じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

伊坂幸太郎「逆ソクラテス」

2020-07-17 22:45:09 | Weblog
★ 芥川賞、直木賞の発表があった。早速受賞作を(特に遠野遥さんの「破局」を)読んでみたいと本屋へ行ったが、田舎の書店では早々に売り切れの様子。手ぶらで店を出るのもどうかと思ったので、伊坂幸太郎さんの「逆ソクラテス」(集英社)を買った。

★ 「逆ソクラテス」から表題作を読んだ。小学6年生の子どもたちが、独断的な担任教師(特に生徒を差別する)を悔い改めさせようと、あれこれ策略を巡らす話。

★ 教師期待効果、教育心理学では「ピグマリオン効果」とも言う。教師が生徒を肯定的に評価すれば能力が伸びるという効果。逆も然り。教師にあるまじきことだが、往々にして見受けられる。

★ いわゆる優等生がたまたま低い点数をとれば、調子が悪かったのだと好意的に解釈するが、いつも悪い点数をとっている子が高得点をとっても「まぐれ」と処理されたり、場合によってはカンニングを疑われたりする。

★ 大人の先入観を子どもたちが壊そうとする。作品に出てくる「僕はそうは思わない」というのは魔法の言葉だ(ファッショ化が進むこの時代だからこそ、必要な言葉かもしれない)。しかし、実際この言葉を発するのは勇気がいる。相手が大人、とりわけ教師という人に対しては。

★ 「ゴールデンスランバー」とは雰囲気が違う。「あとがき」にも書いてあるが、子どもを主人公とする難しさを感じた。
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重松清「卒業ホームラン」

2020-07-17 15:47:05 | Weblog
★ 重松清さんの作品は教科書や問題集によく採用されている。そうした作品を集めた「カレーライス」(新潮文庫)から「卒業ホームラン」を読んだ。

★ 中学2年生の教科書(東京書籍「新しい国語 2」)に採用されている。

★ 文庫本で読むと教科書とはまた違った感動がある。同じ作品なのに不思議だ。

★ かつて甲子園にも出た男。今は父親になり、息子が小学生になったのを機に、地元の少年野球チームの監督を引き受けた。それから6年。強豪チームの仲間入りをし、息子も練習に励んでいる。しかし、地道な努力にもかかわらず、息子はスタメンに選ばれることはない。男は父親と監督という立場に葛藤をしながらも、最後の試合に臨む。

★ 少年スポーツ、わが子大事の親から不当な要求を突き付けられることがあると聞く。男にもいろいろと圧力が。父親としての立場で考えればわからなくもないが、監督としては勝負に徹するべきだ。

★ 最終戦。男は息子をベンチ入りからも外した。そして試合。結局大敗する。息子をベンチ入りさせたからといって、結果が変わったとは思えない。しかし、打席に立つどころか、ベンチにも入れなかった息子は、いつもながらの明るさで友の頑張りをねぎらっていた。

★ ここからが感動的だ。男は「がんばれば、いいことがある。努力は必ず報われる」ということ(現実には必ずしもそうではないけれど)を息子に信じさせてやりたい。それをどう伝えれば良いのか。

★ 迷っている男に息子が言い放つ。中学に入っても「野球部に、入るよ」。「レギュラーは無理だと思うぞ」という父。それに息子は「いいよ。だって、ぼく、野球好きだもん」

★ ここに来て、涙腺が緩んだ。これ以上の答えがあるだろうか。
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「エピセンター」

2020-07-17 09:50:07 | Weblog
★ 新型コロナ感染症はさまざまな新語やキャッチフレーズを生んでいる。昨日の国会中継を聞いて「エピセンター」という言葉を初めて知った。

★ 参考人として呼ばれた東京大学の名誉教授が熱弁を振るわれていた。専門家ならではの危機感の表れだろう。素人目に見てもここ数日の感染者数の増大には危機感をもたざるを得ない。

★ 名誉教授の言によれば、今感染爆発への道を辿っているのは、遺伝子的に「東京型」「埼玉型」だという。

★ 確かに20代、30代で軽症・無症状の感染者が多い。検査数の増加も影響しているのであろうが、「宣言」解除後、人々の動きが急速に活発化しているのも事実だ。今のデータがおよそ2週間前の結果だとすると、名誉教授の言葉通り、来月には「目を覆いたくような」数字が明らかになるであろう。(首都圏だけではなく関西圏や他の大都市圏も危ない)

★ 政権内では「Go To」キャンペーンで、権力闘争が活発化している。菅官房長官、小池東京都知事、二階幹事長、麻生財務大臣、この辺りがどう動くか。朝日新聞の短期連載「コロナの時代」を読んでいると、補佐官や秘書官など官邸官僚の動きも気になる。

★ 「密室政治」などというのは懐かしい響きだ。世論に振り回され、世論を振り回し、政権はダッチロール状態か。

★ 「神輿は軽くてパーがいい」なんて誰かが言ったというが、担ぎ手がすったもんだしていたのでは、軽い神輿も進まない。

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