4月中の収束宣言は困難
2020年3月9日
新型コロナウイルスの感染国は100か国を超え、累計の感染者は10万人以上に達しました。こうした状況のもとで夏の東京五輪は開催できるのか、開催すべきか。それを決断するタイムリミットは国際オリンピック委員会(IOC)がいう「5月」ではなく、4月でしょう。
IOCや日本側の「5月に最終決断」は建前でしょう。「予定通り開催」ならと . . . 本文を読む
最も怖いバブルの崩壊
2020年2月3日
中国の武漢市を発生源とする新型ウイルスは、世界に大きな混乱を巻き起こしています。世界保健機構(WHO)は感染拡大を阻止するため、「緊急事態宣言」を出しました。私は「緊急事態」は1つではなく、3つあると思います。
03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の当時と比べて、中国経済の世界に占めるシェアは当時の4%から現在の18%ま . . . 本文を読む
「議員が陪審員」は利益相反
2020年1月26日
トランプ米大統領の弾劾裁判が始まります。世界の主要リスクのトップは「誰が米大統領なるか」(政治リスクの米調査会社)です。「外交の私物化の表れ」「米国内の深まる分断」「同盟関係の黙殺」を加速するトランプ氏は、常識的に考えれば、大統領にふさわしくありません。
こうした常識がもう通用しない。トランプ氏の弾劾はまずない状況です。良 . . . 本文を読む
弾劾すべき政治的品位の欠落
2019年12月8日
トランプ大統領は悪びれることなく、品位に欠ける言動を繰り返し、国内を分断し、同盟関係に亀裂を与え、国際機関・協定を弱体化させています。中国、ロシアと対決すると言いながら、中露をひたすら喜ばせているのです。
世界で最強の民主主義国・米国が、その政治的指導者の言動によって傷だらけになり始めています。民主主義が世界的潮流として、退潮期 . . . 本文を読む
自主的な決定が望ましかった
2019年10月18日
東京五輪の花であるはずだったマラソン(及び競歩)の会場が札幌に移ることになりました。国際オリンピック委員会(IOC)が東京の酷暑を懸念し、やはり酷暑のドーハの世界陸上で棄権者が続出したことで、会場変更を決断しました。
基本方針が決まると、重大な決定、変更を自主的にできないという日本の意思決定の弱点が露呈しました。異常気象に対す . . . 本文を読む
金融緩和より金融軍縮会議を
2019年9月5日
世界貿易、国際金融は異常な、異様な事態に陥っています。「第二次世界大戦(1939-1945)前夜」に似てきたとの声も聞かれます。世界大戦に突入するのを防ぐため、ワシントン海軍軍縮会議(1921)、ロンドン海軍軍縮が会議(1930)が開かれ、海軍力を制限(戦艦の増強競争の抑制)する条約を結びました。そうした歴史を思い起こす必 . . . 本文を読む
南北朝鮮の統一もある
2019年8月27日
米国を代表する世界的投資家といえば、ジム・ロジャーズ、ジョージ・ソロス、ウオーレン・バフェットらです。その一人、ロジャーズの中国、南北朝鮮、ロシアなどについての長期的な見通し、さらにトランプ米大統領、安倍首相に対する評価は、日本で語られているのとは全く違う見解です。
これまで2度も世界一周の旅を敢行し、中国は3度、他の各国も訪ね歩き、 . . . 本文を読む
外交も政治も経済も
2019年8月22日
一つ一つのニュースを追ったり、論評していたりしても、世界で何が起き、世界がどうなるのか分からない時代になってきました。メディアや論壇はもっと大きく、目を見開いて、今、起きている国際社会の分裂、激変、激動を掘り下げて考える必要があります。
テレビ、新聞などは災害・豪雨、熱帯夜、あおり運転、大量殺人などばかり放映し、歴史の大変動期を感じさせ . . . 本文を読む
G7は存在感もなし
2019年6月30日
大阪で開かれた主要20か国首脳会議(G20)が終わりました。世界人口(75億人)の6割、GDP(85㌦)の9割を占めるとあって、首脳が勢ぞろいして記念写真を撮ると、会場は所狭しでした。世界を主導した時期もあった米日欧・先進7か国首脳会議(G7)の存在感は薄くなりました。
それでは10年前から開かれているG20の時代がきたのかというと、そ . . . 本文を読む
トランプ批判とトランプ評価の交錯
2019年5月28日
トランプ米大統領が新天皇の国賓として来日し、安倍首相とは通算11回目の首脳会談が行われました。日米の蜜月関係という表現は平板すぎ、「日本は米国依存」を深め、「米国もまた日本依存」に傾斜してきたというのが日米関係の本質です。
メディアは「おもてなし外交」「対米追従外交」「恩を売られた日本」(朝日新聞)という感情的なレベルから . . . 本文を読む
安倍氏の「日本を代表し」に絶句
2019年2月19日
「トランプ米大統領にノーベル平和賞」、「安倍首相が推薦」は、誰も悪い冗談と思っていますから、新聞も紙面の片隅に押し込んでいるのでしょう。トランプ氏は「恐らく受賞しないだろう」と思い、その通りになりました。ノーベル平和賞の軽さ、トランプ氏の軽さ、安倍氏の軽さがよく分かりました。
「50年間は推薦者も非推薦者も公表しない」がノー . . . 本文を読む
安倍首相との電話会談は筋違い
2019年1月28日
マクロン仏大統領が安倍首相との電話会談で、日産会長にスナール氏を起用するほか、ルノーと日産の経営統合の意向を示唆しました。企業レベルの話に大統領が首を突っこんできたことは、問題を政治・外交化させる愚策です。長期化するデモに手を焼き、国内向けのポーズを取りたかったのでしょうか。
仏政府がルノーの筆頭株主(20%)とは言え、まさか . . . 本文を読む
期待値だけ高めた愚
2019年1月24日
北方領土問題を含む平和条約交渉について、日ロ首脳会談は何の進展のないまま終わりました。安倍首相は「相互に受け入れ可能な解決策を見出す決意を共有した」と述べ、菅官房長官は「2019年における日ロ関係の素晴らしいスタートになった」と総括しました。政治は建前しか語らないことが多いので、このような発言になったのでしょう。
それにしても、期待値だ . . . 本文を読む
ストロングマン全盛でいいのか
2018年11月11日
ストロングマン(強権的政治指導者)という視点で政治の潮流を見つめることが目立ちます。トランプ米大統領はその頂点にいます。政治学者やメディアは「政治指導者」と訳しています。政治倫理に欠け、指導者の資格がない人物が多く、「指導者」というのは、どうかなとは思います。
安倍首相の外交政策の基軸は、トランプ氏と親密とされる関係です。そ . . . 本文を読む
積極的に評価したい議会のねじれ
2018年11月8日
米中間選挙は予想通り、下院で民主党が過半数を奪還し、上院は共和党が過半数を維持しました。数多くの論点や視点の中で、私は8年ぶりの議会のねじれ再現のプラス効果、米国主導のグローバル化が招いた米国社会の分断という皮肉、日本には想像できない米国政治の活力の3点に着目することにしました。
新聞論調は大きな変化が起きると、「政治の混迷 . . . 本文を読む