じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

「悲劇のロシア」

2008-02-23 10:47:26 | 
★ NHKの「知るを楽しむ」シリーズは実に楽しい。曜日ごとにテーマを変え、本物志向の番組を提供している。啓蒙的な番組だ。

★ 先日は亀山郁夫氏による「悲劇のロシア」を見た。たまたま見た回はドストエフスキーの「悪霊」を取り上げての解説だったが、これが途方もなく面白かった。

★ 亀山氏の深い造詣、深い読みにはしびれた。あまりの大作でひもを解くのが億劫になっているドストエフスキーへの扉を優しく開いてくれた。

★ 一見、革命批判とも読み取れる「悪霊」を「神のまなざし」と読み解く洞察には感服した。ドストエフスキーが時代を越え読み続けられなければならない根拠はここにあったのだと思った。

★ スタヴローギンの「告白」の解説には背筋が寒くなる思いがした。「無関心」という冷酷さ。それは人間のもっている最大の冷酷さだろう。神が人間を試すのではなく、人間が神を試すといった傲慢さ。

★ 遠藤周作の「沈黙」では、最後に神が神父に語りかけた。そして神父は踏み絵を踏んで転向した。「沈黙」の神は無関心ではなかった。

★ 高橋和巳の「憂鬱なる党派」はどうだったか。ドストエフスキーの話を聞いて読み返したくなった。

★ このように「悲劇のロシア」は知的好奇心を圧倒的な力で刺激した。すばらしい番組だった。
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