グループウェア(Groupware )とは、組織内の情報共有のためのソフトウェアです。グループウェアを使うことで、普段使っているコンピュータやスマートフォンから様々な情報の共有やスケジュール管理といった業務が簡単にできます。
具体的にはメール、BBS(電子掲示板)、社員個々人のスケジュール管理と公開、ドキュメント類(企画書、見積書、画像データ等)の保存と共有、会議室の予約等々、会社で行う共同作業のほとんどをカバーしています。これらにセキュリティ機能を強化し、クラウドベースで利用できるようにしたものが多いようです。
グループウェアがなぜ必要かといえば、素早く情報を共有することでビジネスチャンスを逃さないようにするためです。会社の仕事は複数の社員が協力し合って進めるものです。アイデアを出し、検討を行い、資料を作り、提出する。この一連の流れを短時間でこなすことが他社との競争で優位に立つための条件です。
しかし、グループウェアが上手く機能しないこともあります。
以前、取引先のある中小企業の社長から「グループウェアを導入したとたん、情報が共有されなくなった!」という話を聞きました。
そんなことがあるのだろうかと驚いてよく聞いてみると、まだ十分に社員がソフトを使いこなせていないため、それまで社長に上がってきた情報が一時的に止まっていただけでした。
やがて営業日報などの報告書類がグループウェアを使って流通し始めると、社長の不満も無くなっていきました。
ところがしばらくすると今度はユーザーである従業員、特に若手社員から不満の声が上がってきました。上司に出す報告書も明らかにコピペが多くなり、肝心の新たな情報や社員からの提案や発言が少なくなっていきました。
「もっとグループウェアを活用するよう、社員に使い方を指導してくれませんか。」
社長の依頼を受けた私は、指導を行う前にユーザーである社員全員にアンケート調査を実施しました。
アンケート結果を見てみると、多少使い勝手や機能に関する不満があるものの、ソフトに対する満足度は高く出ていました。
どうやら真の原因は他にあるようです。
そこで何人かのユーザーにインタビューを行いました。その結果次のような声を聞くことができました。
「いくらグループウェアに情報を入力しても上司からほとんどフィードバックが来ない。」、「自分の報告が役に立っているのかどうかわからない。一体何のためにキーボードを叩いているのか・・・」、「以前は営業日報に上司からの手書きのコメントがあったのに」
グループウェアを使いこなせていなかったのは、実は部長クラスの管理職だったのです。
社長はシステムの導入時に管理職に対して、「年寄り(注:50代以上を指しています)はコンピュータなんて使いこなせないんだからコンピュータができないことをやれ!」と言っていたことがわかりました。
その結果、管理職からのコメントやアドバイスが激減してしまったのです。
情報共有はグループウェアを使おうが使うまいが、まずは経営者、管理職から始めなければなりません。
情報は水のごとく、上から下へ流れます。そして、下まで行けば上まで戻って来るのです。
(人材育成社)