「自問自答解散」かも
2014年11月19日
安倍首相が解散・総選挙を表明しました。12月14日の投開票で、この「なんのため解散」に有権者が「???」と反発するのか、「消費税の先送り」を歓迎して、安倍首相にもう4年間の任期を付託したと、本当にいえる得票結果なるのか、評価が難しい選挙になりますね。有権者も迷うことは間違いないでしょう。
いろいろ伝えられている舞台裏の動きで、「なるほど」と思った一言がありました。増税延期と年内解散をセットにする首相の一途の決意に、複数の自民党実力者が反対し、首相との調整を求められた谷垣幹事長は「あの人は止められない」といったというのです。やはりそうだったのか、ですね。まわりは懸念していたのです。「あの人はとめられない解散」です。靖国神社参拝でも、やはり「あの人は止められない」で、外交上の失点を自ら招きました。
「しっかり」を乱発した心理
昨夜の記者会見の実況を見ていましたら、安倍首相がやたらと、「しっかり」を乱発するのです。「わたしは財政健全化目標をしっかりと堅持していく」、「国民全体の所得をしっかり押し上げる」などです。今朝の新聞詳報で数えたところ、6回は「しっかり」と発言していました。あまり自信が持てないときに「しっかりやる」ということが多いように思います。あるのは意気込みばかりで、経済目標の達成に自信はないような心理状態とも、見受けられました。自分の解散決意に「自問自答」しているのかもしれませんね。「自問自答解散」に有権者が付き合わされるのではこまりますね。
首相の最大の解散目的は「あと四年の長期政権の確立」であることがはっきりしてきました。そのためには、政局環境を考えると、「安倍首相にとって今が最善」という読みなのでしょう。二期連続のマイナス成長が発表され、景気の先行き判断が難しくなり、「経済環境にとっては今が最悪」です。「安倍政治にとっての最善」を「経済にとっての最悪」より優先させたのです。
安倍首相に同情の余地はあります。14年4月の消費税8%から9ヶ月で次の増税(15年10月に10%)を今、決めろというのは酷でしょう。そういう期間設定をした民自公の3党合意が無理がありました。次の引き上げまで少なくとも2年の間隔をあけるのが賢明です。実際に景気が腰折れするの気配もあり、消費増税を先送りするという首相の選択は理解できます。
どうにも理解できないのは、消費増税の先送りと解散をセットにしたことです。野党も増税先送りに転向し、先送りの消費税法案はほぼ全党一致で成立します。なにも「信を問う」ということをしなくて済むのです。「あと4年の長期政権」樹立のために、有権者が喜びそうな増税先送りを挨拶代わりの土産にした思われるのです。
原発、安保法制こそ争点
「あと4年の長期政権」でよい業績を残してくれれば、日本のためになります。昨夜の記者会見では「経済成長以外にも重要政策がある。原発政策、安全保障政策についても、党の公約にきっちりと書き込み、選挙戦に臨む」といいました。解散・総選挙で「信を問う」なら、国民の反対が過半数に達するこれらの問題こそ最大の争点にすべきなのです。それなのに、首相会見では、申し訳程度にしか扱われていません。
勝敗ラインは「過半数以上」と、こちらは控えめです。今、自公で定数の3分の2以上、326議席がかなり減るリスクがあります。新定数での過半数は238議席です。まさか過半数を割ることはないでしょう。そこで、議席を減らしても「過半数以上だから信任を得られた」と解釈してしまえば、原発再稼動や安全保障法制の整備に進む付託を受けたことになるというのでしょうか。現在の圧倒的多数のほうが、有権者や国会を説得しやすいはずなのにね。ひょっとすると、安倍首相には、「自民党がまた圧勝する」とのひらめきがあるのかもしれません。そうとしか考えようがありません。
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