「文系の壁・理系の壁」
今週号のAERA(アエラ)の特集のタイトルです。
特集では、「文理脳だから生まれる価値がある」、「理系はなぜ経営が苦手なのか」、「リケ女の肖像 希少女子を生かす職場」などの記事が紹介されています。
先週4月1日に入社した新入社員は、今まさに新入社員研修が続いている真っ最中だと思います。研修期間は企業により異なりますが、研修終了後はそれぞれ職場に配属されることになるわけですから、新入社員にとっては自分の配属先がどこになるのか、期待と不安の両方の気持ちで、ドキドキしているのではないでしょうか。
業種業態によって異なるとは思いますが、例えば製造業では理系出身者は多くの場合、専門分野を生かして技術部門や開発部門に配属されるでしょうし、文系出身者は営業を中心とする間接部署に配属されることが一般的だと思います。
また、時には新人の配属先の一つとして、社員の育成を担当する能力開発部や人事部に配属されることもあります。人事部と言えば会社の中心の部署で一般的には花形の部署と言えますから、新人で人事部門への配属先が決まると、とても誇らしく感じるようです。
新人を人事部に配属する理由はいろいろあるとは思いますが、中には配属後半年程度で管理職研修の担当になった新人から、「うちの管理職は○○の点が弱いので、次回の管理職研修ではその点を強化して欲しいと思います」などといった要望を受けると、入社後間もない新人が上司である管理職の研修を語ることに正直なところ、違和感を持つことがあります。同時に「果たしてこの配属は良かったのだろうか?」と首をひねりたくなることもあります。
それでは、新人でなければ、どういう人が人事部に配属されると良いのでしょうか。これもまた、業種業態によっていろいろな考え方ができると思いますが、私は人事部は実は文系のみならず理系出身者の活躍が期待できる部門なのではないかと考えているのです。
昨日と今日、ある製造業の新入社員研修を担当させていただいたのですが、その企業の人事担当者3名の方が3名とも、まさに理系出身者でいらっしゃるのです。
それぞれ専門や経験を生かして学校訪問をしたり配属先を決定したり、さらに理系出身者ならではの統計や分析を駆使して、今後の年齢分布を考慮した採用人数の提案を経営者にするなど、とても活躍していらっしゃいます。
製造業では、技術部門や開発部門は企業の根幹にかかわる大切な部署ですから、技術者の育成をはじめ要員の配置、採用はとても重要な人事戦略の一つと言えます。
それを畑の違う文系出身者でなく、理系の技術職を配置してこれらの職務を担わせるのはとても意味のあることだと、今回3人の担当者の方々とお会いして改めて思いました。
人事の領域は多岐にわたります。採用や育成のみならず、考課、労務管理、福利厚生、さらにメンタルヘルスなども人事の仕事です。
2日間、この企業のご担当者とご一緒させていただき、改めて人事の仕事を文系の仕事と固定的に考えるのではなく、是非、経験を積んだ理系の技術者の方を配属することを人事戦略の一つとして考えてみてはいかがでしょうかと思ったのです。
(人材育成社)