日本はぐらかし野球はを止めよ
24年9月22日
米大リーグ・ドジャーズの大谷翔平(30)がやりました。メジャー史上初の「50本塁打、50盗塁」の快挙です。仕上げは3連続本塁打ですから、米国の野球ファンは狂喜しました。日本ハム出身ですから、日本でもメディアは、新聞紙上、いまだかつてない大展開で沸きあがりました。
テレビ、新聞を見ていて、スポーツメディア、球界関係者は大谷に狂喜するばかりで、日本のプロ野球の将来に微塵も危機感をあらわにしていません。太田の身体の能力、運動神経が超人的であることに加え、米大リーグという舞台があったからこそ、信じがたい記録が生まれた。
ここで必要なのは、「日本野球はどうなるのだ。ますます一流選手の米国脱出が増え、日本の野球は衰えるのではないか」という危機感です。
新記録達成を伝えるNHKのニュースは、大谷がトップニュースです。巨人軍の親会社の読売新聞は、20日の夕刊で1面トップ、社会面もトップで「大谷/空前の走打」、翌21日朝刊はスポーツ面トップ「打者一本/大記録」、社会面「不世出のショー」。社説まで動員しています。
朝日新聞はさすがに一面トップでなく、左肩で「50-50、大リーグ史上初」、スポーツ面では「伝説の日」という持ち上げようで、号外まで出しました。毎日は1面に3段相当の囲み記事、スポーツ面は「未知の領域に突き進む」でした。
球団経営もする読売新聞は最大級の扱いで、社説は「今後誰も破れないのではないか。歴史的快挙である」。私は大谷を超人的な英雄扱いをすればするほど、大谷ばかりに目が向けられ、日本のプロ野球は大リーグの二軍扱いを受けるに違いない。
ですから、読売新聞がこんなに大騒ぎをするのは、編集方針に甘さがあり、もっと掘り下げた書き方をすべきでした。大谷の「50本」に対し、日本の本塁打トップの村上(ヤクルト)は30本、2位の岡本(巨人)26本です。パリーグも、トップクラスが32本、2位が23本です。
球場の広さは、日米の差はほとんどありません。センター方向は日米ともに400フィート(約120㍍)です。ホームラン数に大差がでてくるのは、大リーグでは強打者にも投手は真向勝負で臨み、「ホームランか三振か」です。大谷は159三振、ホームランを量産しているジャッジは164三振で、本塁打の3倍です。つまり投手も必死の投球で三振を狙い、打者は本塁打を狙う。
日本は強打者に対し、投手はストライクゾーンすれすれか、外したところを狙う。だから本塁打がなかなかでない。試合がダラダラ長く、緊張感がない。日本も、米国のように先発投手の投球数制限(約100球)を設けたらよい。いままでのようにボール球を投げていたら、勝利数を稼げない。
日本野球は監督、コーチ、捕手が「間を取る」ことを好み、試合が長引く。これも米国のように、次の投球までの時間(秒数)を決めたらどうでしょう。大リーグでは、ベースのサイズも大きくし、盗塁を出やすくしている。
米国はスポーツ国で、フットとボール、バスケット、バスケット、ホッケーがあり、個人技として、ゴルフ、テニスなどがあります。売上規模、ファンの数を競いあっているから、ファンが狂喜するようなルール改正を果敢にするのでしょう。ビジネスとして割り切っている。
大谷の「42-42」、「50—50」で狂喜し、英雄視する紙面ばかりを作るのは、日本のメディアの幼いところです。大リーグに脱出して、日本にいた時以上の成績を残す選手は少なくない。恐らくメージャー行気に備えて、国内では力を温存し、出し惜しみをしているとみる。だからますますつまらなくなる。そういう問題提起をしてみたらどうなのでしょうか。
油断せずに問題意識をもって対応することは大事かと思いますが、少なくとも2004年の危機以降、各球団の経営努力は良い方向に進んできている事も踏まえた上での議論をされておられるのか?と感じた次第