一万円札に描かれていている人は福澤諭吉、五千円札は樋口一葉ですね。では千円札は誰ですか?
毎日のように手にしているはずの千円札ですが、誰が描かれているかきちんとわかっている人は意外に少ないように感じています。
一万円札や五千円札はわかる人が多いのに千円札がわからないとは、皆さん普段から高額なお札以外はあまり手にすることはないということなのでしょうか?(笑)
さて、冒頭の質問の答えですが、夏目漱石?いやいや、野口英世でしょうか?
言うまでもありませんが、正解は野口英世です。
この例からは、普段私たちが目にしているはずのものであっても、ちゃんと意識をして見ていないと意外に認識できていないということが改めてわかります。
自分が興味のあるものであれば、意識する、しないに関わらず目に入った情報は自ずと認識できるのでしょうが、そうでないものは意識して見るようにしないと目に入ってもきちんと認識できないということなのでしょう。
そして、これは人間関係においても同じことのように思います。
相手が自分にとって興味のある人や気の合う人だと、その人にかかわる情報は受け身にしていても入ってきますが、あまり興味のない人であるのならこちらが能動的に見るようとしないと、情報をキャッチすることができません。
通常、私たちが何かを「みる」時に使う漢字は「見る」と書きますが、観察するという時の「みる」は「観る」という字を使います。さらに医者が患者を診断する時には「診る」という字を使います。
同じ「みる」という字であっても、「見る→観る→診る」ではそれぞれに見方の度合いが異なり、左から右に行くに従って「より深く」みるようになっていくように思います。
以前このブログでも書きましたが、「部下がなかなか育たない」と嘆いている管理者に頻繁にお会いします。
「それでは、あなたはその部下をきちんと観察することはありますか?」とお尋ねすると、大抵の場合「部下は大勢いますし、そもそも忙しくてそんな暇はありません」とおっしゃる人が多いのです。
もちろん、毎日毎日部下全員を丁寧に観察していたらそれだけで一日が終わってしまいますので、それは所詮無理な話です。
しかし、そうではなくて毎日10分でいいので、ある一人についてきちんと観察をしていただきたいと思うのです。その部下がどのような仕事の仕方をしているのか、何が問題なのかを意識しつつ観察をすることで、思いがけず部下を成長させるための新たな発見があるかもしれません。
一日に10分であればあまり負担にはならないでしょうし、仮に部下が10人いても2週間あれば一巡できるわけですから、嘆く前に是非取り組んでみることをお勧めします。
冒頭の千円札の例ように、身近であっても意外にわかないことはたくさんありますから、先ずは「意識的に見る」ことから始めていただくといいのではないでしょうか。
(人材育成社)