★ 芥川龍之介の「一塊の土」(「トロッコ・一塊の土」角川文庫所収)を読んだ。
★ 芥川と言えば「鼻」「羅生門」など古典からの本歌取りのような作品が有名だ。その既成概念でこの作品を読むと意表をつかれる。
★ 言葉遣いも、物語の雰囲気もまるで違う。まさに別人の作品のようだ。古典を題材にした理知的な文章とはまったく違って、人間の複雑な心模様に挑んでいる。自然主義の趣、プロレタリア文学の片鱗とでも言おうか。「藷は竹串を抜かれる側から、一口にお民に頬張られていった」(227頁)などは新感覚的か。
★ 農家の息子が長患いの後に死んだ。母親で家の主である「お住」がまず直面したのは嫁「お民」の処遇だった。家を出すことも考えたが、彼女には一人息子がいた。「お住」にとっては目に入れても痛くない孫息子だ。それに今働き者の「お民」がいなくなれば、すぐさま生活に困ることになる。そこで「お住」が考えた策は、「お民」に新たな婿をもらうということだ。しかし、「お民」は承知しない。
★ そうこうしているうちに数年の月日が流れ、働き者の「お民」は村でも評判となり、修身の授業でも取り上げられるほどになった。
★ 「お住」と「お民」の人間模様。いつしか「お民」のペースに巻き込まれ、「お住」のストレスも高まっていく。それは「お民」の死によって解消されるのだが。
★ 方言を使った会話が土臭さを演出している。芥川の違った側面が読めた。
★ 芥川と言えば「鼻」「羅生門」など古典からの本歌取りのような作品が有名だ。その既成概念でこの作品を読むと意表をつかれる。
★ 言葉遣いも、物語の雰囲気もまるで違う。まさに別人の作品のようだ。古典を題材にした理知的な文章とはまったく違って、人間の複雑な心模様に挑んでいる。自然主義の趣、プロレタリア文学の片鱗とでも言おうか。「藷は竹串を抜かれる側から、一口にお民に頬張られていった」(227頁)などは新感覚的か。
★ 農家の息子が長患いの後に死んだ。母親で家の主である「お住」がまず直面したのは嫁「お民」の処遇だった。家を出すことも考えたが、彼女には一人息子がいた。「お住」にとっては目に入れても痛くない孫息子だ。それに今働き者の「お民」がいなくなれば、すぐさま生活に困ることになる。そこで「お住」が考えた策は、「お民」に新たな婿をもらうということだ。しかし、「お民」は承知しない。
★ そうこうしているうちに数年の月日が流れ、働き者の「お民」は村でも評判となり、修身の授業でも取り上げられるほどになった。
★ 「お住」と「お民」の人間模様。いつしか「お民」のペースに巻き込まれ、「お住」のストレスも高まっていく。それは「お民」の死によって解消されるのだが。
★ 方言を使った会話が土臭さを演出している。芥川の違った側面が読めた。