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漫画版が続々出版

2014年12月10日 | コンサルティング

「まんがでわかる7つの習慣」、「マンガでわかる!トヨタ式仕事カイゼン術」、「コミック版 ザ・ゴール」などなど、ここのところ、かつてヒットしたビジネス書の漫画版が続々と出版されています。

私もためしに何冊か読んでみましたが、もともとのビジネス書よりもページ数が少なく、大半のページがアニメで構成されていますので、あっという間に読めてしまいます。

20年近く前に初めて「7つの習慣」を読んだ時には、読み終えるのに随分と骨が折れたことを記憶していますが、それと比べ漫画版は非常にあっさりと短時間で読むことができ、かなり敷居が低くなったように感じました。

先日(12月1日)、2014年の図書の年間ベストセラーが発表(「日販調べ」)されましたが、この「7つの習慣」は見事第5位を獲得していています。

今年のベストセラーの傾向としては、漫画版だけでなく全体として、ビジネス書のお手軽化が進んでいるそうです。

その背景には、本を読む人が少なくなり、少しでも読みやすくすることで裾野を広げようという狙いがあるのだと思います。

今夜のNHKの「クローズアップ現代」でも「本を読まない人が急増 日本人に異変が?」との番組が放送されていました。

そこでは、3年間で一冊しか本を読まない20代、1か月に一冊も本を読まない大学生が4割もいるとのことでした。その理由は、本を読む時間がないことや、情報収集はスマートフォンなどネットで行えるからとのことでしたが、ある大学の担当者はそれを単なる読書離れではなく、情報を入手する、あるいは本を読む時の意識自体が変わってきていると言っていました。

読書を単に情報収集のための手段と考えるならば、スマートフォンでも代用ができるのでしょうが、読書の目的は決してそれだけではないはずです。

番組の中では、評論家の立花隆さんがネットだけでの情報収集はどうしても掘り方が浅くなって十分ではなく、本など他の手段を通してより深い情報を得ることが必要になること、思考力を培っていく上では若い時に本を読むことが必要であること、本とは一まとまりの知識であるが、決して知的な部分だけではなく、知・情・意の3つを持った総合メディアであるとおっしゃっていました。

さらに、番組では1日に本を全く読まない学生と1日に2時間本を読む学生との間には明らかに情報収集の仕方に差があること、読書の有無は自分の意見を明確に表現できるかどうか、さらにその際の文章力にも影響が大きいとの調査結果も紹介されていました。

今後、ビジネス書の漫画化はますます拍車がかかると推測できますし、本を読む人の裾野を広げるという意味でそれ自体は悪いことではないと思いますが、こうした事態を考えると、このことがもたらす影響は小さくないと思われますので、必ずしも喜んでばかりはいられないように思えます。

番組を見終わって、あらためて毎日大切な時間として本を読む時間を獲得しようと思っていますが、皆さんはいかかですか。

(冒頭の写真はAmazonより)

 (人材育成社)