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人材育成を行う時間は本当にないのか

2019年01月16日 | コンサルティング

「部下を育てる時間がない」、「人材を育成しなければならないのはわかっているけれど、目の前の仕事に忙殺されてしまって・・・」

これらは弊社が管理・監督職を対象に、部下の育成に関する研修を担当させていただく際に、必ずと言っていいほど人材育成にかかる問題点として挙げられる言葉です。

確かに、最近の企業の組織では一昔前と比べると明らかに人数が減っています。

また、現在の管理・監督職はいわゆる「プレイングマネージャー」が多いことから、実務者として業務に忙殺されてしまっていることも、疑いようのない事実でしょう。

実際に、厚生労働省が実施している「能力開発基本調査」でも、人材育成について「問題あり」としている企業は、平成29年の調査で75.4%でした。そして、具体的な問題として挙げられている「指導する人材が不足している」、「人材育成を行う時間がない」は、人材育成に関する「不動の二大問題」と言ってもいいような状況になっています。

しかし、それでは管理・監督職は本当に人材育成を行う時間を全くとれないほど忙しいのでしょうか?こうした疑問から、私は以前、ある企業の複数の管理職にインタビューを行い、この疑問をぶつけてみたことがあります。

すると、インタビューの当初には「忙しくて人材育成をしたくても、なかなかできない」と言っていても、インタビューの終了間際になると、「実は人材育成を行う時間は、全くとれないわけではないんです。ただ、思うように部下が育たないので、ついつい時間がないことを自分のいいように言い訳に使ってしまっているのです」と言う方が少なからずいらっしゃいました。

そして、中には時間がないことを、「部下がなかなか思うように育たないことの隠れ蓑にしているに過ぎない」と、心の内を正直に明かしてくれた管理職もいらっしゃいました。

しかし、業務の拡大や組織の発展などを考えるのであれば、人材育成は管理・監督職がどれほど忙しいとしても優先的にやらなければいけない「優先順位が高い仕事」だと言えます。

では、この優先順位を判断する際にはどのように考えれば良いのでしょうか?

多くの場合、優先順位は「緊急度」と「重要度」の2つの軸によって判断します。もっとも優先度が高いのは「緊急度と重要度が共に高い仕事」で、反対に優先度が低いのは「緊急度と重要度が共に低い仕事」です。

それでは、「緊急度と重要度が共に高い仕事」の次に2番目に優先すべきは、「緊急度は低いけれども重要度が高い仕事」なのか、または「緊急度は高いけれども重要度が低い」仕事なのかどちらだと思いますか?

答えは、「緊急度は低いけれども重要度が高い仕事」です。

そして、人材育成は優先順位の1番または2番目に該当するような重要度の高い仕事です。それゆえ管理・監督職はどんなに忙しくても、きちんと人材育成に取り組まなければなければならないのです。

毎日、忙しくてもそのための時間を10分でも15分でもいいから何とか捻出し、実行する。それが管理・監督者に課せられた大切な使命だと言えると考えています。

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