「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。
「そのやり方では上手くいかないと思うんですよ」部下がこう言うと、「だったら対案を出せよ!」と上司は怒り気味に返しました。会議でよく見かけるやりとりです。(画像はちょっと大げさですが)
対案とは「相手の案や、もとの案に対して出す別の案」なのですが、会議の場では 「対決する案、反対の案」という意味になりがちです。本来は「別の案」ですから、いろいろな種類の案が出てきてもよさそうなものですが、どうしても「対する」ことだけが強調されてしまいます。
その理由は、私たちが正しい議論のやり方を習っていないからだと思います。だから、別の案=反対案となってしまうのです。そのせいで議論がかみ合わなかったり、ぎすぎすした雰囲気になったりします。
こうした「対決型議論」を避けるために「改善型議論」を試してみてはいかがでしょうか。
ある案が出されたら否定を考えるのではなく、改善を考えるのです。
反対したいなあと思ったら「なるほど。良い案ですね。それを実現するためにはこうしたらどうでしょうか」と言います。
具体的には、その案を実行するために必要なコストと効果を見積もります。コストが効果を上回らないようするために新しい提案をします。提案者の意見も取り入れながら徐々に自分の意見を細かくして付け加えて行きます。
こうして自分の考えが実現する場合もあれば、妥協案ができる場合もあります。また、結局はうまくいかない場合もあるでしょう。
いずれにしても、こうしたプロセスを生じさせることが、議論を生産的にするひとつの方法だと思います。
「そんなことをしていたら時間ばかりかかって、しかも自分の意見が全く通らない可能性もあるじゃないか!」とお考えの方もいらっしゃることでしょう。
そのとおりです。それでもこうした議論の進め方を何度も繰り返しているうちに、無茶な提案や感情に任せた反対意見が無くなっていきます。
多少時間はかかりますが「議論の体質改善」は組織運営の健全化に必ず良い効果をもたらします。
ただし、お断りしておきますが「改善型」は政治的、思想的な議論には使えません。それらは基本的に対決することが目的の議論だからです。