毎日いろんなことで頭を悩ましながらも、明日のために頑張ろうと自分を励ましています。
疲れるけど、頑張ろう!
「犬神家の一族」
昨年末にTVで放映されたのを録画しておいた「犬神家の一族」2006年版を見た。と言っても一度に見るだけの時間はなかったので、寝る前に少しずつ、4日かけて見終わった。市川昆監督の遺作となったこのリメイク版を、公開当時見に行きたいと思ってはいたが、ちょうど受験期の忙しい時期に当たり、劇場まで足を運ぶことができずに見逃してしまっていた。それがやっと見ることができたのだから、念願が叶ったということになる。
私にとって市川監督は、映画は「金田一耕助シリーズ」、TVドラマは「木枯らし紋次郎」といずれも心に深く刻まれた名作を残した映画監督である。その監督の遺作、しかも金田一役の石坂浩二と紋次郎役の中村敦夫が共演しているのであるから、この作品は市川監督の集大成を見るようで、私にはなかなか感慨深い映画であった。
この映画の筋立てについては、改めて書き記すまでもないだろう。1976年に市川監督が映画化した最初の作品は私を含め多くの人たちが劇場で見ただろうし、その後古谷一行が金田一を演じてTVドラマ化されたから、物語は広く人口に膾炙しているように思う。事実私も、この2006年版を見ながら、結構細部まで覚えているもんだなぁ、とちょっと感心したくらい、犬神家の悲劇の物語は心に染み付いてしまっているようだった(加藤武の「よし、わかった!」という名ゼリフのタイミングはすべて分かった・・)。
とは言え、人間の業の深さをおどろおどろしく描き出した横溝正史の傑作だけあって、何度見ても飽きることはない。だが、それもキャストの妙があってこその話だから、ここで76年版と06年版の主だった配役を並べてみて、私が感じたことを少し書き留めておこうと思う。
*金田一耕助・・言うまでもなく、どちらも石坂浩二が演じている。30年の歳月が流れたことは石坂の容姿から見て取れるが、それを余り感じさせないのはさすがとしか言いようがない。事件を解決して、一人去っていく金田一がこちらを振り返るエンディングは映画を見る人たちへ別れを告げているかのようで、グッと来てしまった。
*犬神松子・・76年高峰三枝子、06年富司純子。見る前は、高峰三枝子の堂々とした女優っぷりと比べたら富司純子では線が細いのでは、と危惧していたが、まったくの杞憂であった。犬神家の長女として他を圧する酷薄さから一転して、息子を溺愛する母親への変貌ぶりは背筋がぞっとするほどだった。こんなにもすごい女優だとは思っていなかっただけに、正直感服した。
*犬神竹子・・76年三条美紀、06年松坂慶子。この時の松坂慶子は太りすぎているようにも見えるが、それが妙な貫禄を醸し出していて、逆に適役のようにも思えた。でもやっぱりきれいだなあ。
*犬神梅子・・76年草笛光子、06年万田久子。これは明らかに草笛光子の方がよかった。万田久子はこんなに下手なの?と少々驚いた。草笛光子は06年版には琴の師匠役で出演している。
*野々宮珠世・・76年島田楊子、06年松島菜々子。私は松島菜々子の演技をじっくり見たのはこれが初めてだが、あまりいい印象はもてなかった。76年当時の島田楊子の方がずっと清純なイメージがあったように思う。
*犬神佐清・・76年あおい輝彦、06年尾上菊之助。この両者はどちらもいい。運命に翻弄される佐清の懊悩を演じきっているように思う。尾上菊之助は富司純子の実子だけに妙なリアリティーがあった。しかし、この役は美男子が演じるようにできているのだろうか・・。
*古館恭三・・76年小沢栄太郎、06年中村敦夫。この役を演じるには中村敦夫に少し枯れ具合が足りないようにも思ったが、それも小沢栄太郎と比べてのことで、中村敦夫もそれなりにいい味を出していた。だが、やはり私にとっては木枯らし紋次郎のストイックさが、彼には一番似合っていると思えて仕方がない・・。
