「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「お前変わったもんだな!昔は誰彼構わず頼みを聞いてやっていた。立場は人を変えるな」
これは、先日最終回を迎えたNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で主人公 北条義時の幼馴染で従弟の三浦義村が、民からの頼みごとを跳ねのけた義時へ向けて言った言葉です。
ドラマでは、伊豆の地方豪族 北條氏の次男として生まれた義時が、やがて鎌倉幕府の執権となり権威を振るうまでを描いていましたが、ドラマの前半と後半で義時の人となりが大きく変化していました。これはまさに、三浦義村の言葉のとおり「立場が(義時の)人を変えた」のではないかと思います。
そして、このことはドラマで描かれた鎌倉時代だけの話ではなく、現在の組織においても同じく「立場は人に大きな影響を与える」ものであると思います。立場を得たことで成長する人もいれば、反対に権威を笠に着て自分勝手な言動を繰り返す人もいます。
実際に、社長という権威を得たことで周囲を納得させる努力をしようともせずに、ことあるごとに「社長の俺が決めたことだ!」と大声で繰り返す人を私も見たことがあります。これは残念ながら立場が人をマイナスに変えてしまった例と言えるでしょう。
一方、立場を得たことがプラスに働き、大きく成長する人もいます。経営者や管理職になる前は、この人にその役職が務まるのだろうか?と周囲が少々頼りなく感じていたような人が立場を得たことによって、その後大いに信頼される経営者や管理職に大きく成長する人もいます。まさに「立場が人を育てる」という状態になったのです。
このように、時によって「立場」は人をマイナスの方向に変えたり育てたりすることがあるわけですが、では「立場が人を育てる」ようになるためには、どうすればよいのでしょうか?
立場をプラスにできるかマイナスにしてしまうかは、もともとの本人の人間性やその立場のロールモデルの有無、さらには本人の意識の問題などが影響するものだと思います。長年かけて形作られた人間性を変えるのはなかなか難しいものでしょうし、ロールモデルの有無を問うたところで、それはいたしかたないことでしょう。
一方で未来志向で考えるならば、立場に対する明確な意識の醸成こそが必要ではないかと私は考えます。そして、その立場に求められるしっかりした意識を醸成するためには、必要な知識やスキルを確認した上で、身に付いていないものは目指すべき目標として設定し、一歩ずつ身に着けていくことが必要なのだと思います。地味な取組みではありますが、立場を得たことによる影響は良くも悪くもその配下の人達にも及ぶのです。その人達がやる気をもって働けるようにするためにも、避けては通れない道のりなのだと思います。
ドラマでは、義時は源頼朝や自分の父 北条時政、時には上皇様や周囲の御家人たちの振る舞いをも見ながら、自分なりの意識を作りあげていき、そして最後には「闇落ち」してしまったように思えました。
せっかく得た立場をプラスの方向に使うのか、マイナスの方向に使うのか。ぜひ「立場が人を育てる」結果となるように使っていただきたいと考えています。