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「何で?」質問の適切な使用法

2017年01月11日 | コンサルティング

友人の連れ合い:「何でそこでワイパーを動かすの?」「何で方向指示器を左に 出すの?右だ!」「何でそこで左に寄るの?もっと真ん中!」

友人:「・・・・・」

これは私の友人とその連れ合いのやりとりです。

友人は日本車の運転には慣れているのですが、自宅にある輸入車の運転には慣れていない(右ハンドルですが、もともと左ハンドル用の設計ため、ワイパーレバーはハンドルの右に、方向指示器が左にある)ため、お正月に運転の練習した際に、助手席に座った連れ合いから「何で?」の質問攻めにあったそうです。

それに対し、友人は何一つ返答ができなかったと言っていました。

「輸入車の運転に慣れていないから練習をしているのに、助手席で何で○○する?何で?何で?何で?と一挙手一投足に対して質問されてもね~。理由なんてないよ。余裕のない運転だから、方向指示器を出すはずが、ワイパーを動かしてしまっているのに、一回ごとに何で?何で?と理由を聞かれても困るだけ。理由は聞かずに、指示だけしてくれればいいから」

友人は余裕のない運転の中で、少しイラついた言い方でこのように叫んだとのことでした。

この話を聞いて、実は「何で?」を結構連発している自分の姿が頭の片隅に思い浮かび、あらためて「何で?」を使う際には注意が必要だと思ったのでした。

「何で?何で?」と繰り返し質問することは、理由や原因などが深堀りできたり、情報をたくさん収集できたりするメリットがあります。問題解決をするときには、問題の原因を探るために、「なぜ」「なぜ」と繰り返し質問することによって、真の原因が見えてきますから、「何で」質問は非常に有効です。

私自身、コンサルティングの場ではお客様に対して、「どうしてこのような方法をとられているのですか?」と質問しますし、営業パーソンの営業に同行した後には、「あの場面でなぜお客様にあの質問をされたのですか」など、「なぜ?」「どうして?」の質問を連発していていたように思います。

しかし、「何で」質問をした際、明確な答えが返ってくることもある一方で、どうしてそうしているのか本人自身もわからないとの答えが返ってくることも少なくないのです。

つまり、行為や考えのすべてに明確な理由があるとは限らないということです。

「何となくやってしまった」「理由なんか特にない」「よくわからないけど、やってしまった」ということも多々あるわけです。

ましてや、余裕のないときや、未熟な状態の人が何度も「何で?」と聞かれると、追い詰められているような気持にさせてしまう可能性のある表現だということです。

そして、この質問が続くと、その挙句に言い訳をしたくなったり真実を隠したくなったり、もっとひどいと、質問をした人に対するネガティブな感情が生まれたりすることすらもありえるわけです。

これまで「質問すること」のメリットにばかりに目が行くことが多かった私ですが、「何で?」「どうして?」はちょっと使い方を誤ると、デメリットが前面に出てきてしまいかねないということをあらためて認識しました。「使用法に要注意!」を年初に当たり肝に据えることにしました。

(人材育成社)