毎日いろんなことで頭を悩ましながらも、明日のために頑張ろうと自分を励ましています。
疲れるけど、頑張ろう!
常識
日垣隆著「常識はウソだらけ」(WAC)を読んだ。日垣隆の本は何冊か読んでいるが、舌鋒鋭く取材対象に切り込んでいくその勇敢さにはいつも感服してしまう。どこからそのエネルギーが生まれてくるのか、同じ年に生まれながらも惰弱な私ではただただ恐れ入るばかりだ。この本の帯には、「ダイオキシン問題や『買ってはいけない!』ウソを暴いてきた著者が、身近にある偽造された常識を、第一人者を迎えて徹底検証する」とある。「あとがき」には、著者が司会する、TBSラジオの番組「サイエンス・サイトーク」(9月から3月まで、日曜夜9時から30分間放送)の中で行われた対論から8話を厳選して収録したとある。その8話のテーマと対論者を挙げてみる。
第1話 リサイクルしない知恵 武田邦彦
第2話 定期健診を受けるのは止めよう 近藤誠
第3話 血液型診断のウソとホント 大村政男
第4話 凶悪犯罪は本当に増えているのか 河合幹雄
第5話 動物保護運動のまやかし 梅崎義人
第6話 クジラを食べよう! 小松正之
第7話 不妊治療に挑む 根津八紘
第8話 カウンセラーは本当に必要か 小沢牧子
いずれも刺激に満ちた対談であり、「なるほど」とか「本当?」とか、今まで常識だと鵜呑みにしていたことのあやふやさ加減が分かって目から鱗が落ちた気になった。
当たり前だと思っていることは当たり前であることも多いのだが、ちょっと調べてみると当たり前ではないように思えることもある。私たち一般人は専門家の意見、考えを絶対視してしまいがちだ。それは専門的なデータを持ち合わせていない私たちには仕方のない面もあるが、それでもやっぱり常に「批判的精神」を持ち合わせていなければならない。ある事柄が誰か権威ある人によって正しいと認められたとしても、それをそのまま受け入れてしまっては思考停止したのと同じことだ。一旦立ち止まって、本当にそうなのか、ひょっとしたら間違っているのではないか、などと自分なりに考えてみることはすごく大事だと思う。
例えば、第5話で取り上げられている動物保護運動に関して、「絶滅の恐れがある動植物の国際取引を禁止する法律」であるワシントン条約の欺瞞性について、水産ジャーナリストの梅崎義人氏は次のように述べている。
『私もアフリカはあちこち取材しましたけれども、「自分たちは欧米の新しい”環境帝国主義”の犠牲者だ」という憤りの声をよく聞きました。
『アメリカやヨーロッパの人が「この動物を禁止しよう」と思いさすれば、ワシントン条約の場で多数決を使って国際取引を禁止できてしまう』(P.126)
これに対して、日垣隆が
『ワシントン条約のやっていることを見ていますと、「欧米人の文化は絶対的に正しい」「有色人種がやっていることは認められない」という偏狭な発想が見え隠れしているように思えて仕方ありません』(P.129)
と答えているが、これなど一般の人々にとっては思いもしない言葉であろう。ワシントン条約といえば野生動物を守るための動物愛護精神から作られたものだと思っていたが、そう単純なものではないらしい。どんなものにでも、光を放つ表面とどろどろしたものを内包する裏面とがあるはずだ。世間の常識と言われるものは誰にでも受け入れやすい表面だけを強調したものが多いのではないだろうか。問題なのは、そうした常識を利用して自らの利益を図ろうと悪巧みをする輩が、民衆の目を真実からそらすようにプロパガンダを繰り返していることだ。悲しいことに、私たちは権威ある人々の耳当りのいい言葉には弱い・・。
昨今よく聞く言葉に「リテラシー」というものがある。これは、「情報機器を利用し、膨大な情報の中から必要な情報を抜き出し、活用する能力」という意味であり、「情報リテラシー」という使い方をされることもある。私たちをミスリードしようとして流される膨大な量の情報の前でしばしば立ちすくんでしまうが、その中から正しいと思えるものを抜き出す力がこれからますます必要となるであろう。そのためにこそ、「批判的精神」を常に忘れないでいることが何よりも大切であると私は思う。
第1話 リサイクルしない知恵 武田邦彦
第2話 定期健診を受けるのは止めよう 近藤誠
第3話 血液型診断のウソとホント 大村政男
第4話 凶悪犯罪は本当に増えているのか 河合幹雄
第5話 動物保護運動のまやかし 梅崎義人
第6話 クジラを食べよう! 小松正之
第7話 不妊治療に挑む 根津八紘
第8話 カウンセラーは本当に必要か 小沢牧子
いずれも刺激に満ちた対談であり、「なるほど」とか「本当?」とか、今まで常識だと鵜呑みにしていたことのあやふやさ加減が分かって目から鱗が落ちた気になった。
当たり前だと思っていることは当たり前であることも多いのだが、ちょっと調べてみると当たり前ではないように思えることもある。私たち一般人は専門家の意見、考えを絶対視してしまいがちだ。それは専門的なデータを持ち合わせていない私たちには仕方のない面もあるが、それでもやっぱり常に「批判的精神」を持ち合わせていなければならない。ある事柄が誰か権威ある人によって正しいと認められたとしても、それをそのまま受け入れてしまっては思考停止したのと同じことだ。一旦立ち止まって、本当にそうなのか、ひょっとしたら間違っているのではないか、などと自分なりに考えてみることはすごく大事だと思う。
例えば、第5話で取り上げられている動物保護運動に関して、「絶滅の恐れがある動植物の国際取引を禁止する法律」であるワシントン条約の欺瞞性について、水産ジャーナリストの梅崎義人氏は次のように述べている。
『私もアフリカはあちこち取材しましたけれども、「自分たちは欧米の新しい”環境帝国主義”の犠牲者だ」という憤りの声をよく聞きました。
『アメリカやヨーロッパの人が「この動物を禁止しよう」と思いさすれば、ワシントン条約の場で多数決を使って国際取引を禁止できてしまう』(P.126)
これに対して、日垣隆が
『ワシントン条約のやっていることを見ていますと、「欧米人の文化は絶対的に正しい」「有色人種がやっていることは認められない」という偏狭な発想が見え隠れしているように思えて仕方ありません』(P.129)
と答えているが、これなど一般の人々にとっては思いもしない言葉であろう。ワシントン条約といえば野生動物を守るための動物愛護精神から作られたものだと思っていたが、そう単純なものではないらしい。どんなものにでも、光を放つ表面とどろどろしたものを内包する裏面とがあるはずだ。世間の常識と言われるものは誰にでも受け入れやすい表面だけを強調したものが多いのではないだろうか。問題なのは、そうした常識を利用して自らの利益を図ろうと悪巧みをする輩が、民衆の目を真実からそらすようにプロパガンダを繰り返していることだ。悲しいことに、私たちは権威ある人々の耳当りのいい言葉には弱い・・。
昨今よく聞く言葉に「リテラシー」というものがある。これは、「情報機器を利用し、膨大な情報の中から必要な情報を抜き出し、活用する能力」という意味であり、「情報リテラシー」という使い方をされることもある。私たちをミスリードしようとして流される膨大な量の情報の前でしばしば立ちすくんでしまうが、その中から正しいと思えるものを抜き出す力がこれからますます必要となるであろう。そのためにこそ、「批判的精神」を常に忘れないでいることが何よりも大切であると私は思う。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )