金沢の観光スポットレポート(No.1824)
◇加賀逆立狛犬-1 金沢市編① プロローグ
2018年より金沢市内の神社、狛犬巡りをして、今年5月現在342社を巡った。今回は全国的にも珍しい、加賀逆立狛犬を紹介します。お楽しみに。
〇調査方法
最初の調査は25,000分の1国土地理院地図の神社マークを地域別にチェックして調査完了。次に、石川県神社庁資料の一覧リストと調査完了神社名を照合し、再調査。その他調査途中で巡りあった神社もある。つまり地理院地図、神社庁リスト(ちなみに神社庁登録は309社)に掲載されていない神社もあるということです。
■写真は金沢市内全図
〇神社の略歴
日本の神社は縄文・弥生時代(紀元前4-3世紀)に原始的な祭祀を行っていた。古墳時代(4-6世紀)には磐座祭祀(社殿のない神社)が開始になり、中国から仏教が伝わり、飛鳥時代(7世紀)に社殿を持つ神社が誕生した。その後、各集落には寺院、神社が神宮寺(神仏習合)として広まった。明治元年(1868)に神仏分離令で、現在の寺院と神社になっている。
〇狛犬のルーツと日本での変遷
狛犬のルーツを探ってみると、メソポタミヤ文明時代に遡り、紀元前18世紀古代バビロニアの女神の守護獣としてライオンを見ることができる。また、エジプト紀元前14世紀のツタンカーメン台座ひじ掛の左右先端にもライオンの頭がある。
インドでは、ブッタが獅子座に座る石造仏に、3頭のライオンがある。その後、インドから中国に伝わり獅子になり、日本へは6世紀後半に、仏教伝来時の社殿・鳥居・灯篭などと共に獅子が伝わった。
当初は宮殿や神社本殿に金属製で小型の獅子が置かれていた。やがて木製で大型になり、鎌倉時代の建久7年(1196)年東大寺南門に石造狛犬(阿阿型)が現れた。
参道狛犬が日本で普及したきっかけは、寛永13年(1636)に日光東照宮の拝殿外の石造狛犬である。東照宮にお参りした武士たちの影響で、全国に参道狛犬が普及したものと考えられている。
〇金沢市内の神社と参道狛犬
下図の通り、金沢市内には神社342社(2020.5.5現在)で、その中で約80%の280社に参道(拝殿外を含む)狛犬があり、最高6対の神社を含め合計313対の狛犬を確認した。
〇加賀逆立狛犬
金沢を中心とした加賀地方の逆立狛犬は全国的に珍しく、金沢市内には37対を確認した。また、県内には115対あるとの情報で現在確認中。
全国を見てみると逆立した狛犬も存在するが、加賀逆立狛犬は独特であることが分かった。なお、建立年を確認できたもので最古は椿原天満宮の安政6年(1859)であった。
■写真椿原天満宮
■写真は青森岩木神社(玉垣に設置した狛犬)
■写真は長崎諏訪神社
(つづく)
□加賀逆立狛犬 金沢市内編バックナンバー
◇加賀逆立狛犬-2 金沢市内編② 石浦神社、西念出雲神社、玉鉾野間神社、宇多須神社、卯辰三社
◇加賀逆立狛犬-3 金沢市内編③ 児安神社、鹿島神社、浅野神社、小坂神社、椿原天満宮
◇加賀逆立狛犬-4 金沢市内編④ 国造神社、四十万八幡神社、額東神社、大額稲荷神社
◇加賀逆立狛犬-5 金沢市内編⑤ 禅ヶ峰神社、円光寺白山社、増泉春日神社、増泉春日神社、野田日吉神社、寺町諏訪神社
◇加賀逆立狛犬-6 金沢市内編⑥ 南新保八幡神社、清瀧神社、直江八幡神社、御経田住吉神社、桂神社
◇加賀逆立狛犬-7 金沢市内編⑦ 佐那武神社、東蚊爪須岐神社、誉田別神社、須天八幡神社、産王神社、普正寺八幡神社
◇加賀逆立狛犬-8 金沢市内編⑧ 福増八幡神社、打木濱神社、袋板屋町板谷神社、末町日吉神社、俵町八幡神社