じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

映画「地下鉄(メトロ)に乗って」

2019-09-29 23:20:29 | Weblog
☆ 「憑神」に続いて、浅田次郎作品、映画「地下鉄(メトロ)に乗って」(2006年)を観た。

☆ ある家族の物語。主人公・長谷部真次は地下鉄の駅で若い頃に亡くなった兄の姿を見る。それから地下鉄を時空のトンネルとして、現在と過去を行ったり来たりする。

☆ 過去に何度も若い日の父親と会う。本当なら時空のパラドックスが起こりそうなものだけれど、それは物語の主題ではないので深く考えないとして、しっとりする作品だった。

☆ みちこが母親と階段を落ちるところは、切ないなぁ。

☆ 喫茶店の場面、浅田さん本人もエキストラで出演されていたのでは・・・。
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佐多稲子「キャラメル工場から」

2019-09-29 19:18:50 | Weblog
☆ 「日本近代短篇小説選」(岩波文庫)から佐多稲子さんの「キャラメル工場から」を読んだ。

☆ 不景気のせいなのか父親は定職に就かず、子だくさんの上に、病人まで抱えることになった。小学5年生のひろ子は父親からキャラメル工場で働くことを勧められる。学校には行かずに。

☆ このシリーズはプロレタリア文学が多い。ちょうど昭和初期というのがそういう時代だったのだろう。不景気によって失業者が増え、やけっぱちになった男たちは酒に走る。そのしわ寄せは小さな労働者を生み、彼らの稼ぎも多くが搾取されている。

☆ 郷里の学校の先生からの手紙。「誰かから何とか学資を出してもらうように工夫して」、「小学校だけは卒業する方がよかろう」とのこと。学校の先生も官僚機構の底辺にいて、自らができることの限界を感じているのであろうが、子どものことを慮っているように見えて。結局はプレッシャーを加えるだけの手紙だ。憤りを感じた。

☆ すべてがひどい時代だ。
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トロッコ問題

2019-09-29 16:12:14 | Weblog
☆ 山口県岩国市の某小中学校で「トロッコ問題」が教材とされ話題になっている。

☆ 「トロッコ問題」と聞いて芥川龍之介に関するものかと思ったが、全く違った。犠牲者が5人と1人の二者選択の場合があり、それが「あなた」の決断に委ねられているとき、あなたはどうするか、というものらしい。どちらにしてもおぞましい結果なので、某小中学校ではスクールカウンセラーを入れての問題になっているらしい。

☆ アングロサクソン系の人々なら、1人の犠牲者を選ぶのではなかろうか。功利主義とはそういうものだ。大統領が苦渋の決断を迫られる映画はいくつもある。

☆ ただその1人が特別な人、ある人にとっては大統領や君主であったり、ある人にとっては家族であったりするだろうが、その時はジャック・バウワーのように「すまない」といって1人の方を選ぶかもしれない。(ドラマ「24」では、テロ組織の脅迫に従ってジャック・バウワーが同僚を射殺する場面があった)

☆ 昔、「人の命は地球よりも重い」といって超法規的措置をとった日本の首相がいたが、今のご時世では理解されにくいだろうね。「人命を最優先に考えたが断腸の思いで・・・」となるんだろうね。(日本でも「捨て駒」といった言い回しはよく使われるが)

☆ 生きていく上で苦渋の選択を迫られる場面は何度もある。しかし、人の命の可否を決める場面にはそう遭遇しない(過失はあるかも知れないが)。どちらに決断しても重い十字架を背負って余生を生きていかねばなるまい。それを、国家の最高責任者ならいざ知らず、小中学生の段階ではちょっと荷が重いかも知れない。(発達の個人差が大きいのではなかろうか)

☆ ところで、三浦綾子さんの「塩狩峠」(新潮文庫)を思い出した。主人公は大勢の命を救うために自らを犠牲にする。宗教的素養を背景にしたとっさの判断だったのだろうが、そういう選択肢もあるなぁ。考えてできることではないだろうけれど、感動した記憶がある。
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