じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

伊坂幸太郎「ライトヘビー」

2019-09-23 19:28:01 | Weblog
☆ 伊坂幸太郎さんの「アイネクライネナハトムジーク」(幻冬舎文庫)から「ライトヘビー」を読んだ。

☆ 最後の数ページ、うならせるなぁー。「そう言うことだったんだ」って感じ。

☆ 「わたし」は美容師。ご贔屓の板橋香澄から弟を紹介された。と言っても、会うわけではなく週に1、2度電話をするだけ。こんな「交際」が8か月余りも続いた。

☆ 弟は「事務職」らしくて、忙しい時期には電話もできないという。

☆ そんな話が続いてクライマックスは、ボクシング・ヘビー級のタイトルマッチ。板橋香澄は「わたし」を自宅に誘って、その試合を見ることに。ラウンドを追うごとに高まる興奮、そして・・・。

☆ 商店街で占い師のように出店を出す斉藤さん。こちらが気持ちを話すとその気持ちにマッチした短いフレーズの曲を流してくれる。1曲100円で。

☆ 小学校3年生の国語の教科書(光村図書)に「きつつきの商売」(林原玉枝さん作)という作品が載っている。きつつきが「おとや」という店を開く。森の動物たちのリクエストに応えて四分音符1こにつき100リルで「できたての音、すてきな音」を聞かせるというもの。なぜかそのことを思いだした。

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江戸川乱歩「心理試験」

2019-09-23 14:04:11 | Weblog
☆ 「江戸川乱歩傑作選」(新潮文庫)から「心理試験」を読んだ。

☆ 老婆が殺され、現金が奪われた。読者はまず犯人を知る。動機を知る。その巧妙な完全犯罪の手口も知る。作者はそれを読者に教えた後で、証拠なき犯罪をどのように解決するかを見せる。

☆ 当時としては拷問に代わって採用された「心理試験」。現在のウソ発見器のようなものもあれば、連想を利用した心理テストのようなものもある。心理学や犯罪に詳しくない読者にとって、これらは新鮮であったろう。

☆ 巧みに「心理試験」さえも誤魔化す犯人。その矛盾、弱点を明智小五郎が暴いていく。

☆ サイコパスのように犯罪を犯罪と認識しない人物は難物だが、いくらかでも良心が残っている犯罪者は自ら墓穴を掘る。自ら優秀であると自負し、完全犯罪を誇る犯罪者ほど、案外もろいものなのかも知れない。
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