じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

「後の先」

2020-07-04 14:54:02 | Weblog
★ 朝日新聞「読書」欄、大澤真幸さんの「古典百名山」はカール・シュミットの「政治的なるものの概念」を取り上げていた。カールという名には偉人が多い(そもそもカールという名前が多いのかも知れないが)。

★ カール・マルクス、カール・ヤスパース(哲学者)、カール・バルト(神学者)など。カール・シュミットの名は聞いたことがあるが、その著書は読んだことがない。本書の中心命題は「政治に固有な区別は、敵、友という区別にある」という。かつて、小泉首相は郵政民営化を中心とする自らの改革に反対する人を「抵抗勢力」と呼んで人気を集めたなぁ。

★ 学園紛争の時代は「敵は誰か」をめぐり論争が繰り返されたとも聞く。論のための論になっては、学者の知的遊戯になってしまうが。

★ 書評コーナーでは伊坂幸太郎さんの「逆ソクラテス」(集英社)が面白そうだった。単行本で買うか、文庫になるまで待つか、迷う。

★ 「天声人語」は、「ヘビににらまれたカエル」という表現から話題を起こし、動物学者・西海望さんの研究を紹介している。ヘビににらまれたカエル、カエルにしてみれば絶体絶命のシチュエーション。静止画のように対峙する両者のそれぞれに思惑があるという。

★ 人語子は話題を横綱双葉山に振り、「後手をとるかに見せて優位に立つ『後の先』」を紹介する。そして、カエルの「後の先」ともとれる戦略で締めくくっている。

★ 先手必勝と言われる中、「後の先」は横綱相撲の様相だ。しかし、見方を変えれば、うまいトリックなのかも知れない。相手に攻撃をさせてその隙をつく。風格で圧倒しているせいもあるが、実に巧妙な頭脳プレイだ。

★ アメリカは「ファースト」を叫び(先行きは怪しいが)、ロシアは憲法を改正し更なる長期政権を模索、中国は内なる批判をかわすため更に対外拡張を進めそうだ。新帝国主義ともいえる時代、日本の次のリーダーにはライオンのような胆力とカエルのような明晰さを求めたいと思った。(果たしてそんな人物はいるのやら)
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