じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

五木寛之「夜の斧」

2019-09-26 20:54:41 | Weblog
☆ 五木寛之さんの「蒼ざめた馬を見よ」(文春文庫)から「夜の斧」を読んだ。

☆ 今では実感が湧いてこないが、戦後、多くの兵士がソ連軍に連行され、シベリアに抑留されたという。今、地方大学の助教授を務める森矢慎吾もそんな一人だった。

☆ 日本に帰ってきて20年。家族にも恵まれ、長女は近々結婚する。そんな時、彼に不審な電話がかかってくる。電話の声は「エラブカから持ち帰ったものは何か?」と尋ねるだけ。彼は無視を続けるが、電話であるいは手紙で、同じ質問が繰り返される。

☆ 読者はこの謎の電話に誘われて読み進める。彼はエラブラから何を持ち帰ったのか。そしてそれが意味するものとは。

☆ 人が追いつめられるというのはこう言うことなのだろうか。泥沼に深く落ちていき、物語は終わる。彼と彼の家族は今後どうなるのか。それは読者の想像に委ねられる。

☆ 冷戦時代の「陰謀」は今も生き続けているのだろうか。
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映画「白昼の死角」

2019-09-26 16:43:57 | Weblog
☆ 映画「白昼の死角」(1979年)を観た。キャッチフレーズは「狼は生きろ、豚は死ね」だったかな。原作は高木彬光さん。

☆ 戦後まもなく、東大法学部生達によるヤミ金融事件「光クラブ事件」を題材にしている。首謀者の鶴岡七郎役は夏八木勲(当時は夏木勲名義)さん。作者の高木さんやプロデューサーの角川春樹さんもちょい役で出ている。今でいうカメオ出演みたいなものか。プロ俳優の演技が熱いだけに浮いているけれど。

☆ ダークヒーローもの。戦後の混乱期ならではの事件かも知れない。結局は自業自得ってことかな。本当に悪い奴らは表には出ず、のうのうと生きていったんだろうね。

☆ 東映らしさも出ていた。
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映画「霧の旗」

2019-09-26 00:50:15 | Weblog
☆ 映画「霧の旗」(1965年)を観た。この時代の日本映画はまだ元気だ。面白かった。

☆ 老練な弁護士役の滝田修さん、兄の無実を証明してもらうため上京した桐子役に倍賞千恵子さん(若い)。うまいねぇ。原作、松本清張さん、脚本、橋下忍さん、そして山田洋二監督だ。これだけ役者がそろえば面白くないわけがない。

☆ 金貸し老婆殺しの濡れ衣を着せられた小学校教諭。その無実を証明するため、東京の著名な弁護士を訪ねる妹の桐子。このあたり、桐子の行動は実に強引だ。その想いが遂げられないからと言って弁護士を逆恨みするのはお門違いの感もする。しかし、そんな気分が吹っ飛んでしまうのは、著名弁護士の裏の顔が見え隠れするからだ。

☆ 老練弁護士にも正義と真実を求めた若い時代があったようだが、カネが溜まって、地位や名声が高まって、どうも歪んできたようだ。

☆ 桐子の身体を張った復讐劇は成功したようだけれど、これで良かったのだろうか。
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