中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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58回目

2017年01月22日 | コンサルティング

弊社の事務所のホワイトボードの隅に「58回目」と書いてあります。

これ、一体何の数字だと思われますか?   

昨年7月に放送された「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」という番組の中で、1人のフルート奏者が取り上げられました。

その人の名前は、川崎梨紗さん。現在、ヨーロッパのエストニアで、国立歌劇場の首席フルート奏者を務めています。

今から15年前、「笑ってコラえて!」は女子高生の旅で、松山市内の中学校に通っていた川崎さんを取材していたのですが、当時、彼女は「フルーティストを目指している。世界に羽ばたきたい!」と語っていました。この川崎さん、中学生時代にはアンサンブルコンクール金賞、全国吹奏楽コンクールで銀賞をとるなど素晴らしい経歴を持っていて、取材の2年後、見事現役で東京藝術大学に合格しました。

番組の中で、スタッフはエストニアに飛び、彼女と再会。今では中学の時の夢を実現し、オーケストラで華々しくフルートを吹く彼女ですが、実はこれまでの15年間、波乱万丈の道のりだったことが本人の口から語られました。

東京藝大に入学後も、コンクールの遠征や生活費のために、アルバイトと奨学金でやりくりしたこと。卒業後はドイツに渡りプロとなったものの、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団などをはじめとするオーケストラのオーディションを受けるも50回以上落ち続け、その間5年の歳月が流れたこと。

そして、ついに「58回目」のオーディションでエストニア国立歌劇場の首席フルート合格。ここでようやく大学時代の奨学金を返せるようになったということでした。

そうです、冒頭の58回目はこの数字のことだったのです。

たまたまこの番組を見ていた私ですが、50回もオーディションに落ちながら、58回目でついに願いをかなえた彼女を心から賞賛する気持ちになりました。その間「もう駄目だ」「自分には無理だったんだ」と自信を失ったり、夢を諦めようとしたりしたことが、おそらくは何度もあったはずです。

それでも、夢を諦めずに、ついには自分の力で今のポジションを得た彼女を見ていて、あらためて「諦めないこと」「続けること」の大切さを思いました。

「諦めなければ必ず夢はかなう」とまでは言えないかもしれませんが、少なくとも途中で諦めてしまったら、その時点で夢はかなわなくなってしまうわけです。今は苦しくとも続けることが大切ということです。

同時に、諦めないためには強いモチベーションを保ち続けることが必要です。どのように自分を信じ続け、励まし続けられたのか」、川崎さんご本人に聞いてみたいものです。

ところで、この「諦めない気持ち、継続することの大切さ」は、ビジネスの世界においても共通する価値観でしょう。

企業はそれぞれ理念や目標を持っていますし、それに基づき個々の社員も目標を持っています。その達成のために、トップから社員一人一人まで日々頑張っているわけです。

しかし、ますます競争が厳しくなるビジネス環境の下では、それをかなえることは決して簡単ではないと思いますが、これも諦めてしまったらその時点で達成はできません。

人材育成の場においても諦めない、継続することの大切さをきちんと伝えることは大切です。このことを伝え続けるためにも、弊社のホワイトボードには今後も「58回目」を記しておくつもりです。

さて、本日「稀勢の里」が悲願の初優勝を果たしました。新入幕から73場所かかっての初優勝です。腐らず、諦めずに続けた結果つかんだ勝利に対して、心からの「おめでとう」を送ります。

(人材育成社)