に宮田というリリーフ投手がいたが、決まって8時半ごろに登場するので「8時半の男」と称されていたが、家内に言わせると「1時半のお方」だそうだ(笑)。
実はYさんがお見えになる理由の一つに「AXIOM80」への愛着があるのも事実で、いろんなスピーカーを聴いていただくのだが、最後は「AXIOM80」を所望され「やっぱり最後はこのスピーカーに尽きますね。」といつもウットリされている。
そのYさんが「AXIOM80に半田付けしている銅線を銀線に変えるともっといい音がすると思いますけどねえ。」と、ポツリと洩らされた。
現在のSPケーブルの状況はパワーアンプのSP端子からSPボックスのSP端子まで「PADのSPケーブル~3m~」が行き、それから先は銅線が1.2mぐらいの長さでAXIOM80の端子に半田付けしている。
この1.2mの長さの銅線を「ぜひ銀線に変えましょうよ。」というご提案である。
銀線と銅線と音がどう違うのか問われても科学的に証明するのは困難なので、聴感上で判断するしかないが、とてもハイ・センシティブな持ち主のAXIOM80だから、きっとこの小さな変化にも如実に反応を示すことは容易に想像できるところ。
期待度100%のもと「善は急げ」とばかり、さっそく東京のショップに注文した。中高音域なら直径0.8mm1本でいいが、フルレンジとなると2本をより合わせた方が無難だろう。
したがって片チャンネル分のプラス線、マイナス線を合わせて換算すると、1.2m×2×2=4.8mだから両チャンネル分だと9.6mになる。銀線は高価なので結構なお値段になりますよ!(笑)
しかし、乗りかかった船なので初志貫徹といこう。ほどなく代引きで品物が到着。
さっそく所定の1.2mにカットしてAXIOM80に半田付け。「芯剥き」がたいへんな作業だった。端っこを100円ライターで炙って厚手のビニール製手袋で焼けた部分を引っこ抜くこと連続16回。
このAXIOM80は古色蒼然としているが希少な最初期版である。
銀線の被覆には2種類あって「透明」と「青」があるが、芯の剥き具合がよくわかるので「青」の方がGOOD。
作業は1時間ほどで終了した。丁度土曜日の午前中だったので音出しすることなく、Yさんに「AXIOM80に銀線を装着しましたよ。一緒に聴きませんか?」
「ハイ、わかりました。いつもの時間ですね。」(笑)。
結果から言えば「素晴らしい!」の一言だった。
「水も滴るようなヴァイオリンとはこのことですね。完璧です。これまで聴かせていただいた中でベストの音ですよ。」
流石はAXIOM80で、たった1.2mの銀線ケーブルへの変更にも見事に応えてくれた。
メデタシ、メデタシ。
ちなみに使用したアンプは「171Aプッシュプル」だった。これもPADのSPケーブルによって息を吹き返したアンプである。相性が抜群で低音域の力感には「!」だった。ナス管がズラッと8本並ぶ眺めは壮観。
右の片隅に見えるRCAケーブルは「PADのREV.B」を復活させた。
このアンプの電源を「100v」から「200Vから100Vへ降圧した」電源へ切り替えたところ、全体的に騒がしさが減って透明感が増したのには驚いた。
「前段管がメッシュプレートの227で出力管がとても素直な171A,出力トランスがピアレスでインターステージトランスがパーマロイコアですから悪い音の出ようはずがありませんよ。」とは、改造していただいた「北国の真空管博士」の弁である。
AXIOM80との組み合わせに限って言えば「WE300Bシングル」や「PX25シングル」よりも明らかにこのアンプの方が上位にランクできる。
しかし、こういう完璧な音を出されると、逆に「失いたくない」という不安が頭をもたげてくるので良し悪しですね~。
オーディオは、ほどほどがよろし(笑)。
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