じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

オバマ大統領

2008-11-06 05:51:26 | Weblog
★ オバマ氏の勝利宣言のセレモニーは感動的だった。その場面を見ていると、ふと、司馬遼太郎「竜馬がゆく」の文章が浮かんできた。

★ 「天には意思がある。としか、この若者の場合、おもえない。天が、この国の歴史の混乱を収拾するためにこの若者を地上にくだし、その使命がおわったとき惜しげもなく天へ召しかかえた」(「竜馬がゆく(八)」文春文庫、374ページ)

★ 「日本史が坂本竜馬を持ったことは、それ自体が奇蹟であった」と司馬は言うが、歴史と言うモノは時々粋な計らいをするものだと思う。

★ 時代が人を生み、人は時代を変革する。社会変動と言う大河の前で、ひとりの人間は実に小さなものだが、ひとりの人間の変革への意思が大河の流れをも変えるのだから、歴史は面白い。

★ アメリカ国民がオバマ氏を指導者に選んだことにアメリカの底力を感じた。1929年の世界恐慌の時代、共和党フーバー大統領のあとに民主党のルーズベルトが大統領に選ばれたことを今日となぞらえる場合が多いが、ケネディ、レーガンそしてオバマと、アメリカと言う国はその時々の課題に応じた指導者をうまく選ぶ。

★ 日本は再び破滅への道を歩んではいけない。タカ派を中心に不穏な空気を感じるが、同じ過ちは決して繰り返してはいけない。幕末の志士や日本の近代化そして繰り返される戦乱の中で非業の死を遂げた人々の思いを無駄にしてはいけない。

★ 政策の功罪はあるが小泉氏にはオバマ氏と同じように人の心を動かすカリスマ性があった。その熱狂の余韻とも後遺症ともいえる状況が今日の政治の混乱を招いているが、日本も新たな志士の時代を迎えたいものだ。 
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「日本近代史学事始め」

2008-11-06 05:05:05 | 
日本近代史学事始め―一歴史家の回想 (岩波新書)
大久保 利謙
岩波書店

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★ 本書は、実証研究により日本近代史学に画期的な足跡を残された大久保利謙氏の生い立ちと研究の軌跡をたどったものであり、近代日本史研究の入門書とも言える。

★ 大久保利謙氏は明治維新の功労者、大久保利通の孫である。本書の前半で紹介されている幼少期、学齢期の記述は福沢諭吉の「福翁自伝」のような面白さがあった。

★ 歴史研究を始められてからは、まず散逸したり、廃棄されたりして消えていく貴重な資料を丹念に収集され、後世の研究の礎を築かれた。ご自身もそうした資料に基づき多くの著書を執筆された。

★ 明治、大正、昭和そして平成と歩まれたその生涯は、それ自体が日本近代史であるかのようだ。

★ 私が大久保氏を知ったのは、まず昭和9年に書かれた「明治二年京都における小学校の設立について」という論文を読んだことに始まる。京都では日本で最初に小学校が設立されたと言われる。この論文では小学校設立の背景、その実態について記述されている。

★ 私は当時、昭和初期における京都の小学校の経営について調べていて、その前史として小学校の設立、発展の経緯を学習していた。

★ 偶然と言うべきか、私が奈良教育大学の大学院に在学中、日本教育史研究室に上沼八郎教授がいらっしゃった。上沼先生の授業を受けさせていただいたり、お話をさせていただく中で、大久保氏の話が出てきたことを記憶している。

★ 今回改めて大久保利謙歴史著作集第4巻「明治維新と教育」をひも解いた。巻末に上沼先生の解説が記されていた。大久保氏の著述に対する的確な解説、大久保氏の偉大さとともに上沼先生への尊敬の念を厚くした。

★ 多くの先達の血のにじむようなご尽力によって、私達が事実を知ることができたり、研究を深めることができるのを幸せに思う。「人生は短い。ぼやぼやせずにもっと勉強せよ」と叱咤されてるように思った。

★ 上沼先生の金言。「足下の石」の教訓を今一度噛みしめたいと思った。
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