曜日のない暮らし

日々の暮らしにあるささやかで素晴らしい瞬間
暮らしと心を癒してくれる生き物たち
山本弘三の写真を中心にした日記帳

クロツバメシジミを探しに伊崎へ

2013年10月01日 | 日記

今日の花

ツメレンゲ

ツメレンゲは乾燥の厳しい海のそばに切り立つ崖に生えています。クロツバメシジミはこの草を好むということですがなかなか食痕が見つかりません。やはり絶滅してしまったのでしょうか。 

 


 蝶を探しに行くと言えば普通野山へ出かけますが、この蝶クロツバメシジミは海岸の岩の切り立った崖に住んでいるので海へ行きます。しかも潮見表をよく見てゆかないと潮が高い時には海岸線が通れないところがあって以前ひどい目にあったことがあるのです。今日は秋晴れで天気は良いし大潮前で昼間は引いています。お昼前に飯も食わず「ちょっと海へ行ってくる」と言い置いて出かけたのですが、家に帰ったのは4時前でした。お腹が空いたのと海岸のごろた石を歩き回ったのとで疲れ果てていました。結論、クロツバメシシミにはまた出会えませんでした。

仕方なく海の写真ばかり撮ってきました。蝶の写真ばかりよりたまにはこんなのもいいかと自分を慰めています。この海岸にはクロツバメシジミを探しに4年も通っているのですよ。

でも、大島の海岸の中でここは大好きな場所なのです。なぜ好きなのかはまたいつか紹介します。

 


伊崎からの風景

 

この写真はとても海の写真とは思えないですね。湖と言った方がいいかもしれません。

 

 

立島(たつしま)といいます。戦後しばらくの間は島には30軒くらいの家があり子供も結構いて小学校の分校がありました。

 

 

立島の対岸になりますが、伊崎という小さな集落です。30年前にはここの波止へ釣りに通ったものです。

 

 

伊崎の浜  潮通しがよくて流れも速いところなので浜に砂はありません。ずっとごろた石です。海中はとてもきれいで魚も豊富なのでよく潜りに来ます。

伊崎の浜より安下庄を望む  15mmワイド

同じところから嵩山を中心に  55mm

更に 85mm  で撮影。  嵩山ていい山でしょう。

 


伊崎の崖

まず、伊崎の位置をご紹介しましょう。伊崎は大島で最も南に位置するところで南国からの迷蝶がここでよく見つかったりまた渡り鳥の群れが海に向かって飛び立ったりします。海の方を見ると東西に流れる海流がこの岬にあたり魚も豊富です。

私の住んでいる安下庄と伊崎の位置関係を見てください。大きな湾になっていて安下崎と伊崎とで囲まれています。

 

伊崎の集落は小さなところで30軒もないでしょう。港の中には数隻の漁船が見えますが本格的な漁師さんはいないと思います。

 

かつてはクロツバメシジミがいたという海岸です。ここは蝶を見に行くだけではありません。海に潜りに行ったり魚釣りに行ったりします。Aの所は海面から30mくらいの切り立った岩が出っ張っていてそのてっぺんからの眺めは格別です。昔はその岩の上に巨大な松の木が生えていて海の上にせり出すように枝を広げていました。沖を船で通る時に見上げても立派な松でした。根回りは4・5mもありましたので樹齢はこの生えている場所の環境の悪さを考えればおそらく数百年は立っていただろうと思います。惜しいことに松くい虫にやられて枯れてしまい今は根っこの芯の部分だけが残っています。50年くらい前私が高校生だった頃にはこの松はまだ元気で何度かその巨大な根元に座って沖を眺めたことがあります。

Bの所がまたいいところで山頂に向かって岩肌の出た崖になっているのですが登れるところがあり海面から15m位のところにテラスがあってそこで蝶が現れるのを待つのです。本当に岬の先端ですがそんなところでもいろんな蝶がやって来ます。何のためにこんな所へ来るのか蝶というのは不思議な生き物です。そんな崖の中腹にあるテラスに座って蝶の来るのを待つ人間も不思議な生き物ですね。

