テレビドラマ「LEADERS リーダーズ」を見ました。国産自動車産業の黎明期(れいめいき)の話でした。ドラマの舞台となったトヨタは今でこそ世界最大の自動車メーカですが、ついこの間まで(私が生まれる寸前くらいまで)何度も苦境に立たされていました。
どんな会社でも創業時や産業自体が黎明期の頃は、様々な苦難に遭います。多くは斃(たお)れ、ほんのわずかな会社だけが生き残ります。生き残った会社はやがて業績が伸び、安定し、繁栄を謳歌します。ビジネスも生物界と同じで、多産多死の世界なのです。
黎明期という言葉を辞書で調べると「夜明けにあたる時期。新しい文化・時代などが始まろうとする時期」とあります。
では、黎明期はいつなのでしょうか。
もちろん、答えは「いま」です。
今この瞬間が、何かの産業の黎明期です。バイオテクノロジーやクリーンエネルギーといった分かりやすいものから、まだほとんど知られていない技術やサービス等もあることでしょう。
私が大学4年生の時に、就職先にメーカーを選んだことを経済学部のある教授に伝えたところ、「なんで製造業に行くの?金融の方が給料も良いし安定しているのに。」と言われたことがあります。
私は「製造業はイノベーションを起こせるからです!」と答えました。すると教授は少し笑いながら、「今の世の中これだけ技術が発達しているんだから、これから先、もうイノベーションなんてほとんど起こらないよ。」と言いました。1978年のことです。
イノベーションは今もたくさん、どこかで必ず起きています。それはよく見えないけれど、私たちの身近にたくさんあります。今が何かの黎明期なのです。
・・・もっとも、その「何か」が分かれば苦労はしないのですが。
(人材育成社)