じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

吉本隆明「共同幻想論」序

2020-07-15 19:11:55 | Weblog
★ NHK「100分de名著」、今月の作品は吉本隆明さんの「共同幻想論」だ。ということで、40年間、本棚の飾りと化していた箱入りの「共同幻想論」(河出書房新社)を取りだして読み始めた。

★ 今回、「100分de名著」で取り上げられなかったら、多分一生読まなかっただろう。

★ 出だしからして文章が難解だ。最初の方は「言語にとって美とは何か」が論じられているのであるが、それならもっとわかりやすい文章を書いて欲しいなぁと愚痴りながら読み始めた。

★ 上部構造やロシヤ(ア)的マルクス主義、社会主義的リアリズム、スターリニズムと「代々木系」を意識するかのような時代性を感じる。

★ やがてテーマは「幻想領域」に。自己幻想、対幻想そして共同幻想という視点が吉本論の特徴だ。それぞれの幻想の内部構造と相互関係、このあたりに研究テーマがありそうだ。

★ 「人間にとって共同の幻想とは何か、それはどんな形態と構造のもとに発生し存在をつづけてゆくか」(29頁)

★ 民俗学や古代史学(番組では柳田国男の「遠野物語」、「古事記」があげられていた)を活用しながら、国家論の土台から建て直すという。

★ 「共同幻想のひとつの態様としての国家」、この視点でこれからの論議が進みそうだ。番組の進行と共に読み進めたい。
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森見登美彦「宵山万華鏡」

2020-07-15 15:23:32 | Weblog
★ 7月15日、京都は祇園祭の宵々山。例年なら17日の山鉾巡行に向かって、四条通界隈はヒートアップ。コンチキチンの音色を聴きながら、鱧の湯引きに梅肉をからめ、冷酒をキュッとやるのがよい季節。蒸し暑い京の街のひと時の暑気払い。

★ しかし、今年はコロナで三大祭りはこぞって自粛。疫病を封じの祇園祭りも勝てなかったようだ。

★ せめて雰囲気だけはと、森見登美彦さんの「宵山万華鏡」(集英社文庫)から表題作を読んだ。

★ 小学3年生と4年生の姉妹。地下鉄の烏丸御池駅で降りてバレエ教室に通っている。「寄り道をしちゃダメよ」という先生の忠告を聞いてはいたが、祭りの雰囲気には勝てず、姉は妹の手を引いて四条通へ。

★ そこから始まる森見ワールド。京の町はいにしえから百鬼が夜行し、魑魅魍魎が跋扈する。風水が結界を結び、普段は姿を潜めるモノノケも、祭りの夜は特別と見える。宵山はそんな夜だ。

★ 文庫版の表紙絵が素敵だ。
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