じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

村上龍「愛と幻想のファシズム(上)」

2018-10-23 17:42:03 | Weblog
☆ 村上龍さんの「愛と幻想のファシズム」(講談社文庫)を読んだ。現代版「わが闘争」といった作品だ。

☆ 北極圏で狩猟をしていた鈴原冬二は、通称「ゼロ」という男と出会い意気投合する。

☆ 時代は南米諸国から発した経済危機が世界に広がり、日本も財政破綻の危機に瀕している。そんな中、アメリカの大企業は「セブン」という組織をつくり、世界経済を牛耳ろうとしていた。

☆ カリスマ性を帯びた「トウジ」は政治結社「狩猟社」を結成。弱肉強食の社会を築こうとする。利用できる人や組織は利用し、邪魔者は私兵「クロマニヨン」を利用して社会的に抹殺する。

☆ 「トウジ」が目指す社会は実現されるのか。物語は下巻に進む。


☆ 私はファシズムが嫌いだ。本書を読みながら怒りも覚えるが、それがまた心地よい。この感情は何なのだろうか。危険なニオイを漂わせながら、それが読者をひきつける。フィクションであり続けることを望みながら。
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「恣意的」だが「意図的」ではない

2018-10-23 10:29:30 | Weblog
☆ 中央省庁の「障がい者雇用水増し」問題。検証委員会はその実態を報告書にまとめ、「ずさんな対応」で「極めて由々しき事態」とした上で、「恣意的」ではあったが「意図的」ではなかったとの認識を示した。

☆ 「恣意的」と「意図的」、いったい何が違うのか。わざと水増しをやったことは認めるが悪意はなかったということか。「解釈の相違」というところは、脱税を指摘された企業の弁解のようだ。

☆ ところで「障害者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関する法律)」、意外と歴史は古い。その前身である「身体障害者雇用促進法」は、1960年に制定されている。その後、社会の変化に応じて改正が繰り返されているが、背景として世界的なノーマライゼーションの影響が大きい。

☆ 現行法では法定雇用率が定められ、その雇用が義務とされ、別途罰則も定められている。実際いくつかの企業が罰則の対象となっている。

☆ 民間企業には厳しいのに、本来推進すべき中央省庁の偽装ともいえるあり様は非難されてしかるべきだ。理想と現実、政治的思惑と現場とのギャップがあるということだろう。障がい者雇用に手間とカネがかかるということだろう。できないことは定めなければ良いのだが、そうなると国内外からの批判にさらされる。そこで都合よく数字合わせということか。

☆ 国会の証人喚問、議員や行政官は都合よく物忘れ(「記憶にない」)を繰り返すが、これからは「意図的ではない(解釈の違い、認識不足、過失)」といった発言も横行するかも。
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