メディアも右往左往
2024年6月27日
連日、岸田降ろしの風が吹きまくっています。こうなると何が正しい選択なのかより、岸田首相がいつ退陣するか、だれが後継首相になるのかに関心が移ってしまうのが政治ジャーナリズムの悪習です。
政治の底流より、表層雪崩の動きばかりを報道する。かりに次の総裁が決まったとっしても、日本の政治がどう変わっていくのかが分からない。スローガンだけで、思い切った手も打てそうにない。そこを見透かされ、円売りが加速し、1㌦=160円まで下落するのです。
ある著名評論家は「岸田首相は引き際を誤った。政治責任をとっていない」と発言しました。政治資金の裏金疑惑は安倍派の罪が最も重く、しかも裏金継続を指揮したあのは、誰でもが予想する「ある人」であるのに、誰も口を割らない。
小沢一郎衆議院議員(立憲)が「岸田首相に責任をおっ被せて辞めてもらい、人気者を新総裁にする。責任を取るのはこの人(退陣論を提唱した人)を含めた自民党」と批判しました。この問題に限れば、小沢氏は的を射ています。
世論調査(6月24日、読売で、改正政治資金法の成立に対する評価を聞いたところ、「評価しない56%」、さらに「政治とカネの問題の解決につながると思いますか」には「思わない73%」でした。こうした評価が政権支持率の低下64%につながっているはずです。
世論は、政治資金法改正で自民党はもっと譲歩すべきだと考えている。「政治資金を監視する第三者機関の設置」などは、付記されただけで「今後の検討」となり、恐らくやる気はないのでしょう。
徹底した政治資金の浄化に抵抗しているのが自民党でしょう。自民党内の大勢は「岸田首相は野党の要求に譲歩しすぎている」で、菅・前首相が躍りでて、メディアは「何が今の日本の政治に必要なのか」より、「国会閉幕で総裁選に号砲」(日経)といった具合です。
岸田首相にしてみれば、世論からは「譲歩が足りない」といわれ、自民党からは「譲歩のし過ぎだ」と批判される。どちらを向いたらよいのか、悩み抜いていることは確かでしょう。
何かにつけて「首相の指導力が足りない」で、片づけられる問題ではありません。メディアが指摘すべきは「自民党内からの抵抗が政権支持率を低下させていることに自民党は目覚めるべきだ」ということです。
社説では「不正根絶に向けた資金の透明化には程遠い」(日経)、「岸田首相も国会も国民の負託に応えたとはいえない」(朝日)と書いたきり、その後の岸田降しをどうみているのかにまだ触れていません。
菅・前首相は「ポスト岸田」候補の評価を聞かれ、「期待できる方だ」、「突破力はある」、「改革意欲がある」などと答えています。世論調査(読売6月24日)では「次期総裁には誰がふさわしいか」の問いに「石破茂23%、小泉進次郎15%、高市早苗7%・・・」などを紹介しています。
これらは単なる人気投票でしょう。選挙向きの顔を並べただけで、かれらが「罠に嵌っている日本をどう再生させるのか」が何もわかりません。連日、岸田降しの情報を読まされるとしたら、虚しい。
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