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週刊誌は小室・眞子さま夫妻の報道を検証すべき時だ

2022年10月24日 | 社会

 

識者にも合理的良識を求める

2022年10月24日

 小室圭さんが米ニューヨーク州司法試験に3度目の受験で合格しました。ほっとした人が多いでしょう。民間人になっているのだし、これで生活が成り立っていくのでしょうから、もうそっとしておいてあげるべきです。

 

 年収は3000万円、現在はロークラークだから600万円とか。円安が急激に進んでいますから、ドルベースでないと、比較できません。とにかく「東京の弁護士事務所の所長に『今回は合格しました。本当にうれしいです』と連絡してきた」の報道に圭さんの気持ちこもっている。

 

 逆にがっくりきている人もいることでしょう。「文春砲」の異名で勢いがある週刊文春は合格発表の直前の記事で「小室さん不合格でも、安泰の証拠写真。そして佳子様が動いた」と報道しました。

 

 そのライバル誌の週刊新潮は「小室さん不合格濃厚で、秋篠宮を襲う『お誕生日の辟易』。眞子さんは『見返したいから』受験継続」という記事でした。両誌とも「不合格」を確信し、試験結果の発表に合わせて掲載したのでしょう。ぶざまな結果となりました。

 

 日本雑誌協会には「雑誌編集倫理綱領」があり、「言論、報道の自由」、「人権と名誉の尊重」、「文化的使命のための高い品質」などを掲げています。「言論、報道の自由」があるからといって、何でも自由に書いてもいいということではない。

 

 自由には責任が伴い、「人権と名誉」を尊重するという責任が一方にあることを、雑誌編集側自身が認めているのです。口先だけで唱えるのではなく、今回のように「不合格」を予告するような記事を掲載したことを反省し、検証し公表してほしい。実質的な誤報です。

 

 テレビ放送には、「放送倫理・番組向上機構(BPO)」があり、誤報、勇み足、人権無視の報道、番組を厳しく審査しています。公共の電波を割り当てられていますから、厳しいチェックがあるのです。

 

 日本新聞協会にも、新聞倫理綱領があり、「自由と責任」、「正確と公正」、「人権の尊重」、「品格と節度」などを掲げています。新聞の社会的使命、公共性の高さを裏切らないようにするためです。重大な報道ミスについては、自主的に検証をし、紙面で発表し、反省を表明しています。

 

 週刊誌も自ら倫理綱領を掲げているのですから、自主的に報道を検証してほしい。これまで週刊誌がそうした自己検証をした形跡はまず見当たりません。一連の皇室報道、小室・眞子さん報道では「あること、ないこと」を垂れ流してきました。

 

 週刊誌を発行している出版社は、文芸春秋社、新潮社などまともな出版物を多数、発行しています。同じ出版社なのに、「書籍では公共性を自覚し、他方では売れればいい式の週刊誌を出す」のはいかがなものでしょうか。これは出版社の社長らが自省すべき問題です。

 

 私の知人の弁護士は「いくら英語力があるからといって、法律の基礎を学んでこなかった小室さんが米国の司法試験に合格するのは難しい」と予想していました。それだけに「よく頑張りましたね」と、私は思う。

 

 小室・眞子さまは皇室を離脱して民間人になりきっているのだし、生活の見通しもついてきたのですから、もう夫妻の報道、論評、解説はやめたらいい。米国で新しい人生を送ろうとしているのですから、そっとしておいてあげたらいい。

 

 ネット論壇で「司法試験に合格しても、結婚時より状況は厳しい」という投稿を見かけました。米司法界は競争が厳しく、圭さんも努力が必要です。それは圭さんに限ったことではない。米国で弁護士になった日本人共通の話です。なぜこの際、わざわざこんな指摘をするのか理解できない。

 

 さらに「二度も試験に落ちた。三度目を受けての合格では、能力としての評価は下がる」と。週刊誌があることないことを報道し、旧勢力よりの識者らも夫妻を酷評する中では、落ちついて勉強できるはずがない。二度、落ちても不思議ではない。このようなあらさがしをなぜするのか。

 

 報道機関、識者らはこんなことより、将来の天皇のありかた、女性皇族の結婚問題、皇室の持続性について、合理的で的確な主張、情報を提供してほしい。叩きやすい相手で、相手も反論をいいにくいような問題をしつこく追う必要はありません。

 

 愛子さまの結婚相手として、旧宮家の子息の名前が報じられたりしています。結婚は本人の意思を尊重するのが原則でしょう。一方、旧宮家の皇族復帰案はどうなっていますか。

 

 皇室の持続性を考えると、皇室外からの血を今後、さらに迎えていくことが必要です。旧皇族の復帰はそれに沿った考え方なのか議論が足りない。エリザベス英女王を悼む声が多い。日本でも女性・女系天皇容認の世論は70%前後の高率に上ります。

 

 岸田政権が女性・女系天皇を否定するような方向性を打ち出せば、きっと世論の政権支持率は下がるでしょう。なぜ「男系男子」にこだわるのかと。皇室典範を変えればいいではないかと。

 

 「天皇制は万世一系、神武以来126代」はいわば神話の世界の次元の話でしょう。初代から15代あたりまでは、実在が不確かな神話で作られた。明治時代に、権威付け、政策的狙いからそういう系統図を作ったとか。もちろん、女性天皇も存在していました。神話と史実の分離、女性天皇拒否の合理的理由などをしっかり考えるべきでしょう。

 

 

 

 

 

 


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1 コメント

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Unknown (すし郎)
2022-10-25 22:26:18
「自由には責任が伴う」

新聞や放送局が誤報をすれば謝罪し、訂正する。

検証記事や番組も組む。

週刊誌はガセやデマ記事がほとんどです。特に皇室関連の記事は「ないこと、ないこと」の内容が大半です。

芸能人なら事務所や本人から名誉棄損で訴えられるおそれがあるけど、皇族に対しては宮内庁は抗議してくるだけで裁判を起こされることもないと高を括っているのでしょう。

イギリス王室は誤報があれば抗議し、プライバシーを侵害されれば裁判も辞さない。


JFKジュニアもニューヨーク州弁護士試験に2度落ち、3度目の挑戦でやっと合格しました。

フランクリン・ルーズベルトやカマラ・ハリス、ヒラリー・クリントンなども弁護士試験に落ちています。

これが非ネイティブだと、合格率はさらに低くなります。

灘高から東大工学部に進み、法科大学院を卒業して司法試験に合格し、UCバークレーと南カリフォルニア大学のロースクールを修了した秀才でも、カリフォルニア州弁護士試験には5回落ちています。

法学部卒でもなく日本の弁護士資格も持たない小室圭さんが3度目の挑戦でニューヨーク州弁護士試験に合格したのは立派です。
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