じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

芥川龍之介「一塊の土」

2019-09-03 21:30:10 | Weblog
★ 芥川龍之介の「一塊の土」(「トロッコ・一塊の土」角川文庫所収)を読んだ。

★ 芥川と言えば「鼻」「羅生門」など古典からの本歌取りのような作品が有名だ。その既成概念でこの作品を読むと意表をつかれる。

★ 言葉遣いも、物語の雰囲気もまるで違う。まさに別人の作品のようだ。古典を題材にした理知的な文章とはまったく違って、人間の複雑な心模様に挑んでいる。自然主義の趣、プロレタリア文学の片鱗とでも言おうか。「藷は竹串を抜かれる側から、一口にお民に頬張られていった」(227頁)などは新感覚的か。

★ 農家の息子が長患いの後に死んだ。母親で家の主である「お住」がまず直面したのは嫁「お民」の処遇だった。家を出すことも考えたが、彼女には一人息子がいた。「お住」にとっては目に入れても痛くない孫息子だ。それに今働き者の「お民」がいなくなれば、すぐさま生活に困ることになる。そこで「お住」が考えた策は、「お民」に新たな婿をもらうということだ。しかし、「お民」は承知しない。

★ そうこうしているうちに数年の月日が流れ、働き者の「お民」は村でも評判となり、修身の授業でも取り上げられるほどになった。

★ 「お住」と「お民」の人間模様。いつしか「お民」のペースに巻き込まれ、「お住」のストレスも高まっていく。それは「お民」の死によって解消されるのだが。

★ 方言を使った会話が土臭さを演出している。芥川の違った側面が読めた。
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芥川龍之介「芋粥」

2019-09-03 19:11:20 | Weblog
★ 芥川龍之介「芋粥」(「羅生門・鼻」新潮文庫所収)を読んだ。

★ 今昔物語(及び宇治拾遺物語)を原典とする。教訓話を人間の微妙な心の揺れのドラマへと仕上げている。無駄のない洗練された言葉遣いはさすがだ。

★ 貴族社会のメンバーではあるが、どうも存在感の乏しい男がいた。気心は優しいのだが、冴えない風貌と相まって、同僚はおろか巷の子どもたちにさえ馬鹿にされるありさま。そこで怒声でも発すれば周りも一目置くのだが、ただうすら笑いを浮かべて「いけぬのう」とか「かたじけのうござる」などとか言って甘受するから。ますます馬鹿にされ、いじめられてしまう。

★ 五位と呼ばれるそんな男にも夢があった。宴会に出される芋粥を飽きるまで食べること。

★ その願いを聞いて、豪胆な藤原利仁という人物は、飽きるまで芋粥を食べさせてやると五位を誘った。

★ 五位は芋粥の誘惑に駆られて、利仁についていくことに。京外れの粟田口までということだったが、それを通り越し山科へ。そうこうしているうちに三井寺へ。心細くなった五位は利仁に目的地を聞くが、利仁の実家がある越前・敦賀まで行くという。

★ 目的地に着き、翌朝の芋粥を楽しみに眠りにつく五位。その心に少々不安が生じてきた。

★ 翌朝、五位が目覚めて見れば庭に用意された大量の芋粥の鍋に驚く。もはや食欲などなく、芋粥がのどを通らない。


★ 欲望、願望、夢というものは求め続けるからこそ価値があるのかも知れない。満たされてしまうと案外呆気ないものだったりする。
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ドラマ「メグレ警視」

2019-09-03 15:00:49 | Weblog
★ BBCのドラマ「メグレ警視」(2015年)から第1シーズン第1話を観た。

★ パリが舞台のドラマということで、当然フランス人がフランス語を話すのかと思っていたがまさかの英語。それにメグレ警視には、あの「Mr.ビーン」のローワン・アトキンソン氏。どうなることかと見始めたが、これがなかなかすばらしい。

★ テレビドラマのレベルを超えている。

★ 原作、脚本、演出、美術、音楽・・・挙げればキリがないがよくできている。多分戦後少したってからのパリが舞台だと思うけれど、当時の建物や町の様子がリアルに再現されている。全部セットで組んだのだろうか。「刑事フォイル」の実績があるからか。

★ ローワン・アトキンソン氏。最初は、「ビーン」のイメージが気になったが、途中からはシリアスな役にはまっていた。さすが芸達者だ。

★ 第1話は「モンマルトルの連続殺人」。5人の女性刺殺体。それはまるで切り裂きジャックだ。半年間も解決できないメグレ警視に上からも下からもそして同僚からも批判が沸き起こってくる。スーパーヒーローのようにはいかないが、地道な捜査と心理戦でメグレは遂に犯人にたどり着く。

★ ローテク時代の捜査はまさに人海戦術。プロの勘と経験がものを言う。
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消費増税カウントダウン

2019-09-03 11:04:51 | Weblog
★ 国税庁から軽減税率に関する手紙が来た。軽減税率は全事業者に関係があるとのこと。うちなど食品を扱っていないが、何か影響があるのだろうか。それはともかく、帳簿のつけ方や申告の方法など細かく書かれていたが、まったく何が何だかわからないので捨てた。

★ 軽減税率とはなかなか厄介なものだ。多分これからまだまだ消費税が増税されるので、そのための伏線なのだろう。キャッシュレスと合わせて、日本人にはなじみにくいと思うのだが。

★ そう言えば、ポイント還元もマイナンバーカードとリンクするとかで、こちらも行政官の考えるようなことだ。普及しないマイナンバーカードを何とかしたいんだろうね。国としてはとにかく個人情報(特に資産について)を一元管理したいんだろうね。

★ 個人の資産を把握するのはよいが、国の税金のムダ遣いは何とかしてほしいものだ。特にバラマキは党利党略が見え見えだ。

★ 社会保障制度(年金、介護、医療費)も見直しに向け新たな審議会を作るとか。結局は負担増への基礎固め。負担を増やすなら徹底してベーシックインカムを導入し、安心して暮らせるようにして欲しいものだが。

★ 消費増税カウントダウン、2%だから10万円にに対して2000円の増税。駆け込みで買って結局ムダにしてはかえって損。

★ 駆け込み需要を当て込んだ企業。政府は重税感を緩和する手をあれこれ打っているから、企業にとっては期待外れの様子。ベクトルが打ち消しあっている。消費が落ち込むのも怖い、経済成長が鈍るのも怖い。さて、どうなりますやら。
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映画「ザ・ウォーク」

2019-09-03 01:58:41 | Weblog
★ 映画「ザ・ウォーク」(2015年)を観た。

★ 1974年8月6日、今は亡き「「世界貿易センタービル」の南北両棟の間を綱渡りした男がいた。フランスの大道芸人、フィリップ・プティ。彼がこの偉業(もちろん無許可、違法だが)を成し遂げるまでの様子をドキュメンタリー的にそしてドラマチックに描いていた。

★ 高所恐怖症の私にとってはチビるような映画だった。CGとはいえ迫力満点。スリリングな作品だった。
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