☆ 藤沢周平さんの「闇の梯子」から表題作を読んだ。江戸の庶民を題材にした物語。文のうまさは言うまでもない。
☆ 板木師、清次。活版印刷やオフセット印刷などなかった時代。謄写版さえなかった時代。印刷は彫師の手に委ねられていた。清次もそんな一人だった。修行を積んで独立。生活は豊かではなかったが妻と共に、将来を夢見て暮らしていた。かつての同僚、酉蔵が来るまでは。
☆ 酉蔵は清次を訪ねてはカネを無心するようになる。人の好い清次も度重なる要求に遂に堪忍袋の緒が切れるが、極道の道に入った兄の面影を酉蔵に感じ、なかなか手を切れずにした。
☆ そんなとき、妻・おたみが病に倒れる。
☆ 保険制度などない時代。治療費にカネは底をついていく。清次の前に「闇の梯子」が現れる。兄や酉蔵のように、この梯子を彼も下りていくのか。
☆ 「なるようにしかならないときってのも、世の中にはあるんだから」(115頁)
☆ なぐさめにかけられたこの言葉、辛い心に突き刺さる。
☆ 板木師、清次。活版印刷やオフセット印刷などなかった時代。謄写版さえなかった時代。印刷は彫師の手に委ねられていた。清次もそんな一人だった。修行を積んで独立。生活は豊かではなかったが妻と共に、将来を夢見て暮らしていた。かつての同僚、酉蔵が来るまでは。
☆ 酉蔵は清次を訪ねてはカネを無心するようになる。人の好い清次も度重なる要求に遂に堪忍袋の緒が切れるが、極道の道に入った兄の面影を酉蔵に感じ、なかなか手を切れずにした。
☆ そんなとき、妻・おたみが病に倒れる。
☆ 保険制度などない時代。治療費にカネは底をついていく。清次の前に「闇の梯子」が現れる。兄や酉蔵のように、この梯子を彼も下りていくのか。
☆ 「なるようにしかならないときってのも、世の中にはあるんだから」(115頁)
☆ なぐさめにかけられたこの言葉、辛い心に突き刺さる。