説明のためグーグルさんの航空写真を借りてきました。

A地点のせり出した岩のてっぺんからBの岬の方角を見下ろしたところ。 

 

 

崖にロープの張り渡した道を下って下の浜に降ります。Aの岩を下から見上げた所です。枯れた松の幹が残っていますが枯死してから3・40年は立っていると思います。昔は本当に見事な松でした。きっと名前もついていたことでしょう。今は沖で漁をしてもGPSと言う便利な機械があって広い海のど真ん中でもきちっと場所を決めることができますが昔の漁師さんは目標物と山などの重なり具合を何点か合わせて海の中の漁場を決めていました。当時この松は良い目標物になったことでしょう。

夏の泳げるときには山を越えるのはきついので海の中を岩の外側を泳いで渡ります。

 

これから目指すのはB地点の岬です。

 

B地点の近くまで来ました。立島の向こうに安下庄が見えます。みかん畑からいつも撮る写真にはここが写っているはずです。

 

矢印の所から上に登ってゆきます。沖に見える島は大水無瀬と小水無瀬です。大水無瀬島には誰が放したのかサルの群れがすんでいます。

 

 

崖をよじ登ってテラスに付きました。向こうは上関の方角です。こんな美しい風景の中に原子力発電所は無い方がいいですよね。自然は人間だけのものではありません。

 

安下庄と嵩山がまだ見えます。昔のことをまた書きますが、昭和30年代まで松山から柳井まで行く連絡船がありました。その船がこの岬を回って安下庄を目指して湾内に入ってくるのがたしか11時ごろだったと思います。私の父はみかん畑から沖を眺めて船が見えたからもうすぐお昼だと子供の私に教えてくれました。バス路線が十分でなかった頃は船で柳井まで出かけていたものです。「瀬戸の花嫁」という歌がありますが私たちの世代まではあの歌詞がよくわかります。

 

 

少し高いところから眺めると潮の流れているのがよくわかります。この岩のまわりもよく潜ったものです

 

テラスから上を見上げると山頂まで岩が続きます。登れないことはありませんが降りてくるのが大変なのでいつもこの辺で蝶を待ちます。

 

こんな岩棚に一人座っていると世の中の雑念をしばし忘れることができます。

 

 

 


ミサゴの飛翔(オスプレイ Osprey)

この日は鳥を撮るつもりはなかったので15̃̃̃̃~85mmのズーム1本しか持っていませんでした。山の端に突然白っぽい鳥が現れたのであわててカメラを向けたのですがすぐに山の端に隠れました。山より高いところを旋回しているようなのでまた出てくるだろうと待っていると同じところから出てきました。今度は飛翔コースが分かっているのでピントも合わせやすいしどの位置でシャッターを切るか計算がしやすくなりました。かなり離れた所にいた鳶が近づいてきたので何とか一つの画面に入れることができました。以前人に鳶とミサゴはどちらが大きいのかと聞かれたことがありますが比べてみたことがなかったので同じくらいじゃないと答えておきました。この飛んでいる写真で見た感じではミサゴの方が少し大きいかもしれません。ここ伊崎の端は鳥好きの人には絶好の穴場かもしれません。野鳥の会の人はみんなご存知のことかもしれませんが。4年前にここ伊崎で偶然撮った鳥の写真があります。ヒヨドリの群れ

 

1回目に空に現れたときにはあわてていたものですから上手く撮れませんでした。 

2回目に現れたところを狙ってピントバッチリ

3回目に現れた

沖に向かって山を離れようとしています。鳶が来たのを嫌がったのでしょうか。

上の写真はズームを精いっぱい伸ばしていますが、崖の下から見上げた所を広角で撮るとこんなところです。