忘れもしない昨年の7月19日(日)のこと。
猛暑の中での「釣行」で疲れ果てての帰途、現地の見通しの悪い交叉点で信号無視の車とガチャ~ン。結局、人身に被害はなかったものの目撃者不在により五分五分の過失割合となってしまった。ウ~ン、残念無念!
それはともかく、中古のクルマを買い直してからほぼ1年が経過し、走行距離も丁度1万kmぐらいに達してようやく事故のほとぼりも冷めて運転にも馴染んできた。
何ら不具合はないもののディーラーの案内により7月28日〔水)に12ヶ月点検を受けたところ唯一「タイヤが随分ヘタってきてますよ」との指摘。
タイヤの故障は事故に直結する恐れがあるのでのでその足で馴染みのO市のタイヤ店に直行。店主と相談したところ今年の2月に発売されたばかりという「エコピアEP100」を薦められた。燃費が飛躍的に伸びるという。
これまでのタイヤは以前の持ち主がつけていた「ダンロップのル・マン」だが可もなし不可もなし。「走行性能」と「燃費」のいずれを優先するか、迷うところだがもはや「交叉点グランプリ」に挑戦する歳でもないので、ブランドのミシュランの「パイロット・スポーツX」は諦めることにした。
注入する空気は窒素にするよう忘れずに注文して、40分ほどで交換終了。早速クルマに飛び乗って自宅めがけて走らせた。なかなかいい乗り心地でまるでクルマを乗り換えたようなフィーリング。まあ、タイヤが新しいうちだけかもしれないが。
ともあれ、あれからおよそ10日間ほど実際に乗ってみたところこのタイヤの性能は大いに期待できそうだと思った。
「エコピア EP100」のネット情報によると同社の従来の標準的なタイヤに比べて、転がり抵抗が30%低減、燃費で4.2%向上とある。
たしかに走行中、前方の赤信号に向けてアクセルペダルを離してもどこまでも転がっていく感覚があるし、発進するときもクルマが随分軽く感じる。それかといって、コーナーリングとかストップするときも何ら違和感なし。
この調子だと以前の燃費が通常走行で8.0Km/ℓぐらいだったが、希望的観測も入って1割増の8.8km/ℓぐらいは伸びるかもしれない。
ちょっと”みみっちい”が実際に計算してみた。年間走行距離1万km、ハイオクガソリン145円/ℓとすると0.8km/ℓ向上するだけで1年間でおよそ110リットルの節約となり、金額にすると1万6千円。
これを押し広げて全国に当てはめてみよう。
ウェブで検索すると日本の車の台数は営業用、個人用を含めて現在7千万万台といわれており驚異的な数字。
これら全てが燃費のいいタイヤにはきかえると、仮に0.8Km/ℓ向上(8.0→8.8の場合)するだけでも全体では莫大な数値のガソリンが節約できる。
ざっと計算してみただけでも7千万台の車が1年間で仮に5千km走るとして、年間に約400万kℓと信じられないほどのガソリンが節約できる勘定になる。
これは原子力発電所に換算すると何基ぐらいに相当するんだろう?
とにかくタイヤの省燃費はほんとうにバカにならない。スーパーのレジ袋などとはまるで次元が違う。
関連して、以前読んだ本に環境を守るためのタイヤの最新の開発事情が書いてあった。
「ゴムはなぜ伸びる?」(2007.9.25、オーム社刊)
著者の伊藤真義さんは東京理科大教授。
本書の第5章に「驚きの性質をもつハイテク・ゴムたち」~二酸化炭素削減に協力するタイヤ~とある。やや理屈っぽいが概略次のとおり。
クルマが確実に「走る、曲がる、止まる」ができるのはタイヤと路面の間に摩擦力が発生するからだが、この摩擦力は燃費にも深く関っている。
つまり、摩擦力が大きいほど車の走りや制動の性能は良くなるが、逆に走行に使われるエネルギーの割合が少なくなり燃費の低下につながる。結局、高性能タイヤとは走りと制動が良い代わりに燃費は悪いという関係にある。
ところが、近年地球環境の問題が深刻化するにつれてタイヤに対する評価軸が完全に変わってきていて、いまや燃費性に優れた転がり抵抗の小さいタイヤが求められるようになった。
しかし、転がり抵抗を小さくすると逆に制動能力が下がって危険となるなど裏腹の関係にあるが、それを解決するのが補強剤として使用するカーボンブラックの替わりにシリカを使用すること。
このシリカ入りタイヤは転がり抵抗をカーボンブラックを用いたタイヤより約20%を下げるにもかかわらず、制動能力は逆に5%程度増加する(理屈は長くなるので省略)、いわば夢の高性能タイヤ。ちなみに転がり抵抗を20%削減すると約17%の二酸化炭素削減につながるとのことでエコタイヤの研究開発は着実に進んでいるようで喜ばしい。
話は変わってタイヤを装着したその日の夜半のこと。
クルマは家庭用にもしばしば使われる公共(?)の持ち物。オーディオ機器とはまるで性質が違う。
乏しくなる一方の小遣いなので、この経費ばかりはせめて「折半にして欲しい」と必死の思いでカミさんとのコワ~イ銭闘を展開したがまったく聞く耳をもたれず、とうとう押し切られてしまって全て自己負担に。
今回は根回しに時間がなくて口説きに失敗、ウ~ン残念!