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007

 土曜夜の「スマステーション」内で稲垣吾郎がその月の映画ランキングを決めている「月イチゴロー」、先月の1位は「007・慰めの報酬」だった。007好きの稲垣がこの映画を絶賛しているときに、前作「カジノ・ロワイヤル」の続編であり、今回の映画をより楽しむためには「カジノ・ロワイヤル」をぜひ見るように、と熱く語っていたのが強く印象に残った。私も007が好きだ。と言っても劇場で見たのは、確か一度しかない。大学2年生の時だったか、今はリンゴ・スターの奥さんになっているバーバラ・バックがボンドガールとして登場した「私を愛したスパイ」を友人と劇場で見た。迫力満点のアクションシーンの連続で、見終わった後、私と友人二人ともが妙に興奮していたのを覚えている。それが劇場で007を見た最初で最後の時だった。それ以外の映画はTVで放映されるのを見るばかりであったから、純粋な007ファンなどとは言えないだろうが、それでも大体の作品は見ていると思う。ただ、ここ数年の007は余りに荒唐無稽で、面白みに欠けるのでは?と思っていた。だから「カジノ・ロワイヤル」も公開当時まったく注目していなかった(ボンド役がかわったくらいは知っていたが・・)。だが、吾郎ちゃんが熱く語るのを聞いているうちに、「慰めの報酬」は映画館に見に行きたくなってきて、そのためには「カジノ・ロワイヤル」をぜひ見ておかなければいけないと思った。
 そんな折、WOWOWの1月の放送予定表を見たら、運良く「カジノ・ロワイヤル」が放映されるのを見つけた。これはラッキー!17日の夕方に放送される吹き替え版を録画して、翌日の日曜に見ることができた。
 大まかなストーリーは・・

『暗殺の仕事を2度成功させたジェームズ・ボンドは“00(ダブルオー)”の地位に昇格し、最初の任務で、世界中のテロリストの資金源となっている“死の商人”ル・シッフルの存在を突き止める。高額掛金のポーカーで資金を稼ごうとするル・シッフルと勝負するため、モンテネグロに向かうボンドの前に、国家予算である掛金1500万ドルの監視役として財務省から送り込まれた美貌の女性ヴェスパー・リンドが現れる・・・』

 ジェームズ・ボンドの誕生秘話とも言うべき内容だが、『裏切りを知り、愛を知り、007が誕生する』などというキャッチコピーが映画の内容をもっとも端的に言い表しているかもしれない。新しいボンド役のダニエル・クレイグという俳優は、無骨な印象を受け、決してスマートでもなく、今までの軟派なイメージのボンドとは一線を画している。それが良いか悪いかは見る人によって違うだろうが、今までの007シリーズとは別物だと考えれば、それほどの違和感は持たないでいられるかもしれない。前半は派手なアクションシーンも盛りこまれていて、「やはり007はかっこいいなあ」とワクワクしたが、途中からそうした場面は少なくなり、かなり地味な印象を受けた。ル・シッフルとのポーカー対決もさほど手に汗握るほどの緊迫感はもてなかったし、余りにあっさりとル・シッフルが殺されてしまうのも、何だか拍子抜けしてしまった。それから先は間延びした恋愛映画のようなシーンが続き、「つまらないな・・」とがっかりし始めた。だが・・、
 やはり007はそんなものでは終わらない。まさに『裏切りを知り、愛を知り、007が誕生する』のだ。最後は頭を整理しないと簡単には飲み込めないくらい入り組んだストーリー展開になるが、それらはすべて今度の映画「慰めの報酬」へと繋がっていく・・・・。
 要するにこの「カジノ・ロワイヤル」は「慰めの報酬」の前振りでしかないのかもしれない。または新007の顔見世興行、そんなものなのかもしれない。本当にそうなのかどうか、実際に映画館まで足を運んで見てこなければいけない。そんな気になってしまったのは、うまく007を作ったスタッフの謀略にはまった結果なのかもしれないが、面白い映画でありさえば何も文句はない。
 何とか時間を見つけて見に行こう。
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