「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
弊社が研修やコンサルティングを担当させていただく際に、NDA(秘密保持契約)の締結を依頼されることがあります。NDA(秘密保持契約)とは、自社が持つ秘密の情報を他の企業に提供する際に他社に漏らしたり不正に利用されたりすることを防止するために結ぶ契約です。
もちろん、NDAを結ぶこと自体には問題ないのですが、ときどき「これのどこが秘密なのだろう?」と疑問になるようなものまで社外秘にしているところがあります。
以前あった例では、会社としての独自性が全くなく別の企業であってもそのまま当てはまるような抽象的な表現で書かれたA4一枚の等級別要件でした。そこには、「管理職の補佐を行う」や「担当業務を遂行する同僚・後輩を育成する」などと書かれていましたが、これのどこが秘密にすべき内容なのか首を傾げたくなりました。
このように厳密に秘密にしようとする企業の傾向として、先の等級別要件の例で言うならば、社外だけでなく社員に対しても情報をオープンにしないのか、社員が情報を共有できていないことがあるように思えます。
具体的には、自身の等級では何が求められているのかなど、本来必須であるべき要件を知らされておらず、研修で外部講師からはじめて知らされたということさえあるのです。
つまり、このような企業では情報を社外秘にするだけでなく、同時に社内秘にもしてしまっているのです。
さらに、このような企業では異動で担当者が変わったりすると、一転して「今度はここまで出しても良いのか」と思う位のレベルまで、情報がどんどん開示されることもあるのです。
一体なぜ、このようなことが起きてしまうのでしょうか。冒頭の例の企業で聞いてみたところ、そもそも社外秘に指定すべき情報の種類や開示範囲が明確になっておらず、担当者によって情報の取り扱いが全く異なってしまっているということです。
これではいくら冒頭のようにNDAを結ぼうとしても、意味がなくなってしまいます。
さて、最近は社内報を社内限定ではなく、社外にもオープンにする企業が増えてきているようです。掲載している情報は、新商品などの経営に関わる旬の情報や、取引先への感謝の言葉、あるいは業界情報であったり社内イベントであったり、いろいろあります。
自社のホームページとの差別化が少々難しいようにも感じますが、これらの情報を社外にも開示することによって、取引先や消費者の親近感や信頼感のアップにもつながります。最終的には自社のブランドを高めることや存在感をアップさせることにもつながるはずです。さらに、これらの情報が若手の採用活動にも功を奏していて、情報を外に出す効果はかなり大きいようです。
営業秘密や個人情報など、秘密にすべき情報は大切に取り扱わなければならないのは言うまでもありませんが、同時に何でもかんでも秘密にすることのマイナス点も考える必要がありそうです。