見終えて、他の金田一シリーズもリメイクしてもらいたいと思ったが、市川監督が亡くなった今、それはもう叶わぬ夢である。
私にとって市川監督は、映画は「金田一耕助シリーズ」、TVドラマは「木枯らし紋次郎」といずれも心に深く刻まれた名作を残した映画監督である。その監督の遺作、しかも金田一役の石坂浩二と紋次郎役の中村敦夫が共演しているのであるから、この作品は市川監督の集大成を見るようで、私にはなかなか感慨深い映画であった。
この映画の筋立てについては、改めて書き記すまでもないだろう。1976年に市川監督が映画化した最初の作品は私を含め多くの人たちが劇場で見ただろうし、その後古谷一行が金田一を演じてTVドラマ化されたから、物語は広く人口に膾炙しているように思う。事実私も、この2006年版を見ながら、結構細部まで覚えているもんだなぁ、とちょっと感心したくらい、犬神家の悲劇の物語は心に染み付いてしまっているようだった(加藤武の「よし、わかった!」という名ゼリフのタイミングはすべて分かった・・)。
とは言え、人間の業の深さをおどろおどろしく描き出した横溝正史の傑作だけあって、何度見ても飽きることはない。だが、それもキャストの妙があってこその話だから、ここで76年版と06年版の主だった配役を並べてみて、私が感じたことを少し書き留めておこうと思う。
*金田一耕助・・言うまでもなく、どちらも石坂浩二が演じている。30年の歳月が流れたことは石坂の容姿から見て取れるが、それを余り感じさせないのはさすがとしか言いようがない。事件を解決して、一人去っていく金田一がこちらを振り返るエンディングは映画を見る人たちへ別れを告げているかのようで、グッと来てしまった。
*犬神松子・・76年高峰三枝子、06年富司純子。見る前は、高峰三枝子の堂々とした女優っぷりと比べたら富司純子では線が細いのでは、と危惧していたが、まったくの杞憂であった。犬神家の長女として他を圧する酷薄さから一転して、息子を溺愛する母親への変貌ぶりは背筋がぞっとするほどだった。こんなにもすごい女優だとは思っていなかっただけに、正直感服した。
*犬神竹子・・76年三条美紀、06年松坂慶子。この時の松坂慶子は太りすぎているようにも見えるが、それが妙な貫禄を醸し出していて、逆に適役のようにも思えた。でもやっぱりきれいだなあ。
*犬神梅子・・76年草笛光子、06年万田久子。これは明らかに草笛光子の方がよかった。万田久子はこんなに下手なの?と少々驚いた。草笛光子は06年版には琴の師匠役で出演している。
*野々宮珠世・・76年島田楊子、06年松島菜々子。私は松島菜々子の演技をじっくり見たのはこれが初めてだが、あまりいい印象はもてなかった。76年当時の島田楊子の方がずっと清純なイメージがあったように思う。
*犬神佐清・・76年あおい輝彦、06年尾上菊之助。この両者はどちらもいい。運命に翻弄される佐清の懊悩を演じきっているように思う。尾上菊之助は富司純子の実子だけに妙なリアリティーがあった。しかし、この役は美男子が演じるようにできているのだろうか・・。
*古館恭三・・76年小沢栄太郎、06年中村敦夫。この役を演じるには中村敦夫に少し枯れ具合が足りないようにも思ったが、それも小沢栄太郎と比べてのことで、中村敦夫もそれなりにいい味を出していた。だが、やはり私にとっては木枯らし紋次郎のストイックさが、彼には一番似合っていると思えて仕方がない・・。
見終えて、他の金田一シリーズもリメイクしてもらいたいと思ったが、市川監督が亡くなった今、それはもう叶わぬ夢である。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )