QC(Quality Control)とは品質管理のことですが、1980年代に製造業で働いていた方にはQCサークルの方が記憶に残っているかもしれません。
QCサークルとは、職場内で改善活動を自発的に行う小集団活動です。管理職ではない社員が終業後に集まって、ワイワイやりながら職場の問題を探し出し、改善策を考え、実施します。私も入社1年目から職場のQCサークルに参加し、全社大会で発表することを目標に頑張っていました。
サークルは職場単位で作られるため、就業時間中には聞けなかった仕事のちょっとしたコツなども先輩から教えてもらえたり、なかなか有意義でした。
しかし、1990年代になるとバブルがはじけ、「時間外」活動であるQCサークルは徐々に下火になっていきます。合理化が進み、職場に人がいなくなって小集団が作れなくなるという事態も多くなってきました。
ところが、弊社は今年になって「QC7つ道具」を教える研修をいくつか依頼されました。
QC7つ道具とは、品質管理を行う際に現象を数値で把握・分析するためのテクニックです。パレート図、ヒストグラム、グラフ(管理図)、散布図、特性要因図、チェックシート、層別、の7つで、データを視覚的に表すことで問題点を把握しやすくします。
その時は、「今さらQCですか?」というのが私の正直な思いでした。QCサークル自体は大手製造業を中心にまだ存在していますが、その他の企業では成果主義と合理化の進展によってもはや「過去のもの」と考えていたからです。
研修の依頼は中堅かそれよりも規模の小さい会社から来ました。依頼を受けて打ち合せのために訪問してみると、事情がよく分かりました。
中小規模の製造業では人員削減が進み、ギリギリの人数で仕事をしている職場がほとんどです。当然、小集団を作るような人数はいません。それどころか、たまに新人が職場に入って来ても十分に教育する時間が作れません。
先輩社員もOJT(On the Job Training)とは言っても、「仕事は見て覚えろ、分からないことがあったら聞け」というやや放任に近い教育しかできません。また今の30~40代はQCサークルを知らないため、QC7つ道具もよく知りません。
QC7つ道具自体は問題を定量的に捉え、分析するため大変役に立ちます。QCサークルはなくなっても、QC手法は生き残っている(生き残らせたい)という状態にしたいというのが、研修を依頼してきた企業の本音でした。私は「QC=QCサークル」と短絡的に考えていたわけです。お恥ずかしい。
さて、研修では20代~40代の人たちにQC7つ道具を講義し、問題を解いていただきました。受講者の方々には大変好評でした。何よりも「道具」というコンセプトが肌に合ったようです。道具ですから、使えるものだけ使えば良いし、使っているうちにだんだん上達します。
というわけで、QCサークルはなくなっても、QC手法は相変わらず「使える道具」であることがあらためてはっきりしました。
皆さんもQC7つ道具を学び直してみてはいかがでしょうか。
使えば使うほど「手になじむ」道具であることは保証します。
そう、「今さらQC?」ではなく「今からQC!」です。
(人材育成社)