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青いシート

 私の住む市は少し車を走らせればすぐに山間になる。普段は近づいたりしないのだが、何かの拍子に迷い込んだりすると、こんなものによく出くわす。

  

 青いビニールシートで覆われていて、何が積み上げられているのか分からないようにしてあるが、これはすべて産業廃棄物がうずたかく積まれてできたものである。もともと陶土を掘って発展してきた市であるから、市の至る所に陶土を掘削した跡が残っている。以前このブログにも、「グランドキャニオン」などと題して、写真を載せたことがあるが、近年はそうした採掘跡を産業廃棄物で埋め立てる「事業」が展開されていて、斜陽産業の陶土を運ぶトラックよりも、どこからか運ばれてくる怪しい廃棄物を載せたトラックの方が多くなっている。それが嵩じて、最近では採掘跡だけではなく、山間に廃棄物を捨てる場所を提供する業者も増え、上の写真のような廃棄場が点在するようになってしまった。いくらシートで覆われていも、隙間から見えるものはいかにも危険な感じがして、雨の降った後などは変なものが周囲に染み出していないかと心配になるほどである。市の成り立ちから、採掘や廃棄に対する規制が緩やかだったのかもしれないが、行政の監視の目が行き届いていなかったのは否めないであろう。
 ここ数年は、フェロシルトの問題に代表されるように、社会が産業廃棄物に厳しい目を向けるようになったが、まだまだ一向に減らないこうした小山を見るたびに暗澹たる思いになる。人間が生活する上で、様々な廃棄物(ごみ)が出るのは仕方ないことだろう。それにしても余りに多くの物が簡単に捨てられ続けている。

   「くずかご」  まど・みちお

  くずかごの中のくずたちは
  どれにも書いてあった
  「これはくずではない」と
  だが読めなかった
  いやその文字が見えなかった
  この世に宇宙文字の記されていない物など
  ありえないことさえ気づかなかった
  まるきり常識がなかったのだ
  つまりまだ生きているのだった
  生き物の中でも一ばんわるで生意気な
  人間という名の知ったかぶりとして・・
  で せっせと
  ありもしないくずを作っては
  くずかごにほうりこむのだった
  この世全体をくずかごにしてしまうために 

 
 私はこのブログで5Rというリサイクルの方法を取り上げたこともある。エコロジーの考え方は随分広まってきたが、それでもまだまだ十分とはとても言えない。かく言う私でさえ、ついつい目先の便利さに気をとられ、無駄遣いをしてしまう悪癖は一向に改まらない。常に反省しなければならない。そのためには、上の写真のような廃棄物の山の写真を反面教師として心の中に持ち続けていることが大切ではないだろうか。決して気持ちのいいものではないが。
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