じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

半藤一利「昭和史」より

2022-02-25 15:42:54 | Weblog
★ ウクライナ情勢は日々悪化し、西側諸国にとってプーチンは乱心の宰相だ。何が彼をキレさせたのだろうか。

★ 帝国主義、大国主義は今に始まったことではない。ロシアに限らず列強諸国はどこも経験した道筋だ。その行き着いた先が2度に渡る世界大戦で、核兵器が飛び交う第3次世界大戦が勃発すれば、もはや勝者も敗者もなく、映画「マッドマックス」やアニメ「北斗の拳」のような荒廃した無秩序な世界になる。その恐怖が東西の緊張が高まる中でも、全面戦争を回避し冷戦に止めてきた(ドイツ、ベトナム、朝鮮半島などの諸地域では代理戦争の様相だったが)。

★ トランプ前アメリカ大統領がプーチン氏の巧妙な手口を賞賛したというが、虐げられた人々を支援する、平和を維持するという大義名分を掲げて軍隊を動かし、国家の主権をチーズのようにジワジワと削り取り、勢力圏を広げるあたりは、まさに帝国主義の手本のような手口だ。

★ そんなことを考えながら、半藤一利さんの「昭和史」(平凡社ライブラリー)から「はじめの章」を読んだ。これは昭和史を語る上での前史を概観している。攘夷・開国の対立からはじまった討幕運動。結局、朝廷も攘夷派もやがては開国を決し、近代国家建設を急いだ。徳川にしてみれば狐にばかされたような感じだろうか。

★ いずれにせよ、半藤さんによれば、明治維新から40年を経て、日本は近代国家となり、日清、日露戦争の結果、世界の列強と肩を並べるまでになった。ところがその成功に自惚れてしまったのか、次の40年は破滅へと向かう。1945年の敗戦をその終点とみなす。そして、何とか独立して経済での発展を目指し、およそ40年かかって世界の経済大国にまで昇りつめた。しかしまた驕ってしまったのか、バブルがはじけて、崩壊の40年を迎えているという。面白い見方だと思う。

★ 日本本土を守るために朝鮮を防波堤とする。朝鮮を守るために満州を「生命線」とする。ロシアの南下政策への対抗策とはいえ、国土を蹂躙された朝鮮や中国の人から見れば面白くないはずだ。

★ 1国の歴史は世界史の大きなうねりの中にある。明治維新も世界大戦も経済復興もそしてバブルの崩壊も、更には大国の興亡も人類史の大きな流れの中の出来事だ。そう考えるとき、なぜ今ロシアが、プーチン大統領が戦争という選択肢を選んだのか、時間がたてば見えてくるのかも知れない。

★ アメリカやNATO軍は今のところ静観しているようだ。彼らの堪忍袋の緒が切れるのはどの一線を越えたときだろうか。
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