じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

映画「ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲」

2019-09-21 23:45:35 | Weblog
☆ 今日は朝から中学校の中間テスト対策。疲れた日はシリアスなものよりコメディが良い。

☆ 映画「ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲」(2018年)を観た。ドラマ「メグレ刑事」ではシリアスな役を演じたローワン・アトキンソン、「ジョニー・イングリッシュ」のシリーズでは、「Mr.ビーン」の表情が生きている。

☆ 昔、「欽ドン」だったか「欽ドコ」だったか、涙が出るほど大笑いをしたが、年をとるとそんなこともなくなった。

☆ この作品はそんな時代を少し思い出させてくれる。私が面白かったのは35分ごろからのバーのシーン。ジョニー・イングリッシュが大辛のおつまみを食べ、カクテルの飾りの傘を鼻に詰めるところ。

☆ ストーリーはデジタル産業界で成り上がった男が世界中の情報を手に入れ世界征服を狙うのを、ジョニー・イングリッシュ達が阻止するというもの。ストーリーそのものより、ローワン・アトキンソンの演技が面白い。

☆ 笑いの中にもちょっと皮肉が込められているのは、イギリスらしい。
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芥川龍之介「袈裟と盛遠」

2019-09-21 17:38:59 | Weblog
☆ 芥川龍之介「羅生門・鼻」(新潮文庫)から「袈裟と盛遠」を読んだ。

☆ 盛遠は袈裟と言う少女に恋焦がれるが、その気持ちは受け入れてもらえず、袈裟は渡と言う侍のもとに嫁いだ。3年ぶりに盛遠は袈裟を見かけ、自分のものにしたいという情念が燃え上がってくる。いろいろあって強引にも一夜を過ごした盛遠。袈裟に夫殺しをもちかける。盛遠の計略に乗ったかに見せかけた袈裟だったが・・・という話。

☆ 原典は「源平盛衰記」の「文覚発心」。後に源頼朝をサポートした文覚という僧がいた。元は北面の武士で遠藤盛遠といった。従妹でもある袈裟という人妻に横恋慕し、強引に体を奪う。ことが終わった後で袈裟は盛遠に夫殺しをもちかける。その気になった盛遠。袈裟の夫、渡の首を断ち切って、これで袈裟は我がモノと家に帰ったのだが、その首は渡のものではなく袈裟のものであった。理不尽にも不倫したことを夫に詫びる覚悟の末のことであったのだろう。さすがに盛遠はショックを受け、出家したという。

☆ この作品は芥川作品よりも原典の方が面白く感じた。多分、芥川は「藪の中」のように一つの事実を2つの視点から捉えたかったのであろう。それが、盛遠と袈裟それぞれの独白で記されている。意図は判るが、話を複雑にしているように感じた。
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藤堂志津子「熟れてゆく夏」

2019-09-21 15:15:34 | Weblog
☆ 藤堂志津子さんの「熟れてゆく夏」(文春文庫)から表題作を読んだ。

☆ 律子は女子学生。叔母が経営する美容室を手伝っているとき、松木夫人と出会った。夫に先立たれたあとひたすら働いて財を成した女性だ。彼女には粗暴だが性的魅力だけは豊富な若い愛人、紀夫がいた。その夫人が律子に紀夫と旅で出ることを勧める。何か魂胆があるようだが、律子はこの提案を受け入れる。夫人が合流するまで3日間我慢すれば良いと思って。

☆ 中盤はなかなかエロい。暗喩で表現される濃密な性体験が刺激的だ。

☆ エロいが下品ではない。それは作者の綿密な言葉選びと文章力の効果であろう。直接的な表現でない分、読者のイマジネーションを挑発する。

☆ 荒々しい紀夫に嫌気がしたり、「嗜虐性」のゆえか高慢な律子に不快感を感じたりするが、それもまた人間の一面なのかも知れない。生きることは善悪で割り切れないものがある。

☆ さてエンディング、律子は夫人の策略に反旗を翻すが、果たして一皮むけるのか。
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稲見一良「焚火」

2019-09-21 01:24:19 | Weblog
☆ 稲見一良さんの「セント・メリーのリボン」(光文社文庫)から「焚火」を読んだ。

☆ 短い文を積み重ねハードボイルドな物語を紡いでいた。情景がよく見え、好きな文体だ。この作家のことはよく知らない。本の帯に「復刊」の文字があるから、しばらく絶版だったのだろう。

☆ 惚れてはいけない女と恋に落ち、追手に追われる。逃避行、遂に行き詰まり女は追手のライフルで絶命。「逃げて」と言い残して。男はずぶぬれになりながら、疲れた体を引きずるように歩く。その時、煙の臭いを感じる。少し先に焚火を見る。老人が誰かと話しているようだ。しかし、老人の他に人影はない。という感じで話が進んでいく。

☆ 何者か正体不明だが、この老人がカッコいい。
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村上春樹「女のいない男たち」

2019-09-21 00:34:36 | Weblog
☆ 村上春樹さんの「女のいない男たち」(文春文庫)から表題作を読んだ。

☆ 「まえがき」に書かれていたが、この作品はこの短編集の「しめ」だ。和食のコース料理だと仲居さんが「そろそろお食事を」と軽いご飯と香の物などを運んできてくれるが、そういうものなのだろう。「しめ」から食べるのは無粋ではあるが、短いというそれだけの理由でこの作品から読んでしまった。

☆ 深夜1時の電話。それはかつて2年ほど付き合った女性の死を報告するものだった。そう報告。夫と名乗る男性は、極めて事務的にそれを伝えて電話を切った。夫と名乗る男性は意図して事務的に語ったのだろうか。なぜ今は亡き妻の遥か昔の彼氏になぜ報告の電話をそれも深夜の1時に鳴らしたのだろうか。

☆ 散文詩のように文が並ぶ。喪失感が蘇る。喪失感を文字で埋め合わせているようだ。

☆ これは弔辞だ。

☆ 女のいない男たちに、女のいない男たちが送る弔辞だ。弔辞は先逝く人へのはなむけだが、同時に喪失感を癒すヒーリング・ミュージックなのかも知れない。
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