じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

江戸川乱歩「二銭銅貨」

2019-09-14 20:37:27 | Weblog
☆ 「江戸川乱歩傑作選」(新潮文庫)から「二銭銅貨」を読んだ。江戸川乱歩の処女作で大正12年に発表されたものだという。

☆ 少々翻訳調は気になるが、そのトリック(とその謎解き)と言い、ユーモアあふれる物語展開と言い、斬新さに驚かされる。

☆ 話はある工場の給料を奪った大泥棒の話から始まり、彼が奪った大金のありかを求めて、二銭銅貨に隠されたメッセージの解読に読者を誘う。

☆ 「踊る人形」の暗号を解読したのはシャーロック・ホームズ(コナン・ドイル作)だっただろうか。それに匹敵する面白さだった。

☆ 作品中、ホームズもポーの名前も登場するから、彼らの作品を読んだ上での、日本語に生かしたものなのだろう。

☆ 最後まで一ひねりがあって、面白かった。
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乙一「失はれる物語」

2019-09-14 18:11:15 | Weblog
☆ 学生時代に「ジョニーは戦場へ行った」(1971年)を観た。第一次世界大戦、戦場で傷を負い、首をわずかに動かせる以外のすべての感覚を失った男の独白が描かれていた。わずかに動く首で伝えたモールス信号の内容は・・・というものだった。

☆ 乙一さんの「失はれる物語」(角川文庫)から表題作を読んだ。交通事故に遭遇し、右腕のわずかな感覚だけを残してあらゆる機能を失った男性の話。

☆ 静寂と暗闇の世界。生きているのか死んでいるのかさえわからない。どれほど時間が経過しただろうか。わずかに右手の指の動きを感じた。誰かがそれに触れるのを感じた。妻の手のようだ。ピアノを弾く妻は、わずかに残った右腕の皮膚の上で曲を奏でてくれる。その微妙なタッチの違いから、男は妻の心の揺れを感じる。

☆ 数年の時が流れ、男が下した決断は・・・。

☆ なんともやりきれない物語だ。もし自分が同じ境遇ならと考えると恐ろしくて仕方がない。人間が生きているとはどういうことなのか。

☆ 「生きている人間と肉塊の境界はどこにあるのだろうか」。男の心の叫びが痛々しい。
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「誰が聖書を書いたのか」

2019-09-14 14:36:47 | Weblog
★ ヒストリー・チャンネルで「誰が聖書を書いたのか」を観た。面白かった。

★ 1から3まであり、1は主に旧約聖書について、2は主に新約聖書について、3はまとめといった感じだった。

★ 結論から言うと、聖書はさまざまな作者によって書かれ、それが書写され、小アジアから地中海地域に伝播し、ヘブライ語、エジプト語、ギリシャ語と翻訳され、誰か(複数の人々)が編集して「聖典」として今の形になった。聖書は全集であるという。

★ 旧約聖書の箱舟伝説がオリエントの物語を土台にしていたり、敦煌のように古い経典が石窟に隠されていたり、1000年に渡る国家の興亡があったりと、興味深かった。

★ 古代史、それも紀元前1000年とか2000年とか、遥か昔の時代が面白く感じる。文字がない時代にも人類の歴史は確実にあり、私の先祖もどこかで日々の生活にあくせくしていたのだと思うと近親感を感じる。
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